聖霊運動

聖霊運動の概要

聖霊運動とは、聖霊によってキリスト教会の刷新を目指す運動のことを指します。特に20世紀以降、この運動はペンテコステ派、カリスマ運動、聖霊の第三の波と呼ばれる様々な教派としても展開され、総じて「聖霊派」として知られています。キリスト教の歴史において、聖霊は三位一体の神の一位格として位置づけられ、使徒信条やニカイア・コンスタンティノポリス信条などの古代の信条も、聖霊に対する信仰を明確にしています。しかし、中世のローマ・カトリック教会は、聖霊を教会の秘跡を通してだけ働く存在として位置づけ、聖霊との個別の関係があまり重視されなくなっていったと言われています。その一方で、教会史の中には聖霊運動に関連する明確な行き過ぎや誤り、分派も存在しています。

各地の聖霊運動

聖霊運動は、地域ごとに様々な形で広がってきました。ここではその一部を紹介します。

モンタノス派

2世紀に登場したモンタノス派は、恍惚状態になり異言を語ったり預言を行ったりしたと伝えられています。この動きが聖霊運動の初期のひとつとされています。

ネストリウス派

4世紀のネストリウス派は、カリスマ運動の先駆けとして見なされることがあります。この見方は、手束正昭によって提唱されており、ネストリウス派はカリスマ運動の再興と考えられています。

ローマ・カトリック

ローマ・カトリック教会の中には、主流とは異なる神秘主義的な流れが存在していました。偽ディオニシウス・アレオパギタやエックハルトのような思弁的神秘主義に加え、クレルヴォーのベルナルドゥス、ボナベントゥラ、トマス・ア・ケンピスといった信仰的神秘主義者たちが活動していました。

宗教改革

宗教改革を推進したルターやジャン・カルヴァンは、異言や奇蹟を否定しましたが、再生論や内的証明において聖霊の働きを強調しました。

ユグノー

17世紀のカミザールの乱の際には、少女や子どもたちが恍惚状態で預言を行い、ユグノーの指導者として「預言者」と称されました。

フレンド派

フレンド派は、内なる光を強調する運動で、創始者のジョージ・フォックスは幻を見たとされています。

敬虔主義

敬虔主義の一部も聖霊運動として位置づけられています。

スコットランド

19世紀のスコットランドでは、長老教会の牧師エドワード・アービングが預言、異言、癒しを実践し、アーヴィング主義（Irvingism）として知られるようになりました。彼は特にカトリック使徒教会の形成と深く関わっているとされています。

ウェールズ

ウェールズでは、リバイバルの中で未来を預言する牧師が存在しました。短い期間での出来事として、多くの信者たちに影響を与えました。

正教会

19世紀のロシア正教会において、「聖霊の傾注」という現象が見られました。これは聖霊派による見解であり、聖霊がバプテスマを受けた信者に異言や預言を語らせたとされています。また、アルメニア教会にもこの影響が及び、アメリカにおけるペンテコステ派やカリスマ運動へとつながったと考えられています。

関連情報

この運動に関連する重要な項目には「聖霊派」があります。

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