第7軍団クラウディア・ピア・フィデリス

第7軍団クラウディア・ピア・フィデリス：ローマ帝国の古参軍団

第7軍団クラウディア・ピア・フィデリスは、共和政末期から帝政後期まで、ローマ帝国の歴史を彩った重要な軍団の一つです。創設当初は「パテルナ」（古参兵の意）と呼ばれ、一時「マケドニカ」とも呼ばれました。紋章は牡牛とライオンです。

創設と初期の活動

軍団は、ガイウス・ユリウス・カエサルがガリア戦争中に創設しました。プブリウス・リキニウス・クラッススの指揮下で活躍し、紀元前55年のブリタンニア侵攻や、ウェルキンゲトリクスの反乱鎮圧、アレシアの戦いなど、数々の重要な戦いに参加しました。

カエサルとポンペイウスの内戦では、カエサル派としてヒスパニアやデュッラキウム、ファルサルスの戦いなどで勝利に貢献しました。内戦終結後に一時解散しましたが、カエサルのアフリカ遠征のために再編成され、カプアとルッカの土地を与えられました。カエサルの暗殺後、多くの兵士がオクタウィアヌスの指揮下に入り、軍団は「パテルナ」の名で再編され、ムティナの戦いやフィリッピの戦いに参戦しました。

ユリウス＝クラウディウス朝

オクタウィアヌスがアウグストゥス帝となると、軍団はガラティアに駐屯し、「マケドニカ」と呼ばれることが多くなりました。トイトブルク森の戦いで3個軍団が壊滅すると、ダルマティアに移動し、第11軍団と駐屯地を共有しました。

クラウディウス帝の時代には、スクリボニアヌスの反乱を第11軍団と共に鎮圧し、「クラウディア・ピア・フィデリス」（忠実なるクラウディウスの軍団）の称号を授与されました。ネロ帝の時代には、パルティア戦役のため東方に移動しましたが、駐屯地は特定されていません。

フラウィウス朝

68年の内戦では、軍団はオトを支持し、ウィテッリウスとの戦いに参加しましたが、クレモナで敗北しました。ウィテッリウスは軍団を処罰せず、ドナウ川駐屯地へ帰還させました。オトの自殺後、ウェスパシアヌスを支持し、マルクス・アントニウス・プリムスの指揮下で再びクレモナでウィテッリウス軍に勝利し、ウェスパシアヌスの帝位確立に貢献しました。

2世紀には、バルカン半島のモエシアに駐屯しました。ドミティアヌス帝は、ダキア人の侵攻に対抗するため、ドナウ川流域の軍団を再編し、第7軍団は第4軍団フラウィア・フェリクスと共に駐屯したと考えられています。88年にはダキアへの侵攻作戦に参加しましたが、ゲルマニア・スペリオルでの反乱により、完全な勝利は得られませんでした。

五賢帝時代

トラヤヌス帝の時代、ダキア戦争で重要な役割を果たし、属州化に貢献しました。116年には、キトス戦争鎮圧のためキプロス島へ派遣されました。トラヤヌス帝がパルティアとの戦いを継続していたため、メソポタミアに駐屯していた時期もあったと考えられています。

160年、軍団は東方から帰還し、ドナウ川流域に戻り、マルクス・アウレリウス帝のもとでマルコマンニ戦争を戦いました。疫病の流行などで苦戦し、新兵の増強を年2回行う必要がありました。175年、シリア属州総督カッシウスの反乱により、ドナウ川流域での属州建設は頓挫しました。178年から180年にかけて再び紛争が発生し、第7軍団が鎮圧活動で重要な役割を担ったと考えられています。コンモドゥス帝は戦役を終了させ、軍団にとってしばらく平穏な時期が続きました。

セウェルス朝以降

193年、セプティミウス・セウェルス帝が帝位を宣言すると、第7軍団は彼を支持しました。セウェルス帝は、ユリアヌス帝やニゲル帝との戦いに勝利し、権力を確立しました。第7軍団の一部は、これらの戦いに参加し、パルティア戦役や198年のクテシフォン陥落にも関わったと考えられています。

カラカラ帝の時代にもパルティアに進攻し、サーサーン朝との戦いにも参加したと考えられていますが、どの戦いに参加したかは不明です。その後の第7軍団の活動は不明な点が多く、ガッリエヌス帝とポストゥムス帝の争いではガッリエヌス帝を支持し、新たな名前を授与された可能性もありますが、詳細は不明です。

第7軍団クラウディア・ピア・フィデリスは、ローマ帝国の興亡を見守り、数々の戦場でその名を刻んだ、歴史ある軍団でした。

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