袁瓌

袁瓌（えん かい）

袁瓌（生没年不詳）は、東晋時代の官僚であり、字を山甫（さんぽ）と名乗りました。本貫は陳郡陽夏県です。

経歴

後漢末期の郎中令であった袁渙（えん かん）を曾祖父に持ちます。祖父と父は早くに亡くなりました。西晋末年、袁瓌は弟の袁猷（えん ゆう）と共に母を連れて戦乱を避けるため避難しました。長江と淮水の間の県の官職を求め、呂県の県令に任じられます。その後、江都に移り、さらに江南へと渡り、琅邪王（ろうやおう）司馬睿（しば えい）によって丹陽県令（たんよう県令）に任じられました。東晋が建国されると、奉朝請（ほうちょうせい）となり、治書御史（じしょのぎょし）に転じました。

当時、東海王（とうかいおう）司馬越（しば えつ）の遺体が石勒（せきろく）によって焼かれていましたが、司馬越の妃である裴（はい）氏は、司馬越の魂を呼び戻して葬儀を行うよう東晋の朝廷に求めました。袁瓌は博士の傅純（ふじゅん）と議論し、招魂による葬儀は「埋神（まいしん）」と言って行うべきではないと意見しました。元帝（げんてい）（司馬睿）は袁瓌の意見を受け入れ、裴氏が招魂によって司馬越を葬ることを許可しましたが、招魂による葬儀自体は詔を下して禁止しました。

袁瓌は廬江郡太守（ろこうぐんたいしゅ）に任じられました。王敦（おうとん）に召されて大将軍諮議参軍（だいしょうぐんしぎさんぐん）となり、まもなく臨川郡太守（りんせんぐんたいしゅ）に任じられました。王敦の乱が平定されると、鎮南将軍（ちんなんしょうぐん）の卞敦（べん とん）の下で軍司（ぐんじ）となりました。ほどなく自ら辞職して建康（けんこう）に帰り、会稽（かいけい）を遊歴しました。蘇峻（そ しゅん）の乱が起こると、王舒（おう しょ）と共に義軍を率いて起兵し、鎮圧の功績により長合郷侯（ちょうごうきょうこう）に封じられました。建康に召還されて散騎常侍（さんきじょうじ）に任じられ、大司農（だいしのう）に転じました。最後には国子祭酒（こくしさいしゅ）となり、散騎常侍の位を加えられました。

戦乱の後で儒学が衰退していたことから、袁瓌は学府を開き、博士の諸官を置くよう成帝（せいてい）に上奏し、聞き入れられました。老齢のため引退を申し出て、ほどなく亡くなりました。光禄大夫（こうろくたいふ）の位を追贈され、諡（おくりな）は恭（きょう）とされました。

子の袁喬（えん きょう）が後を継ぎました。

伝記資料

* 『晋書』巻83 列伝第53

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