第7師団 (陸上自衛隊)

陸上自衛隊第7師団について

陸上自衛隊第7師団は、北部方面隊直轄の機甲師団であり、その司令部を北海道千歳市の東千歳駐屯地に置いています。この師団は、陸上自衛隊の中で唯一の機甲師団として、独自の役割と歴史を持っています。

概要

第7師団は、約200両の戦車を保有し、これは陸上自衛隊全体の約1/3に相当します。3個の戦車連隊を中心に構成されており、これらの連隊は、師団の機動打撃力の中核を担っています。また、特科部隊が装備する火砲は完全自走化されており、重装備による高い機動性と打撃力を有しています。

さらに、第7師団は普通科部隊である第11普通科連隊も保有しています。この連隊は、6個の普通科中隊を基幹とし、重迫撃砲中隊を含めて完全機械化されており、高度な機動力を備えています。他の師旅団と比較して、偵察隊や通信隊なども装甲車で機械化されており、部隊全体の機械化が進んでいることが特徴です。

第7師団は、前身の第7混成団時代から機械化部隊としての編成が進められてきました。陸上自衛隊が北方重視の戦略を取っていた時代、予算的な制約から他の混成団の機械化改編が断念される中、第7師団は特例的に機械化が進められてきました。1962年の師団改編時にも丙師団（機械化部隊）として位置づけられ、1980年の機甲師団化により、その特性がさらに強化されました。

冷戦終結後も、第7師団は機動運用部隊としての役割を維持し、必要に応じて他の地域への展開も行います。また、胆振・日高地域の防衛警備、災害派遣、民生協力、国際貢献活動など、多岐にわたる任務を遂行しています。

沿革

第7師団の歴史は、1955年に編成された第7混成団に遡ります。

第7混成団時代（1955年～1962年）

1955年12月1日：第7混成団本部が真駒内駐屯地で編成。
1956年1月：隷下部隊への指揮権行使開始、第18普通科連隊などを編合。
1956年2月：特科連隊、施設大隊など主要部隊が真駒内駐屯地に移駐。
1956年6月：第7混成団および真駒内駐屯地開庁式。
1960年頃：第18普通科連隊、第7特科連隊を主要編成とする。
1961年2月：第11普通科連隊が編入、第18普通科連隊が隷属替え。
1961年2月：機械化部隊に改編、第23、24普通科連隊、第7特車大隊などが編成。
1962年1月：第7混成団が東千歳駐屯地へ移駐、第7特車大隊が第7戦車大隊に名称変更。

第7師団時代（1962年～現在）

1962年8月：師団へ改編し、第7混成団を第7師団に称号変更。
1967年8月：第23普通科連隊で訓練中の事故が発生。
1975年8月：第7音楽隊を新編。
1976年2月：第7戦車大隊に74式戦車の配備開始。
1977年8月：有珠山噴火災害派遣。
1981年3月：機甲師団へ改編。
第7戦車大隊を第71戦車連隊に改編。
第72、73戦車連隊を新編。
第23普通科連隊を廃止、第24普通科連隊を第8師団へ異動。
第7後方支援連隊を新編。
1982年9月：日米共同訓練参加。
1988年3月：第7師団司令部付隊に化学防護小隊を新編。
1990年3月：第73戦車連隊が移駐。
1990年3月：戦車北転事業により各戦車連隊を増強。
1992年6月：第71戦車連隊に90式戦車の配備を開始。
1992年10月：第11普通科連隊に89式装甲戦闘車の配備を開始。
1993年4月：カンボジア国際平和協力業務へ派遣。
1994年3月：師団改編。
第71戦車連隊の装備を90式戦車に換装。
第7高射特科連隊の装備を換装。
化学防護隊を改編。
北部方面航空隊の第7飛行隊を隷下に編合。
1995年1月：阪神・淡路大震災災害派遣。
1997年6月：国連兵力引き離し監視隊 (UNDOF) へ派遣。
1999年7月：第73戦車連隊に90式戦車の配備を開始。
2000年3月：部隊改編（第73戦車連隊のコア部隊化、第7後方支援連隊の改編など）。
2000年3月：有珠山噴火災害派遣。
2002年4月：東ティモール国際平和協力業務へ派遣。
2004年2月～5月：イラク復興支援群派遣。
2005年1月：インドネシア・スマトラ島沖へ国際緊急医療・航空援助隊派遣。
2011年3月：東日本大震災災害派遣。
2013年12月：第7偵察隊に90式戦車の配備を開始。
2014年3月：総合近代化改編（第73戦車連隊をフル化）。
2017年1月：第71戦車連隊に10式戦車の配備を開始。
2023年3月：第71、72戦車連隊の第5戦車中隊を廃止。
2024年3月：第73戦車連隊の第5戦車中隊を廃止。

編成・駐屯地

第7師団の司令部は東千歳駐屯地に所在し、主要な部隊は以下の通りです。

第71戦車連隊：北千歳駐屯地
第72戦車連隊：北恵庭駐屯地
第73戦車連隊：南恵庭駐屯地
第11普通科連隊：東千歳駐屯地
第7特科連隊：静内駐屯地
第7高射特科連隊：静内駐屯地
第7後方支援連隊：東千歳駐屯地
第7施設大隊：南恵庭駐屯地
第7通信大隊：東千歳駐屯地
第7偵察隊：東千歳駐屯地
第7化学防護隊：東千歳駐屯地

主要幹部

師団長は、陸将補が務めています。

警備地区

第7師団の警備地区は、北海道の胆振・日高地方です。各部隊は、それぞれの警備隊区を担当しています。

部隊改編

第7混成団新編（1955年）

1個普通科連隊基幹。第18普通科連隊内に特車中隊。

機械化混成団改編（1961年）

普通科連隊3個を基幹に、特車部隊を大隊に増強。有事には装甲輸送隊の支援により、普通科部隊の機械化を図る。

師団改編（1962年）

第7混成団を第7師団に改編。陸上自衛隊で唯一の丙師団（機械化部隊）。

機甲師団改編（1981年）

3個普通科連隊・1個戦車大隊編成から、3個戦車連隊・1個普通科連隊編成へ改編。

「戦車の北転事業」にともなう部隊改編（1990年）

各戦車連隊を増強（5個戦車中隊基幹）。

戦車定数削減にともなう部隊改編（2023年～2024年）

戦車定数削減により、各戦車連隊を縮小（4個戦車中隊基幹）。

脚注

第7師団は、その歴史と伝統を通じて、陸上自衛隊の重要な戦力として、引き続き日本の平和と安全に貢献しています。

出典

『北部方面隊50年のあゆみ：歩みつづけるつわものたちのきらめく記憶』（山藤印刷株式会社／編集、陸上自衛隊北部方面総監部／監修 2003）

外部リンク

東千歳駐屯地
第7師団 (@7th_Division_pr) - X（旧Twitter）
* 戦車・装甲車など400両行進 北海道の陸自第7師団 - YouTube

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