町尻家

町尻家（まちじりけ）は、代々続く名家として、日本の歴史に名を刻んできた華族です。その起源は、藤原北家水無瀬流の公家へと遡ります。家格は羽林家であり、華族としての家格は子爵家でした。

町尻家の歴史は、権中納言水無瀬兼俊の次男、具英に始まります。彼は町尻家の祖として、この由緒ある家の礎を築きました。江戸時代には、30石の御蔵米を賜っており、経済的にも安定した生活を送っていたことが伺えます。菩提寺は、戦国大名福島正則の開基による妙心寺海福院です。この寺との繋がりは、町尻家の歴史と深く結びついています。

明治維新後、明治2年（1869年）に華族制度が誕生すると、町尻家も公家として華族に列せられました。そして、明治17年（1884年）7月7日に華族令が施行され、五爵制が導入されると、町尻家は旧堂上家として、大納言直任の例がないにもかかわらず、量衡が子爵に叙せられました。これは、町尻家の高い家格と歴史が認められた証と言えるでしょう。

11代当主の量弘には子がなかったため、中御門流壬生家から量基が養子として迎えられました。量基は陸軍軍人として活躍し、陸軍中将や陸軍省軍務局長などの要職を歴任しました。彼の時代には、町尻子爵家の邸宅が京都市上京区寺町通にありました。華族としての威厳と風格を漂わせる邸宅は、当時の人々にとって象徴的な存在であったことでしょう。

量基は、賀陽宮邦憲王の第一王女である由紀子女王と結婚し、4男1女をもうけました。その子孫には、各界で活躍した人物が数多くいます。特に、長女の登喜子は、講談社社長野間恒夫と結婚後、野間省一と再婚し、二人の間に野間佐和子をもうけました。そして、次男はキングレコード社長を務めた量光であり、町尻家の繁栄は、昭和、平成へと受け継がれていきました。

町尻家は、藤原北家という由緒ある家系に連なる公家から華族へと変遷し、日本の歴史の重要な部分を担ってきました。その歴史は、単なる家系図ではなく、日本の社会構造や政治、文化の変化を反映したダイナミックな物語となっています。彼らが築き上げた歴史、そして培ってきた伝統は、現代においても重要な意味を持つと言えるでしょう。その系譜は、数々の文献に記録されており、歴史研究において貴重な資料となっています。浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』、小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』、華族大鑑刊行会『華族大鑑』、橋本政宣 編『公家事典』、霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成』、近藤敏喬 編『宮廷公家系図集覧』といった文献を参照することで、町尻家の歴史をより深く知ることができます。これらの文献は、町尻家の歴史を多角的に理解するための重要な手がかりとなるでしょう。

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