田広明

田広明（でん こうめい）

田広明（生年不詳 - 紀元前71年）は、前漢時代の人物で、字を子公といい、京兆尹鄭県（現在の陝西省西安市付近）の出身です。彼は郎という官職からキャリアをスタートさせ、天水司馬や河南都尉といった職を経て、その統治手腕は時に「殺伐」と評されるほど厳格でした。

武帝時代から昭帝時代にかけて

武帝の晩年、各地で盗賊が頻発するようになると、田広明は淮陽太守として治安維持に奔走しました。征和3年（紀元前90年）には、皇帝の使者を詐称して反乱を企てた公孫勇とその一味を、その偽りを見抜き、魏不害、江徳、蘇昌らの協力を得て鎮圧に成功しました。この功績により、征和4年（紀元前89年）には大鴻臚に昇進しました。

昭帝の時代に入ると、始元4年（紀元前83年）には益州の西南夷の反乱鎮圧に派遣され、その功績により関内侯を授けられました。同年には衛尉に異動。元鳳元年（紀元前80年）には、武都の氐が反乱を起こすと、執金吾馬適建、龍頟侯韓増と共に刑徒を率いて鎮圧に当たりました。

宣帝擁立と晩年

元鳳3年（紀元前78年）には左馮翊に転任し、その能力を高く評価されました。元平元年（紀元前74年）に宣帝が即位すると、御史大夫であった蔡義が丞相に昇進したため、田広明が後任の御史大夫に抜擢され、宣帝擁立の功績により列侯（昌水侯）に封じられました。

しかし、本始2年（紀元前72年）に匈奴討伐のため15万騎の大軍が動員された際、祁連将軍として出兵した田広明は、受降城で死亡した都尉の未亡人と姦淫するという不祥事を起こしました。さらに、軍の進軍が期日に遅れた責任を問われ、本始3年（紀元前71年）に太僕杜延年の尋問を受けた結果、自殺という結末を迎えました。

参考文献

班固著『漢書』
巻6 武帝紀
巻7 昭帝紀
巻8 宣帝紀
巻19下 百官公卿表下
巻90 田広明伝

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