自由学校

自由学校

概要

『自由学校』は、作家・獅子文六によって書かれた小説で、『朝日新聞』に1950年5月26日から12月11日まで連載されました。戦後の混乱期における人々の生き方や価値観の変化を、ユーモラスかつ風刺的に描いた作品です。物語は、主人公夫婦である南村五百助と駒子が、五百助の突然の家出をきっかけに、それぞれが新たな出会いを経験し、成長していく姿を追います。小説の舞台には、お茶の水橋の下の住居や神田駅付近の闇市など、作者自身が神田駿河台に住んでいた頃の見聞が反映されています。

あらすじ

物語は、南村五百助が妻の駒子に無断で会社を辞め、家出したことから始まります。この出来事をきっかけに、夫婦は別々の道を歩むことになり、それぞれの場所で様々な人々と出会い、交際していきます。五百助は新しい生き方を模索し、駒子は自立した女性として成長していきます。物語の背景には、戦後の社会情勢や人々の価値観の変動が色濃く描かれており、その中で登場人物たちが織りなす人間模様が、読者の共感を呼びます。

映画化

『自由学校』は、その人気から映画化もされました。特筆すべきは、松竹と大映が競作し、同じ週に公開するという異例の事態となった点です。1951年5月のゴールデンウィークに公開され、両作品とも興行成績が非常に良かったことから、「ゴールデンウィーク」という言葉が生まれたきっかけの一つとも言われています。

松竹版

松竹版は、渋谷実監督によって映画化されました。佐分利信が五百助を、高峰三枝子が駒子を演じ、佐田啓二の「とんでもはっぷん」などの台詞が流行語になるほど人気を博しました。配給収入は5823万円を記録しました。

主なスタッフ

監督：渋谷実
製作：山本武
脚色：斎藤良輔
撮影：長岡博之
音楽：伊福部昭
美術：浜田辰雄

主なキャスト

南村五百助：佐分利信
南村駒子：高峰三枝子
羽根田力：三津田健
羽根田銀子：田村秋子
藤村ユリ：淡島千景
堀芳蘭：杉村春子
堀隆文：佐田啓二
辺見卓：清水将夫
平さん：笠智衆
茂木：松井翠声
茂木夫人：高橋豊子
長谷川金次：東野英治郎
加治木：小沢栄
下宿のおばさん：望月美恵子

大映版

大映版は、吉村公三郎監督によって映画化されました。五百助役は公募で選ばれた小野文春が務め、木暮実千代が駒子を演じました。配給収入は8000万円を記録し、松竹版を上回る興行成績をあげました。

主なスタッフ

監督：吉村公三郎
製作：服部靜夫
脚本：新藤兼人
撮影：中井朝一
音楽：仁木他喜雄
美術：今井高一
スクリプター：宮田重雄

主なキャスト

南村五百助：小野文春
妻・駒子：木暮実千代
ユリ：京マチ子
隆文：大泉滉
羽根田博士：徳川夢声
妻・銀子：英百合子
藤村功一：山口勇
藤村の妻：織賀邦江
堀芳蘭：岡村文子
菱刈乙丸：河原侃二
辺見卓：山村聡
加治木健兵：殿山泰司
同志・高橋：宮崎準
じいさん：藤原釜足
平さん：藤田進
高山：加東大介
茂木：斎藤達雄
茂木夫人：荒川さつき
高杉未亡人：宮原恭子

テレビドラマ化

『自由学校』は、テレビドラマとしても二度映像化されています。

1965年版

1965年には、『新・自由学校』のタイトルで、東海テレビの昼ドラマ枠にて放送されました。脚本は早坂暁が担当し、左幸子、木村功、宮川洋一らが出演しました。

主なスタッフ

脚本：早坂暁

主なキャスト

左幸子
木村功
宮川洋一

1978年版

1978年には、NHKの『銀河テレビ小説』枠で、『新自由学校』として放送されました。脚本は松木ひろしが担当し、中条静夫と秋野暢子が主演を務めました。

主なスタッフ

脚本：松木ひろし
音楽：竹田由彦
タイトル画：脇田和
演奏：コンセール・レニエ

主なキャスト

五百助：中条静夫
駒子：秋野暢子
馬渕晴子
ひし美ゆり子
* 荒木道子

脚注

外部リンク

銀河テレビ小説　新自由学校 - NHK放送史

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