襤褸の旗

映画『襤褸の旗』について

『襤褸の旗』は、1974年5月1日に公開された日本の映画です。吉村公三郎監督がメガホンを取り、田中正造の生涯を軸に、当時の社会問題を深く掘り下げた作品として知られています。この映画は、「襤褸の旗」製作委員会によって製作され、モノクロのシネマスコープで115分の上映時間となっています。

概要

この映画は、足尾鉱毒事件を告発した政治家、田中正造の波乱に満ちた半生を描いています。主演を務めた三國連太郎は、その熱演が評価され、第29回毎日映画コンクールで男優演技賞を受賞しました。また、第48回キネマ旬報ベスト・テンでは第8位にランクインするなど、高い評価を受けています。

特筆すべき点として、新東京国際空港（現在の成田国際空港）の反対運動を展開していた三里塚芝山連合空港反対同盟が撮影に協力しています。撮影は、千葉県成田市の三里塚で行われました。これは、当時反対同盟の戸村一作が参議院議員選挙への出馬を予定していたため、映画が選挙の宣伝になるという思惑があったとされています。反対同盟の農民、支援者、学生も映画に出演しており、映画制作と社会運動が密接に結びついた作品でもあります。

映画完成後、反対同盟は自主上映会を開催し、福岡では北原鉱治が映画を作成した理由を講演しました。また、この映画は、後に『釣りバカ日誌』シリーズで共演することになる三國連太郎と西田敏行の初共演作であり、西田敏行にとっては映画デビュー作となりました。

あらすじ

（詳細なあらすじは提供された情報にはありませんでした。）

スタッフ

監督：吉村公三郎
製作：木原啓允、瀬戸要、山崎守邦
脚本：宮本研
撮影：宮島義勇、関根重行
音楽：岡田和夫
美術：戸田重昌
編集：中静達治
編集助手：南トメ
演出助手：近藤明男
題字：荒畑寒村

報道写真家の三留理男も制作に携わっています。三留は、2017年現在でも反対同盟の北原派主催の映画上映会で講演を行うことがあります。

キャスト

田中正造：三國連太郎
佐竹和三郎：田村亮
多々良治平：西田敏行
一ノ瀬宗八：辻萬長
正造の妻カツ：荒木道子
宗六：浜村純
ヨネ（多々良治平の母）：原泉
古川為子：楠田薫
斎藤巡査：信欣三
南佐十：草野大悟
木下尚江：菅野忠彦
タキ（一ノ瀬宗八の妹、多々良治平の妻）：大関優子
杉本燁子：和泉敬子
荒畑寒村：古谷一行
幸徳秋水：中村敦夫
古河市兵衛：志村喬

その他、灰地順、菅沼赫、松尾文人、坂田金太郎、鹿島信哉、邦創典、草間璋夫、加藤茂雄など、多くの俳優が出演しています。

関連事項

谷中村：かつて栃木県下都賀郡に実在した村。足尾銅山の鉱毒事件のため渡良瀬遊水地が作られました。

外部リンク

襤褸の旗 - allcinema
襤褸の旗 - KINENOTE
Ranru no hata - IMDb

この映画は、足尾鉱毒事件という深刻な社会問題を背景に、人間の尊厳と社会正義を追求する姿を描いた作品として、今もなお観る者に深い感動と強いメッセージを伝えています。

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