藤原実宗

藤原実宗（ふじわら の さねむね）：平安末期～鎌倉初期の公卿、西園寺家を確立

藤原実宗は、平安時代後期から鎌倉時代初期にかけて活躍した公卿です。藤原北家閑院流西園寺家の出身で、権大納言である藤原公通の長男として生まれました。最終的な官位は正二位・内大臣にまで昇り、西園寺家3代目として、その家格を高めることに貢献しました。坊城内大臣、大宮、五条といった号でも知られています。

経歴

実宗の経歴は、『公卿補任』や『尊卑分脈』といった史料に詳しく記されています。

久安4年（1148年）: 叙爵。
久寿2年（1155年）: 従五位上に昇叙。
保元2年（1157年）: 侍従に任ぜられる。
保元3年（1158年）: 右少将に任ぜられる。
平治元年（1159年）: 正五位下に昇叙、備後介を兼任。
応保元年（1161年）: 従四位下に昇叙、右中将に任ぜられる。
長寛元年（1163年）: 従四位上に昇叙、伊予権介を兼任。
永万元年（1165年）: 正四位下に昇叙。
仁安3年（1168年）: 讃岐介を兼任。
嘉応2年（1170年）: 蔵人頭に補される。
安元2年（1176年）: 参議に任ぜられる。中将を兼官。
治承元年（1177年）: 備前権守を兼任、従三位に叙される。
治承3年（1179年）: 正三位に昇叙。
寿永元年（1182年）: 備後権守を兼任。
寿永2年（1183年）: 権中納言に任ぜられる。
元暦元年（1184年）: 従二位に昇叙。
文治元年（1185年）: 正二位に昇叙。
文治5年（1189年）: 権大納言に任ぜられる。
建久2年（1191年）: 大納言に転正。
建久9年（1198年）: 大嘗会検校に補される。
元久2年（1205年）: 内大臣に任ぜられる。
建永元年（1206年）: 内大臣を辞退、出家。
建暦2年（1212年）: 薨去。

このように、実宗は着実に昇進を重ね、最終的には内大臣という высшие官位にまで上り詰めました。

西園寺家初の内大臣

実宗は、後に西園寺家と称される藤原通季の子孫の中で、初めて内大臣に任ぜられました。その道のりは平坦ではなく、元久2年（1205年）には、席次が下の源通資が内大臣に任ぜられる可能性があり、娘婿である藤原定家に相談する一幕もありました。最終的には、源通資が内大臣に任ぜられることはなく、実宗が内大臣の座を射止めることとなりました。

琵琶の秘曲伝授

実宗は、文化人としても知られています。藤原師長に琵琶を学び、その秘曲を伝授されたことは『文机談』にも記されています。実宗自身も琵琶の名手として知られ、守貞親王に琵琶の秘曲を伝授した記録も残っています。一時は、後鳥羽院の琵琶の師の候補に挙がりましたが、最終的には藤原定輔が選ばれました。しかし、西園寺家は代々琵琶秘曲伝授を受け継いでいくこととなり、その基礎を実宗が築いたと言えるでしょう。

『千載和歌集』入集

実宗は歌人としても才能を発揮し、『千載和歌集』には以下の歌が収録されています。

第1047番: 播磨潟須磨の晴れ間に見わたせば浪も雲居のものにぞありける

御子左家との姻戚関係

実宗の娘の一人は藤原定家に嫁ぎ、後堀河院民部卿典侍、香、為家らを産みました。この結婚は、当時の家格からすると格差婚であったとも言われています。

官歴

（上記「経歴」に詳細を記載）

系譜

父：藤原公通
母：藤原通基の娘
妻：藤原教良の娘
男子：三条公定
男子：公修
妻：持明院基家の娘
男子：西園寺公経
生母不明
男子：藤原公仲
男子：公暁
女子：藤原隆忠室
女子：藤原公国室
* 女子：藤原定家室

藤原実宗は、公卿として высшие官位に上り詰める一方で、文化人としても才能を発揮し、西園寺家の基礎を築いた人物として、歴史に名を残しています。

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