蒲生町 (鹿児島県)

蒲生町（かもうちょう）

鹿児島県の中央部に位置していた旧蒲生町は、姶良郡に属していました。2010年3月23日、姶良町、加治木町との合併により姶良市となり、その歴史に幕を閉じました。町名は「かもう」と読み、滋賀県にある「がもう」と濁る町とは区別されます。

地理

蒲生町は、鹿児島市から真北へ約15km、内陸部に位置していました。東西約11.7km、南北約15.0kmの三角形に近い形状をしており、西側が尖っています。北西部の薩摩川内市との境界には、400mから500m級の山々が連なり、川内川と別府川の分水嶺を形成しています。町内を流れる川は、これらの山々に源を発し、別府川となって姶良町方面へ流れ、鹿児島湾へと注いでいます。町の北部・西部は山間地帯が広がり、森林が大部分を占めています。集落や田畑は、谷間や盆地に点在しています。一方、南東部の姶良町との境界付近は、別府川によって形成された平地で、町の中心市街地が広がっていました。

隣接市町村

鹿児島市
薩摩川内市
姶良郡姶良町

町内の地名

蒲生町の地名は、畳の原料に使われた蒲草が繁茂していたことに由来すると言われています。

漆（うるし）：町の最北端に位置する農業地域。
西浦（にしうら）：北西部、薩摩川内市との境界に広がる山間地域。かつては養蚕が盛んでした。
白男（しらお）：町最西端、薩摩川内市と鹿児島市に挟まれた地域。前郷川沿いに集落と田畑が広がります。旧大隅国の最西端にも当たります。
久末（ひさすえ）：鹿児島市との境界に位置する農業地域。蒲生城跡があります。
北（きた）：上久徳の北西に細長く広がる地域。住宅が多く、蒲生中学校があります。
米丸（よねまる）：火山活動で形成されたマール地形の盆地。蒲生カントリークラブが所在します。
上久徳（かみぎゅうとく）：町の中心部。整然とした住宅地が広がり、武家屋敷の名残が見られます。蒲生八幡神社があります。
下久徳（しもぎゅうとく）：蒲生川の南側、上久徳よりも人口が少なく、田園地帯が広がっています。蒲生高校があります。

歴史

蒲生という地名は、平安時代初期の「日本後紀」に初めて登場します。当時、大隅国蒲生駅と薩摩国田尻駅の間が遠すぎたため、804年に薩摩国に新たな駅が設けられたという記述があり、この蒲生駅は現在の旧下久徳付近にあったとされています。この地は、大隅国の国府があった国分と、薩摩国の国府があった川内を結ぶ交通路の要衝でした。

12世紀初頭には、宇佐八幡宮の留守職であった藤原教清の子、藤原舜清がこの地に入り、蒲生氏の祖となります。舜清は、宇佐八幡宮を勧請し、蒲生八幡神社を創建しました。以後、蒲生氏は蒲生城を拠点にこの地を支配しました。

15世紀には、隣接する帖佐を支配していた島津季久が蒲生を攻撃し、蒲生氏は一時的に所領を失いました。しかし、蒲生宣清は島津忠昌に仕え、後に旧領を回復しました。戦国時代後期には、蒲生氏は島津氏と対立し、1554年の岩剣城の戦いで敗北、蒲生氏は所領を失い、この地域の島津氏による支配が確立しました。

江戸時代には、現在の町役場周辺に地頭仮屋が置かれ、武家屋敷が並びました。東側には野町と呼ばれる商業地区が発達しました。蒲生は士族の割合が高く、精強な武士を輩出した地域として知られています。江戸初期には、林業の振興や和紙の生産など、殖産興業政策も進められました。1739年には、重富郷を帖佐郷から分割した際、蒲生郷に含まれていた木津志村が山田郷に移され、これが後の蒲生町の領域とほぼ一致します。

1889年、町村制施行により、上久徳村、下久徳村など8つの村が合併し、蒲生村が発足。1928年には町制を施行し、蒲生町となりました。1955年には、山田村の一部を編入しました。そして、2010年、姶良町、加治木町と合併し、姶良市となりました。

行政

歴代の村長・町長は以下の通りです。
(村長、町長の名前と在任期間のリストは省略)

産業

江戸時代初期、島津久通が造林事業を奨励したことから、蒲生メアサ杉を中心とする林業が発展しました。また、武士の副業として製紙業が奨励されたことで、蒲生和紙の生産が盛んになりました。

地域

人口

1950年には15,887人だった人口は、年々減少しており、過疎化が問題となっています。

教育

高等学校: 鹿児島県立蒲生高等学校
中学校: 蒲生町立蒲生中学校
小学校: 蒲生町立蒲生小学校、蒲生町立漆小学校、蒲生町立西浦小学校、蒲生町立大山小学校（休校）、蒲生町立新留小学校（休校）
オルタナティブスクール: 森の学校楠学園

交通

空港: 最寄りの空港は鹿児島空港です。
鉄道: 町内には鉄道は通っていません。最寄りの駅は日豊本線帖佐駅です。
バス: 南国交通、鹿児島交通などの路線バスが運行しています。
道路: 町内には国道、高速道路は通っていません。最寄りの高速道路インターチェンジは、九州自動車道姶良インターチェンジです。県道として、鹿児島県道25号鹿児島蒲生線、鹿児島県道40号伊集院蒲生溝辺線、鹿児島県道42号川内加治木線が通っています。

名所・旧跡・観光スポット

蒲生のクス: 国の特別天然記念物に指定されている巨木です。
蒲生八幡神社: 蒲生氏が創建した由緒ある神社です。

蒲生町を舞台とする作品

山河燃ゆ: NHK大河ドラマの舞台となりました。

出身有名人

小山田大
逆鉾盛吉
村山喜一
西田あい

参考文献

蒲生郷土史編さん委員会『蒲生郷土誌』1990年
『角川日本地名大辞典 鹿児島県』1983年 角川書店

外部リンク

* 蒲生町 - ウェイバックマシン

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