葛井広成

葛井 広成（ふじい の ひろなり）

葛井広成は、奈良時代に活躍した日本の貴族であり著名な歌人です。彼の姓は白猪史から葛井連に改められ、官位は正五位上、中務少輔という高い地位にありました。広成の人生は、文化と政治が交錯する時代の中で、彼自身の詩的才能を発揮することに重きを置いていました。

経歴

広成は元正朝の養老3年（719年）に遣新羅使として新羅に派遣されました。この時の官位は従六位下・大外記であり、彼の外交のキャリアがここから始まります。翌年、彼は白猪史から葛井連に改姓することとなります。

聖武天皇の治世において、広成は天平2年（729年）に行われた歓待の席で和歌を詠みました。この際の宴は大宰帥・大伴旅人の邸宅で行われ、広成の詩がその場で多くの人々に喜ばれました。さらに、天平8年（735年）には雅楽寮の官人たちと共に自宅で宴を催し、再び和歌を詠みました。これらの作品は後に『万葉集』に収められることになります。

天平3年（730年）には外従五位下に叙せられ、順調に昇進を果たしました。天平15年（743年）には新羅使としての任務に従事し、またこの年には内位で従五位下と備後守に叙任されました。天平20年（748年）には、とうとう従五位上に昇進し、さらに同年8月には自宅で聖武天皇を迎えての宴を開催。その結果、天皇が夕暮れまで広成の邸に宿泊することになり、彼とその妻である県犬養八重も正五位上に叙せられました。

天平勝宝元年（749年）には、孝謙天皇が即位した後すぐに中務少輔に任命され、彼の官歴は順調に進展しました。

人物像

神亀年間（724年-729年）の文雅の士と評価されるように、広成は文化的素養が非常に豊かでした。彼は『万葉集』に短歌を3首も残しており、その作品は今なお現代人に親しまれています。さらに、彼は漢詩も手がけており、『懐風藻』には五言詩が2首、また『経国集』には天平3年（731年）の漢詩が3首収められています。これにより、広成は和歌だけでなく、漢詩においても重要な役割を持った詩人として評価されているのです。

官歴

広成の官歴は以下のように記録されています。

• - 時期不詳：従六位下、大外記
• - 養老3年（719年）：遣新羅使（閏7月11日）
• - 養老4年（720年）：白猪史から葛井連に改姓（5月10日）
• - 時期不詳：正六位上
• - 天平3年（730年）：外従五位下（正月27日）
• - 天平15年（743年）：備後守（6月30日）、従五位下（内位）（7月3日）
• - 天平20年（748年）：従五位上（2月25日）、正五位上（越階）（8月21日）
• - 天平勝宝元年（749年）：中務少輔（8月10日）

葛井広成の生涯は、日本の古典文学と歴史において、重要な位置を占めており、彼の残した詩は後世に多大な影響を与えています。

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