藤原公通

藤原公通（ふじわら の きんみち）

藤原公通は、平安時代後期の公卿・歌人として知られ、藤原北家閑院流に連なる人物です。権中納言・藤原通季の子として生まれ、西園寺家の2代目とされています。その生涯は、官位の昇進と歌人としての活動によって彩られています。

経歴

公通は保安3年（1122年）に叙爵し、政界でのキャリアをスタートさせました。大治2年（1127年）には丹波守に任ぜられ、同年中に昇殿を許され侍従となります。しかし、大治3年（1128年）には父・通季が亡くなるという悲しみを経験しました。

その後も順調に昇進を重ね、天承元年（1131年）に従五位上、長承3年（1134年）には因幡守に任ぜられます。保延元年（1136年）には正五位下、右少将に任ぜられ、保延4年（1138年）には従四位下に昇叙。保延5年（1139年）には従四位上に昇叙しています。永治元年（1141年）には右中将に任ぜられ、新帝の昇殿を許されるなど、着実にその地位を確立していきました。

久安5年（1149年）には蔵人頭に補され、久安6年（1150年）には参議に任ぜられます。仁平元年（1151年）には備前権守を兼ね、久寿元年（1154年）には従三位に叙されました。保元元年（1156年）には美作権守を兼ね、保元2年（1157年）には権中納言に任ぜられ、保元3年（1158年）には正三位に昇叙しています。

永暦元年（1160年）には権中納言に還任し、中納言に転正。応保元年（1161年）には権大納言に任ぜられ、従二位に昇叙しました。応保2年（1162年）には按察使を兼ね、勅授帯剣を許されています。長寛2年（1164年）には正二位に昇叙。仁安2年（1167年）には権大納言を辞し、承安3年（1173年）にその生涯を閉じました。

逸話

公通の子である実宗が藤原師長の弟子として琵琶の秘曲伝授に関わった記録から、公通自身も琵琶の伝承に関わっていた可能性が指摘されています。

千載和歌集

公通は歌人としても名を残しており、『千載和歌集』には「按察使公通」として以下の歌が収録されています。

第三巻、夏歌 148番

仁和寺の親王のもとにて、郭公の歌五首よみ侍りける時よめる

ほととぎす待つはひさしき夏の夜を寝ぬに明けぬとたれかいひけむ

この歌は、夏の夜にほととぎすを待ちわびる心情を詠んだもので、公通の歌人としての才能を今に伝えています。

系譜

父：藤原通季
母：藤原忠教女
妻：藤原通基女
長男：藤原実宗（1145-1214） - 正二位内大臣
次男：藤原実明（1153-1223） - 従二位参議
生母不明の子女
男子：公性 - 仁和寺阿闍梨
* 女子：藤原清通室

まとめ

藤原公通は、平安時代後期に公卿・歌人として活躍し、西園寺家の基礎を築いた人物です。彼の生涯は、官位の昇進と歌人としての活動を通じて、平安貴族社会の一面を垣間見せてくれます。

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