美智也まつりライブ

『美智也まつりライブ』

『美智也まつりライブ』は、日本の歌手である三橋美智也が1984年に発表したライブアルバムです。彼にとって、ライブ盤のリリースは1973年の『あつい円熟』以来となり、およそ11年ぶりのことでした。本作には、前年である1983年10月28日に東京郵便貯金会館で行われた、彼の歌謡生活30周年記念リサイタルの模様が収められています。

このリサイタルは、長きにわたるキャリアの節目を祝うものであり、そのステージからは三橋美智也の円熟期における歌声や演奏の魅力があふれています。アルバム構成は、LPレコード時代の第1面、第2面に分けられており、彼の代表的なヒット曲から、故郷への思いを歌った楽曲、さらには得意とする民謡や三味線の演奏まで、多岐にわたる選曲が特徴です。

ライブは「祭り獅子」の力強いオープニングで幕を開け、往年の名曲の数々が披露されました。「おんな船頭唄」「君は海鳥渡り鳥」「あの娘が泣いてる波止場」「リンゴ村から」といった初期のミリオンセラーや、国民的なヒットとなった「達者でナ」「哀愁列車」「おさらば東京」「赤い夕陽の故郷」などが次々と歌われ、観客を魅了しました。また、「岩手の和尚さん」「石狩川悲歌」「星屑の町」といった、情景豊かな作品も含まれています。

第2面では、叙情的な「越後絶唱」や、小椋佳が作詞・作曲を手がけた「十六夜だより」といった比較的新しい楽曲が披露されたほか、彼の歌唱力の真骨頂ともいえる「古城」が歌われました。さらに、「武田節」のような歴史を歌う楽曲や、日本の伝統音楽である「江差追分（前唄）」、「津軽じょんがら節」の三味線演奏、「新相馬節」、「北海盆唄」といった民謡メドレーがプログラムに組み込まれており、歌手としてのみならず、民謡歌手、そして三味線奏者としての彼の幅広い才能が遺憾なく発揮されました。

このライブアルバムは、30周年という記念碑的なリサイタルの熱気と感動、そして三橋美智也の歌の世界の集大成を捉えた貴重な記録であり、彼のキャリアを振り返る上で重要な作品と言えるでしょう。

収録曲

第1面

祭り獅子（オープニング） 作詞:高橋掬太郎／作曲:細川潤一
おんな船頭唄 作詞:藤間哲郎／作曲:山口俊郎
君は海鳥渡り鳥 作詞:矢野亮／作曲:真木陽
あの娘が泣いてる波止場 作詞:高野公男／作曲:船村徹
リンゴ村から 作詞:矢野亮／作曲:林伊佐緒
リンゴ花咲く故郷へ 作詞:矢野亮／作曲:林伊佐緒
おさげと花と地蔵さんと 作詞:東條寿三郎／作曲:細川潤一
達者でナ 作詞:横井弘／作曲:中野忠晴
哀愁列車 作詞:横井弘／作曲:鎌多俊与
センチメンタルトーキョー 作詞:東條寿三郎／作曲:佐伯としを
おさらば東京 作詞:横井弘／作曲:中野忠晴
赤い夕陽の故郷 作詞:横井弘／作曲:中野忠晴
岩手の和尚さん 作詞:矢野亮／作曲:吉田矢健治
石狩川悲歌 作詞:高橋掬太郎／作曲:江口浩司
星屑の町 作詞:東條寿三郎／作曲:安部芳明

第2面

越後絶唱 作詞:横井弘／作曲:桜田誠一／編曲:丸山雅仁
十六夜だより 作詞・作曲:小椋佳／編曲:斉藤恒夫
古城 作詞:高橋掬太郎／作曲:細川潤一
武田節 作詞:米山愛紫／作曲:明本京静
江差追分（前唄）
津軽じょんがら節（三味線演奏）
新相馬節
* 北海盆唄（フィナーレ）

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