葛井道依

葛井道依（ふじい の みちより）について

葛井道依は、奈良時代から平安時代初期にかけて活躍した貴族です。出自は葛井連であり、後に宿禰を賜りました。筑後守・葛井大成の子とする系図が残っています。官位は正五位下・春宮亮まで昇りました。

生涯

道依は、天平神護元年（764年）の藤原仲麻呂の乱において功績を挙げ、外従五位下に叙せられました。その後、称徳天皇の治世において急速に昇進を重ね、天平神護2年（766年）には従五位下、さらに従五位上へと進みました。神護景雲3年（769年）には正五位下に昇叙しています。この間、勅旨省の官人として勅旨少丞や少輔を務め、天平神護3年（767年）には道鏡のために設置された法王宮職で大進を兼任しました。神護景雲4年（770年）には、称徳天皇の葬儀において御装束司を務めるなど、重要な役割を果たしました。

光仁天皇の時代に入ると、道依は内匠頭を務めた後、宝亀5年（774年）には右兵衛佐、宝亀9年（778年）には中衛少将と、武官としてのキャリアを積みました。天応元年（781年）には、光仁上皇の葬儀でも御装束司を務め、葬儀に関わる役職を度々任されました。

桓武天皇の時代になると、道依は再び内匠頭を務めた後、中宮亮を兼帯し、延暦4年（785年）には越後守として地方官に転じました。その後、延暦9年（790年）には春宮亮に任ぜられ、春宮・安殿親王（後の平城天皇）に仕えました。延暦10年（791年）には、主税大属の船今道らと共に、葛井氏、船氏、津氏の祖先が百済の貴須王であると主張し、氏族の改姓を願い出て、認められました。これにより、道依ら葛井氏の氏人8人は連姓から宿禰姓に改姓しました。

官歴

『続日本紀』に記録された道依の官歴は以下の通りです。

時期不詳：正六位上
天平神護元年（764年） 正月7日：外従五位下
時期不詳：勅旨少丞
天平神護2年（766年） 正月21日：従五位下。3月26日：兼近江員外介。10月19日：従五位上
天平神護3年（767年） 3月20日：法王宮大進。8月29日：勅旨員外少輔
神護景雲3年（769年） 10月30日：正五位下
神護景雲4年（770年） 8月4日：御装束司（称徳天皇葬儀）
時期不詳：内匠頭
宝亀5年（774年） 3月5日：勅旨少輔。9月5日：兼右兵衛佐
時期不詳：兼甲斐守
宝亀9年（778年） 3月10日：中衛少将、勅旨少輔甲斐守如故
時期不詳：内匠頭
天応元年（781年） 12月23日：御装束司（光仁上皇葬儀）
天応2年（782年） 9月12日?：兼中宮亮（皇后・藤原乙牟漏）
延暦4年（785年） 正月15日：越後守
延暦9年（790年） 7月24日：春宮亮（春宮・安殿親王）
延暦10年（791年） 正月12日：連姓から宿禰姓に改姓

系譜

父：葛井大成
母：不詳
生母不詳の子女
男子：不詳
女子：藤井藤子 - 平城天皇宮人

参考文献

宇治谷孟『続日本紀 （中）』講談社〈講談社学術文庫〉、1992年
宇治谷孟『続日本紀 （下）』講談社〈講談社学術文庫〉、1995年
* 宝賀寿男『古代氏族系譜集成』古代氏族研究会、1986年

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