筑紫 (測量艦)

測量艦 筑紫（つくし）

筑紫は日本海軍の測量艦であり、1943年にカビエン沖で触雷して沈没した艦です。この艦名は九州地域に由来し、巡洋艦「筑紫」に続く二代目に当たります。筑紫は、日本海軍初の測量専門艦として1937年度の計画に基づいて設計されました。当初計画番号はJ11で、1942年度には改型艦（J11c）の建造も計画されましたが、戦局の悪化によりこれも中止となり、筑紫だけが測量艦として運用されました。

筑紫は、敷設艦「勝力」を基本に設計され、前線で単独での測量行動を念頭に兵装が搭載されています。艦型は海防艦のような小型艦艇に近いもので、30トンの測量機材や、細い場所での測量が可能な10メートルの測量艇を四隻、さらに航空測量のために零式小型水上機も一機搭載しています。艦内には製図室、気象作業室、海象作業室などが設けられ、主機は大和型戦艦向けに設計されたディーゼル機関が使用されています。

艦歴

筑紫は、仮称艦名「第56号艦」として1940年8月30日に命名されました。1941年12月17日に三菱重工業横浜船渠で竣工し、横須賀鎮守府に所属。就役後は第三艦隊に配属され、測量隊を乗せて横須賀を出発し、ラモン湾での測量を開始しました。

その後、マナドやケンダリの攻略戦、さらにマカッサル攻略戦にも参加。ジャワ島攻略戦では主要部隊として従事しました。また、スラバヤ沖海戦やバタビア沖海戦にも参加し、戦況が厳しくなる中で艦艇の護衛や測量任務を遂行しました。1943年3月にはトラック諸島に赴き、その後はラバウル方面での任務に従事しました。

しかし、1943年11月4日にカビエン近海での輸送任務中、触雷により沈没し、艦艇と乗員の運命が閉ざされました。除籍は1944年1月5日に実施され、長い艦歴に幕を閉じました。筑紫の艦長には山高松次郎大佐が艤装員長として就任し、その後も特務艦長として艦を指導しました。

筑紫はその短い歴史の中で、数多くの任務に従事し、戦時における測量艦の役割を果たしました。その存在は、日本海軍の測量能力や戦略の一翼を担い、艦艇としての重要な役割を果たしました。

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