第3軍団イタリカ

第3軍団イタリカ：ローマ帝国の国境を守り抜いた精鋭軍団

第3軍団イタリカ（Legio III Italica）は、ローマ帝国の辺境防衛において重要な役割を果たした軍団の一つです。165年頃、マルクス・アウレリウス帝がマルコマンニ族との戦いのために編成しました。軍団の通称「イタリカ」は、兵士がイタリアで徴募されたことに由来します。約420年頃まで、ゲルマニアでその名が確認されており、長きにわたり帝国の防衛を支え続けました。

マルコマンニ戦争での活躍と拠点「カストラ・レジーナ」の建設

第3軍団イタリカは、第2軍団イタリカや第1軍団アディウトリクスと共に、創設当初からドナウ川沿いの属州に配備され、マルコマンニ族の侵攻からラエティア属州とノリクム属州を防衛しました。171年には、現在のレーゲンスブルクに「カストラ・レジーナ（Castra Regina）」と呼ばれる強固な防衛拠点を建設し、この地を本拠地として長年にわたり活動しました。

内戦への関与と忠誠

193年の内戦では、第3軍団イタリカはセプティミウス・セウェルスを支持し、彼のライバルであったペルティナクス、ディディウス・ユリアヌス、ペスケンニウス・ニゲル、クロディウス・アルビヌスらを破る戦いに貢献しました。その後もセプティミウスの後継者であるカラカラ帝に忠誠を尽くし、213年にはアレマン人との戦役にも参加しています。

ゴルディアヌス3世の対サーサーン朝戦役と「3世紀の危機」

「第3軍団イタリカ・ゴルディアナ」という通称が記録されていることから、一部部隊は243年から244年にかけてのゴルディアヌス3世によるサーサーン朝に対する戦役にも従軍したと考えられています。3世紀の危機と呼ばれる時代には、ドナウ川方面の強力な戦力として、頻発する権力闘争にも深く関与しました。ガッリエヌスを支持し、彼の敵対者であるマルクス・カッシアニウス・ラティニウス・ポストゥムスとの戦いで功績を挙げ、「VI Pia VI Fidelis」（六たび忠にして六たび誠なり）、「VII Pia VII Fidelis」（七たび忠にして七たび誠なり）という称号を与えられました。

パルミラ戦役と5世紀初頭の駐屯

本営は引き続きレーゲンスブルクに置かれましたが、273年にはルキウス・ドミティウス・アウレリアヌス帝が率いたパルミラ帝国に対する戦役にも参加しました。

5世紀初頭には、第3軍団イタリカ隷下の野戦軍部隊（コミタテンセス）が、『ノティティア・ディグニタートゥム』という書物の中で、カストラ・レジーナとドナウ川方面の属州に駐屯していることが記録されています。これは、軍団が長きにわたり、ローマ帝国の国境防衛に貢献し続けた証と言えるでしょう。

関連項目

ローマ軍団一覧

外部リンク

livius.org 第3軍団イタリカの説明

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