薛悌

薛悌（せつ てい）：後漢末から三国時代の武将

薛悌は後漢末期から三国時代にかけて活躍した人物であり、字は孝威で、兗州東郡出身です。彼の生涯については詳細な記録は残されていないものの、陳寿による『三国志』の中でいくつかの伝記の中に彼の功績が記されています。特に「程昱伝」や「陳矯伝」などに散見される彼の行動や性格は、当時の武将たちとの関わりを通じて明らかになっています。

家庭背景と初期の活躍

薛悌の家族は社会的地位が低かったものの、曹操が兗州の牧に就任した際に彼はその従事に抜擢されました。194年、曹操が徐州を征伐している最中、張邈と呂布らが反乱を起こし、兗州の諸県もこれに呼応しました。しかし、薛悌は程昱と共に鄄城、范、東阿の三県をしっかりと守りぬきました。この時、彼はわずか22歳という若さで泰山太守に任命される異例のうちであり、その能力が証明されることとなります。

陳矯との交流

当時の陳矯が太守であった陳登の依頼で許昌に向かった際、泰山に立ち寄り薛悌と親しく交流します。陳矯はこの時ただの功曹に過ぎなかったにもかかわらず、薛悌はその地位に関係なく友好的に接しました。また、彼は高堂隆を督郵に任命するなど、部下の育成にも力を注いだようです。ある日、督軍従事が薛悌の実名を呼び捨てにした際、高堂隆が激怒して剣を手にしたことがありましたが、薛悌は冷静に彼を制止しました。このエピソードからも、彼の寛容さとリーダーシップが伺えます。

曹操の軍司令としての活動

曹操が冀州を平定した後、薛悌は王国と共に左右の長史に任命され、さらに後に中領軍に転任しました。また、曹操の濡須遠征に従い、帰還後は合肥に留められ、張遼・楽進・李典らの監督役を任されました。215年には孫権が合肥を攻撃すると、彼は曹操から任された命令書に基づいて楽進と共に城を守ることとなりました。この合肥の戦いは、彼の勇敢な行動が求められた瞬間でした。

最後の功績と評価

その後、陳矯が尚書に就任すると薛悌は魏郡太守に任命され、常に忠義を尽くしながら寛容で簡明な政治を心掛けました。曹丕が即位すると、彼は薛悌を含む数名の武将を褒め称え、それぞれに関内侯の爵位を賜りました。237年には陳矯の後任として尚書令に任命されたものの、それ以降の彼の歴史上の事績については詳細が不明です。

小説『三国志演義』における薛悌

小説『三国志演義』では、主に合肥の戦いにおいて曹操からの命令書の管理役として登場しますが、彼の人生や功績についての記述は限られています。それでも薛悌は、その強い意思と人間性から多くの人に影響を与えた歴史的な人物であることは確かです。

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