産交バス三角営業所

産交バス三角営業所について

産交バス三角営業所は、かつて熊本県宇城市三角町に存在した、九州産交バスの子会社である産交バスの営業所です。この営業所は、地域の公共交通を支える重要な役割を担っていました。以下に、その詳細について解説します。

歴史

当初、この営業所は九州産業交通本体直営の営業所として、全路線を運営していました。しかし、1984年に一部路線が九州産交観光（後の産交観光バス）に移管されました。その後も、熊本市の熊本交通センター（現在の桜町BT）とを結ぶ「三角 - 熊本線」、不知火町を経由して松橋町とを結ぶ「三角 - 松橋線」、そして本渡市（現：天草市）の本渡バスセンターとを結ぶ「三角 - 本渡線」などの長距離路線は、長らく本体直営で運営されていました。

1997年に「三角 - 熊本線」が廃止されたことを機に、全路線が本体直営から切り離され、残る路線もすべて産交観光バスに移管されました。この全面移管は、他の営業所に比べて比較的遅い時期に行われました。2005年4月には、子会社再構築により県内各地のローカル子会社と統合し、産交バス株式会社の営業所となりました。

2024年6月1日の産交バス組織改編により、天草営業所に統合され、当営業所は廃止されました。しかし、廃止後も当営業所は天草営業所の「出張所」として、営業所窓口は「三角バスセンター」、車庫は「産交バス天草営業所三角車庫」としてそれぞれ存続しています。車両や乗務員、窓口係員も引き続き駐在しています。

所在地と周辺施設

所在地は熊本県宇城市三角町三角浦で、最寄りのバス停は「三角産交」です。JR九州三角線の終点である三角駅前に位置しているため、同駅のバスターミナルとしての役割も担っています。この他に、上[[天草市]]姫戸町赤崎（池の浦）にも駐在車両があります。

かつては、松島車庫に樋合(島)、阿村、松島青年の家、維和島(蔵々漁港)行きの路線を運用するために、当営業所管轄の車両が1台駐在していました。しかし、維和島行きを除く路線は天草営業所へ管轄が移管されたため、駐在は廃止されました。

担当路線

主に当営業所を起点として、宇土駅間や、不知火地区・松橋地区、さらには上[[天草市]]の大矢野地区・松島地区の一部にも乗り入れています。また、上[[天草市]]の大矢野地区では、コミュニティバス『SUNまりんバス』の運行を委託されています。

以前は、本渡市（現：天草市）の本渡バスセンターとを結ぶ路線も運行していましたが、2005年頃に廃止されました。その後、2008年3月から2016年9月まで、熊本 - 天草線「快速あまくさ号」の一部が当営業所に乗り入れていました。また、1997年までは熊本市の熊本交通センター（現：桜町BT）にも乗り入れていましたが、同系統は宇土駅止めとなり、同時に九州産業交通本体直営から廃止され、子会社の産交観光バスに移管されました。

かつては、戸馳島、上[[天草市]]の大矢野地区、維和島（蔵々漁港、下山）・松島地区各方面への直通路線も多数存在しましたが、2008年10月の路線大幅再編によって全て廃止となりました。一部は、さんぱーる発着のSUNまりんバス路線として上[[天草市]]に移譲（運行は産交バスが受託）、残る路線もさんぱーるを発着点とした支線として置き換えられました。

現在は、当営業所（一部三角病院より）発着の上天草方面行きの路線は、登立経由さんぱーる線1路線に整理され、ここから各方面へ乗り換える形となっています。

当営業所からの発着路線は以下の通りです。

一般路線バス
松橋・大口線（三角病院 - 穂刈道 - 船津 - 大口 - 松合 - 不知火温泉センター前 - 宇城市不知火支所前 - 松橋産交）
黒崎環状線（三角駅通り - 際崎 - 黒崎 - 三角病院 - 古氷団地入口 - 宇城市三角支所前 - 三角駅通り - 三角産交）※上記と逆回りもあり
宇土・小田良線（五橋入口 - 三角西港前 - 大田尾 - 小田良 - 赤瀬 - 御興来 - 網田駅前 - 長浜駅前 - 長部田 - 住吉駅前 - 宇土市役所前 - 宇土駅前）
さんぱーる線（岩谷入口 - 登立 - 大矢野郵便局前 - 大矢野庁舎前 - 天草四郎公園前 - さんぱーる）一部は三角病院発着・当営業所経由
三角病院線（宇城市三角支所前 - 古氷団地入口 - 宮崎入口 - 三角病院）
その他の担当路線（さんぱーる発着）
赤崎（池の浦）線（天草四郎公園前 - 上天草高校前 - 農免道入口 - 二号橋 - 前島 - 松島 - 阿村 - 牟田 - 姫戸 - ヤマハ前 - 竜ヶ岳学校前 - 上天草病院前 - 大道 - 赤崎）※さんぱーる行は午前のみ、赤崎行は夕方のみの運行　土日祝日運休
* SUNまりんバス各路線

車両

当営業所には、国産4メーカーの車両が導入されていました。特に、いすゞ・ジャーニーKや中古車の日野・レインボーノンステップ車などの中型車両、日野・リエッセと新車としてマイクロバスの日野・リエッセⅡ、三菱ふそう・ローザなどの小型車が配属され、各路線で幅広く運用されていました。

晩年には、少数ながら大型車の配置もありました。かつて熊本都市圏路線で使用されていた他の営業所からの移管車や、川崎市交通局、小田急バス、新京成バス、水間鉄道からの移籍車両も導入され、主に三角 - 松橋線やさんぱーる - 赤崎線で使用されていました。最後まで配置されていた新京成バスからの移籍車両は、導入後一貫して三角営業所に配置されていましたが、稼働率が低く、2024年頃に玉名営業所へと転属しました。

「A列車で行こう」運行日には、三角駅 - 三角西港間を結ぶシャトルバス専用車として、天草地区の福祉バスより転用された11人乗り一般乗用車タイプのワンボックスカー（トヨタ・ハイエースコミューター　通称：豆バス）が使用されていましたが、2013年9月末日をもって運行中止となりました。その後、同年10月1日からは、当営業所発着で三角西港を経由し、上[[天草市]]のさんぱーるとを結ぶ「うきうきあまくさ♪シャレトル便」として、平日1日10往復、土日祝日1日11往復運行していました。運行車両は専用ラッピングを施した小型バス（日野・リエッセ）が使用されましたが、2019年10月1日のダイヤ改正で運行を終了し、現在は全て一般路線として運行されています。

現在の車両の方向幕は全てLED式ですが、以前のフイルム式方向幕では、三角営業所生え抜きの車両に、かつて熊本行きだった路線が宇土駅止めになった際に、方向幕と側面系統幕の「熊本(交通センター)」の部分を消去し「宇土駅」と記載したものを再使用していました。産交独自の系統番号（H8）表示各会社共通系統に変更後も、熊本市内へ乗り入れなくなったにもかかわらず、消去せずに宇土駅行、三角行共にLED行先表示式に変更されるまで残されていました。また、方向幕は最後まで従来の白地に黒色表記のままでした。



この営業所は、地域の足として、長年、多くの人々に利用されてきました。その歴史は、地域の公共交通の変遷を物語る上で、貴重な資料と言えるでしょう。

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