第三次チャタヌーガの戦い

第三次チャタヌーガの戦い：南北戦争の転換点

第三次チャタヌーガの戦い（1863年11月23日～25日）は、南北戦争における重要な戦いの一つです。一般的には「チャタヌーガの戦い」として知られ、ルックアウト山の戦いやミッショナリー・リッジの戦いとも呼ばれます。この戦いで北軍は南軍を打ち破り、テネシー州における南軍の勢力を一掃し、ディープサウスへの侵攻への道を開きました。この勝利は、後のアトランタ方面作戦に繋がる重要な一歩となりました。

戦いの背景

チカマウガの戦いで大敗を喫した北軍のカンバーランド軍は、チャタヌーガに撤退しました。南軍のブラクストン・ブラッグ将軍はチャタヌーガを包囲し、北軍を飢えさせて降伏させようとしました。しかし、南軍の追撃は遅く、北軍は防御を固める時間を得ました。南軍はルックアウト山とミッショナリー・リッジに陣取り、そこからチャタヌーガ市内や北軍の補給路を監視していました。ルックアウト山に設置された大砲は川からの接近を遮断し、騎兵隊はチャタヌーガに向かう補給隊を襲撃しました。そのため、北軍は別の補給路を確保する必要に迫られました。

北軍政府は事態を深刻に受け止め、援軍を派遣。ユリシーズ・グラント少将が西部軍の指揮官に任命され、チャタヌーガに移動しました。グラントはローズクランズを解任し、ジョージ・ヘンリー・トーマス少将を後任に据えました。グラントの技師長であるウィリアム・F・スミスは、テネシー川を解放する「クラッカー・ライン」作戦を立案し、ブラウンズフェリーへの奇襲上陸に成功。これにより、チャタヌーガへの補給路が開かれ、グラント軍は有利な状況で戦えるようになりました。南軍はこれに対抗するため、ジェイムズ・ロングストリート中将にルックアウト渓谷から北軍を排除するよう命じましたが、ウォーハッチーの戦いで南軍は撃退され、クラッカー・ラインは確保されました。

戦力

北軍

グラントのミシシッピ軍事地区軍は以下の部隊で構成されていました。

カンバーランド軍: ジョージ・ヘンリー・トーマス少将指揮。ゴードン・グランジャー少将の第4軍団とジョン・M・パーマー少将の第14軍団。
テネシー軍: ウィリアム・シャーマン少将指揮。フランクリン・P・ブレア・ジュニア少将の第15軍団とジョン・E・スミス准将の第17軍団第2師団。
ジョセフ・フッカー少将指揮部隊: オリバー・O・ハワード少将の第11軍団とジョン・W・ギアリー准将の第12軍団第2師団。フッカーは第4、第14、第15軍団の一部も指揮。

南軍

ブラッグのテネシー軍は以下の部隊で編成されていました。

ハーディ軍団: ウィリアム・J・ハーディ中将指揮。
ブレッキンリッジ軍団: ジョン・ブレッキンリッジ少将指揮。

10月31日、ブラッグはロングストリート軍団をノックスビルへ派遣し、アンブローズ・バーンサイド少将の北軍に対抗させ、戦力を大きく削減しました。さらに11月22日にはサイモン・B・バックナー少将の師団もノックスビルに派遣し、戦力はさらに低下しました。

戦闘の経過

オーチャード・ノブでの戦闘

11月中旬、シャーマンがテネシー軍を率いて到着すると、グラントは攻撃を開始。11月23日、オーチャード・ノブと周辺の南軍前哨基地を攻撃し、これを占領しました。この拠点を確保したことで、北軍は次の戦闘のための足場を築きました。

ルックアウト山の戦い

11月24日、北軍は二方向からの攻撃を開始。フッカー隊はルックアウト山の南軍左翼を、シャーマン隊はミッショナリー・リッジの北縁を攻撃しました。フッカー隊はルックアウト山の麓を迂回し、南軍の抵抗を排除しながら山頂近くのクラベンス・ハウスまで進撃しました。濃霧の中で両軍は交戦を続けましたが、南軍は劣勢を悟り撤退。シャーマン隊はテネシー川を渡ってミッショナリー・リッジの北縁に陣取りましたが、実際にはビリーゴート・ヒルという別の尾根にいました。

ミッショナリー・リッジの戦い

11月25日、グラントは作戦を変更し、シャーマンとフッカーによる挟撃を計画しました。トーマス隊はシャーマン隊の後を進み、ミッショナリー・リッジに向かうことになりました。しかし、シャーマン隊はクリバーン師団の抵抗に遭い、フッカー隊の進軍は橋の破壊によって遅れました。午後3時頃、トンネル・ヒルを守っていた南軍が突撃し、シャーマン隊を押し返しました。グラントはこれを見てトーマス隊に南軍前線を攻撃するよう命じました。トーマス隊は第一線の塹壕を占拠しましたが、尾根からの激しい攻撃に苦戦しました。しかし、兵士たちは自発的に尾根への攻撃を継続し、南軍を圧倒しました。この無秩序ながらも効果的な攻撃により、南軍は壊滅的な敗北を喫しました。

午後4時半までに南軍の中央部が完全に崩壊し、ミッショナリー・リッジは放棄されました。南軍は東のチカマウガ川まで撤退しましたが、クリバーン師団は殿軍を務めました。

ロスビル・ギャップでの戦闘

ブレッキンリッジは、フッカー隊がチャタヌーガ・クリークに橋を架けているのを目撃し、左翼の防御を心配してロスビル・ギャップを守るよう命令しましたが、既に遅く、オスターハウス師団が峡谷を通過していました。フッカー隊は3方向から南軍を攻撃し、ホルツクロー隊は降伏しました。

戦いの後

ブラッグはウェスタン・アンド・アトランティック鉄道のチカマウガ駅まで撤退し、その後、ジョージア州ダルトンまで退却しました。この撤退の最中、幾つかの小規模な戦闘が発生しました。

第三次チャタヌーガの戦いでの北軍の損害は約5,824名、南軍の損害は約6,667名でした。北軍は40門の大砲と大量の物資を鹵獲しました。

戦いの評価

グラントは、自身の命令が正確に実行されなかったことに当初は激怒しましたが、結果的には北軍が勝利を収めました。ブラッグは、防御陣地を地形的頂点に配置したことや、防御線を薄く広げすぎたことなどが批判されました。この戦いの勝利により、北軍は「ローワー・サウス」への入り口を確保し、シャーマンによるアトランタ方面作戦の足掛かりとしました。グラントは1864年3月に北軍全軍の司令官に就任し、西部戦線における最後の戦いに勝利しました。

参考文献

National Park Service battle description
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外部リンク

Period images of the Chattanooga battlefield

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