神農架林区

神農架林区

神農架林区は、中国湖北省に位置する省直轄の林区であり、中国で唯一の「林区」として知られています。大巴山脈の東端に位置し、山深い地形と豊かな自然が特徴です。この地域は生物多様性が非常に高く、貴重な動植物が生息していることから、ユネスコによって複数の登録を受けています。1990年には「生物圏保護区」に指定され、2013年には「世界ジオパーク」に登録されました。さらに同年、区内にある亜高山帯のミズゴケ湿地である大九湖湿地がラムサール条約の登録湿地となりました。

2016年には、神農頂と隣接する地域、そして老君山を含む地域が「湖北の神農架」としてユネスコの世界遺産リストに登録されました。これは中国にとって50件目の世界遺産登録となります。また、中国の5A級観光地にも認定されており、その美しい景観と自然環境は多くの人々を魅了しています。

生物多様性の宝庫

神農架林区は、植物相が特に豊富で、維管束植物の固有種も多く見られます。動物相も多様で、キンシコウをはじめ、チュウゴクオオサンショウウオ、ウンピョウ、ヒョウ、ツキノワグマ、アジアゴールデンキャット、ドール、インドジャコウネコ、コジャコウネコ、ジャコウジカ、チュウゴクゴーラル、チュウゴクカモシカ、イヌワシ、オナガキジなどが生息しています。特に、大九湖湿地一帯では、ベイツイトウヒが生え、コウノトリやコビトジャコウジカなどが生息しています。この豊かな自然環境は、「野人」伝説を生むほどでした。

環境保護への取り組み

かつて、林業や農業によって自然環境が脅かされていましたが、1980年に中心部の33万haの森林が国家級自然保護区に指定されました。1999年10月からは、生態系保護を目的とした住民移転が行われ、森林伐採も禁止されました。かつて伐採に従事していた人々は、現在では森林保護官として活動しています。

地理と行政区画

神農架林区は湖北省の西部に位置し、十堰市、襄陽市、宜昌市、恩施トゥチャ族ミャオ族自治州、重慶市に接しています。行政区画としては、6つの鎮、1つの郷、1つの民族郷を管轄しています。また、国家級森林自然保護区管理局、林業管理局、国家森林公園、国家地質公園、大九湖国家湿地公園、省級観光度假区も管轄下にあります。

管轄する鎮、郷、民族郷

• - 鎮：松柏鎮、陽日鎮、木魚鎮、紅坪鎮、新華鎮、九湖鎮
• - 郷：宋洛郷
• - 民族郷：下谷坪トゥチャ族郷

世界遺産としての登録

神農架は、その優れた自然環境と生物多様性から、2016年にユネスコの世界遺産に登録されました。この登録は、以下の2つの基準に基づいています。

登録基準

• - (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であること。
• - (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいること。これには、科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれます。

神農架林区は、その豊かな自然と生物多様性を未来に継承するための取り組みが続けられています。

外部リンク

• - 中国神農架林区人民政府
• - UNESCO - MAB Biosphere Reserves Directory
• - Shennongjia Geopark_Global Network of National Geoparks
• - Hubei Dajiu Lake Wetland | Ramsar Sites Information Service

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