航空士 (自衛隊)

航空士とは

航空士とは、自衛隊において航空機に搭乗し、航法、通信、機上整備、偵察などの任務を行う隊員に与えられる部内資格です。航空士は、地上勤務の隊員から適性検査や身体検査に合格した者を選抜し、専門的な教育課程を経て養成されます。

航空士は、航空機に搭乗して任務を行うため、航空身体検査の基準を満たす必要があります。また、専門的な知識や技能が求められるため、選抜倍率が高い傾向にあります。

航空士の資格は防衛大臣によって付与されますが、航空法に基づく1等・2等航空士、航空機関士、航空通信士の技能証明を必要とします。さらに、所定の経験を積み、防衛大臣が指定する講習を修了し、自衛隊の正規教育課程を修了することが求められます。

航空士は、操縦士と同様に航空徽章（ウィングマーク）を着用しますが、海陸では銀色、航空自衛隊では操縦士とは異なる形状のものが用いられます。

航空士の職種

航空士には、以下のような様々な職種があります。

航法・通信

航法員：海上[[自衛隊]]において、航路の計算・設定を行います。かつては新人の操縦士が担当していましたが、現在は機上通信員と統合され、航法・通信員となっています。
機上通信員：海上[[自衛隊]]において、航空基地や洋上管制隊と無線による位置通報を行います。航空電子整備員から選抜されます。通信機器の進化により、現在は航法員と兼務する航法・通信員となっています。
航法・通信員：海上[[自衛隊]]において、航法員と機上通信員の役割を兼務します。戦術[[航空士]]養成課程修了者が就きます。
機上無線員：航空自衛隊において、無線通信を担当します。

機関・整備

機上整備員：民間機の航空機関士に相当し、海上[[自衛隊]]では哨戒機に搭乗してエンジンを監視したり、副操縦士の補助を行ったりします。陸上自衛隊では、輸送ヘリに搭乗します。
ヘリコプター整備員（機上）：航空自衛隊において、ヘリコプターの搭乗員として、飛行前の点検、各種装置の操作・整備、周囲の監視などを行います。
航空機整備員（機上）：航空自衛隊において、固定翼輸送機の搭乗員として、飛行前の点検、各種装置の操作・整備、ロードマスターの支援などを行います。
機上電子整備員：海上[[自衛隊]]において、哨戒機に搭載された電子機器の状況を把握し、故障探求や修理を行います。航空自衛隊にも同名の職種がありますが、こちらは地上要員です。
検査員：航空自衛隊において、飛行点検隊に所属し、飛行検査用航空機で全国の飛行場へ赴き、航空保安施設をチェックします。

救助・衛生

救難員：航空自衛隊において、不時着・墜落した搭乗員の捜索救難を主任務とし、災害派遣では民間人の救難活動にも従事します。過酷な訓練を受け、パラシュートで降下して救助活動を行います。
機上救助員：海上[[自衛隊]]において、飛行艇に搭乗し、着水後に潜水や遊泳で機外へ進出して対象者を救助します。海洋での救助活動に特化しています。
機上救護員：海上[[自衛隊]]において、飛行艇に搭乗し、対象者を機内で治療します。離島からの救急搬送など民間人の救助も行います。
降下救助員：海上[[自衛隊]]の資格で、ヘリに搭乗するセンサーマンの副任務として、救助活動を行います。

レーダー・音響

機上対潜音響員（ソナー員）：海上[[自衛隊]]において、ソノブイ解析システムのオペレーターを担当します。救難活動では洋上の監視なども行います。
センサーマン：海上[[自衛隊]]において、哨戒ヘリコプターに搭乗し、搭載電子機器の操作や、写真撮影、機銃射撃などを担当します。降下救助員の資格を有する者は、機外に出て救助活動も行います。
機上対潜非音響員（レーダー員）：海上[[自衛隊]]において、捜索用レーダーや赤外線暗視装置などを操作します。民間機との接近に対して機長に警告を発する役割も担います。
機上警戒管制員：航空自衛隊において、早期警戒機や早期警戒管制機に搭乗し、レーダーを監視します。

武装・貨物

機上武器員：海上[[自衛隊]]において、航空機に搭載された武装の整備、ソノブイや救命器材の投下、洋上監視などを行います。
空中輸送員（戦術）：航空自衛隊において、輸送機に搭載する貨物の重量バランス調整や、降下する人員の安全管理を担当します。通称『ロードマスター』と呼ばれます。
空中輸送員（特別）：航空自衛隊において、日本国政府専用機に搭乗し、客室乗務員に相当する業務を行います。

特殊な搭乗員

以下の搭乗員は、現役操縦士または操縦士の養成段階でコースを変更した幹部自衛官であり、航空士には含まれませんが、参考として記述します。

戦術[[航空士]]：海上[[自衛隊]]において、哨戒機に搭乗し、戦術的な判断を行います。哨戒機では機長として扱われます。
捜索救難調整官：海上[[自衛隊]]において、救難機に搭乗し、救難プランを設定します。現在は『救難航空士』と呼ばれています。
ナビゲーター：航空自衛隊において、偵察機の後席に搭乗し、監視・航法を担当します。地上ではルートの事前策定を行います。
要撃管制官：航空自衛隊において、早期警戒機や早期警戒管制機に搭乗し、戦闘機や地上の高射部隊へ指示を出します。

航空士の教育課程

航空士になるためには、自衛隊の正規教育課程を修了する必要があります。教育課程の内容は、職種によって異なりますが、航空法に基づく技能証明の取得や、専門的な知識・技能の習得が含まれます。海上[[自衛隊]]では下総教育航空群で、陸上自衛隊では各駐屯地で教育が行われています。航空自衛隊では、各基地で教育が行われます。

まとめ

航空士は、航空自衛隊、海上[[自衛隊]]、陸上自衛隊の各部隊で、航空機の運用に不可欠な存在です。航空士には様々な職種があり、それぞれが専門的な知識や技能を活かして、任務を遂行しています。航空士になるためには、厳しい訓練や試験をクリアする必要があり、自衛隊の中でも特に人気の高い職種の一つとなっています。

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