神岡町 (岐阜県)

飛騨市神岡地区：鉱山と科学の町、そして豊かな自然

飛騨市神岡地区は、岐阜県飛騨市の北東部に位置する地域です。かつては独立した神岡町として存在し、神岡鉱山を中心とした発展を遂げてきました。周囲は山岳に囲まれた険しい地形ですが、高原川とその支流が流れ、河岸段丘に町が形成されています。特に近世以降は、鉱山町として栄え、独特の歴史と文化を育んできました。

地理と地形

神岡地区は、黒部五郎岳、北ノ俣岳、流葉山など標高の高い山々に囲まれた地域です。高原川、吉田川、山田川、跡津川などの河川が流れ、複雑な地形を形成しています。特に跡津川上流の山之村地区は、交通の便が悪く、過疎化が課題となっています。

歴史

中世～近世: 室町時代には江馬氏が高原郷を支配し、高原諏訪城を居城としていました。戦国時代には三木氏に従属した後、豊臣秀吉の支配下に入ります。江戸時代には、幕府の財政事情から鉱山開発が奨励され、神岡鉱山は再び活況を呈しました。茂住銀山や和佐保銀山を中心に、人口が増加し、経済が発展しました。

近代: 明治時代に入ると、神岡鉱山は三井組によって買収され、近代的な大規模開発が行われました。しかし、この時代には船津大火や高原川の大洪水などの災害も発生し、町は大きな被害を受けました。

現代: 神岡鉱山からのカドミウム流出によるイタイイタイ病問題が発生し、大きな社会問題となりました。戦後には、神岡城の模擬天守が建設され、高原郷土館が開館するなど、地域の歴史や文化を伝える取り組みがなされました。1983年には、カミオカンデ、1996年にはスーパーカミオカンデが建設され、ニュートリノ観測の世界的拠点となりました。2001年には神岡鉱山が閉山しました。近年では、ひだ宇宙科学館カミオカラボなどの観光施設も整備され、科学と自然を融合させた新たな魅力を生み出しています。

行政区画の変遷

神岡地区は、明治維新後、高山県、筑摩県を経て岐阜県に属しました。1950年に船津町、阿曽布村、袖川村が合併して神岡町となり、2004年には古川町、宮川村、河合村と合併して飛騨市の一部となりました。

教育、交通、文化

神岡地区には、高等学校、中学校、小学校、図書館などの教育施設が整備されています。また、かつては神岡鉄道神岡線が運行されていましたが、現在は廃線となっています。国道41号、国道471号などの道路が整備されていますが、冬季には通行止めとなる道路もあります。文化施設としては、小萱薬師堂（国宝）、江馬氏城館跡（国史跡）、鉱山資料館、ひだ流葉スキー場、道の駅宙ドーム・神岡、ひだ宇宙科学館カミオカラボなどがあります。

まとめ

飛騨市神岡地区は、鉱山開発の歴史、イタイイタイ病問題、そして最先端の科学研究施設という複雑で興味深い歴史を持つ地域です。豊かな自然と歴史的建造物、近代科学施設が調和した、独特の景観と魅力を有しています。今後も、科学と自然を融合させた地域づくりが期待されます。

もう一度検索