襾部

襾部（あぶ）について

襾部（あぶ）は、漢字の部首として特定のグループに分類されるもので、主に「襾」や「西」の形を持つ漢字がこの部に収められています。康熙字典の214部首の中では146番目に位置しており、全体の内で29番目の筆画数（6画）に該当します。また、申集においては7番目とされています。

概要

襾部に含まれる漢字は、単独で存在する「襾」といった文字や、筆画の一部に「西」を用いた字が分類されています。興味深い点として、単独の「襾」という文字は元々存在しなかったものの、字形による分類を目的として作られたものです。この部首は、蓋をするという概念を含む漢字であることから、「覆」という字から派生的に類推される部分もあるため、その意符は「覆う」といった意味を持つ字に関連しています。

特に楷書の字形においては、上部に冠の形として配置されることが多く、このことで他の漢字とも一目で識別可能です。また、「霸」とその異体字として知られる「覇」、日本ではこちらが正字として扱われることが多い字も、この襾部に含まれています。

印刷書体と形状

印刷用の書体として一般的に使用される明朝体では、康熙字典の記載に基づき「襾」の形が採用されています。しかし、近日では日本の新字体や中国の新字形、そして台湾の国字標準字体、さらには香港の常用字字形表においては、形状が「覀」として表記されることが多くなっています。これは同じ部首でありながら、国によって採用される字形が異なることを示しています。

部首の通称

この部首に関しては各国で異なる通称が存在しています。日本では「にし」や「おおいかんむり」と呼ばれる他、「かなめのかしら」という名称も、特に冠の形状に由来する呼び名です。中国では「西字頭」、韓国では「덮을아부（deopeul a bu）」として知られ、英米圏では「Radical west」として表現されることが一般的です。

音韻的特徴

中古音の観点からは、広韻では「衣嫁切」「禡韻」「去声」に分類され、詩韻や三十六字母においても適切な音が割り当てられています。現代音では、普通話においてはピンイン「yà」、注音は「ㄧㄚˋ」、ウェード式では「ya4」となり、広東語ではJyutpingが「kaa1」、イェール式では「ka1」となります。

日本語においては「ア」という音が当てられ、朝鮮語では「아（a）」の音が用いられ、訓読みでは「덮을（deopeul）」となり、「覆う」という意味を持っています。

例字

襾部に含まれる例字には「襾」や「西」をはじめ、「覃」「覆」「覈」「覇」といった漢字があります。これらの文字は襾部の性質を示し、多様な意味合いを持って使用されます。

以上のように、襾部は漢字の特殊な属性を示し、さまざまな文化や言語において形を変えながら受け継がれてきた部首の一つです。

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