観光道路

観光道路とは

観光道路とは、その名の通り、観光を主な目的として建設・整備された道路のことです。産業利用を主目的とする道路とは異なり、景観や観光施設のアクセス向上などを重視して設計されています。

歴史

観光道路の概念は、戦後の復興期に導入されました。1962年に総理府から発行された「観光便覧」には、戦災復興期から観光事業への取り組みの中で観光道路の整備が検討されていたことが記されています。加藤誠平は、戦前期に欧米のパークウェイに倣って観光道路の概念が定義されたと指摘しています。

戦後になると、交通流や風致の観点から観光道路の条件が議論されるようになりました。1970年代には、開発において地域の住民や資源からの考察が必要とされるようになり、観光道路は日本の実情に合わせて変化していきました。

法的位置づけ

池ノ上容によれば、道路運送法における自動車専用道路は100%観光道路であるとされています。このことから、観光道路は道路運送法による一般自動車道（有料道路）を指すものと解釈できます。道路法においては、1952年の改正で初めて観光に関する記述が登場し、現在に至るまでその記述が残っています。

観光事業審議会と観光政策審議会

観光道路は、これまで観光事業審議会と観光政策審議会において検討されてきました。観光事業審議会は、観光事業に関する基本計画などを審議する機関として1948年に設置されましたが、1963年に観光基本法の制定により廃止され、観光政策審議会に引き継がれました。しかし、観光道路の整備は両審議会で必要性が勧告されたものの、実現には至りませんでした。

具体例

日本各地には、様々な観光道路が存在します。

緑資源機構大規模林道: 大型観光バスも走行可能な山岳ハイウェイを目指した道路です。
国道41号: 飛水峡や中山七里などを通過する風光明媚な観光道路です。
油山観光道路: 福岡県福岡市にある観光道路です。
九州横断[道路]: 九州を横断する壮大なスケールの観光道路です。
蒜山大山スカイライン: 蒜山と大山を結ぶ観光道路です。
藻岩山観光自動車道 (藻岩山観光道路): 札幌市南区にある観光道路です。
鳥取県道24号米子大山線: 鳥取県米子市と大山町を結ぶ観光道路です。
北海道道1162号銀泉台線 (大雪観光道路): 北海道上川町内にある観光道路です。
湯袋観光道路: 茨城県にある観光道路です。
国道223号: 霧島神宮や霧島温泉郷などの観光地を結ぶ観光道路です。
群馬県道59号草津嬬恋線: 草津温泉と嬬恋村を結ぶ観光道路で、日本ロマンチック街道の一部です。
津峯スカイライン: 阿南市にある有料道路で、津峯神社に至る観光道路です。
京都市道183号衣笠宇多野線: 金閣寺、龍安寺、仁和寺といった名刹を抱える観光道路です。
大分県道47号竹田直入線: 長湯温泉と竹田市中心部を結ぶ観光道路です。
福岡県道557号東油山唐人線: 油山登山口から唐人町方面へ向かう観光道路です。
ビーナスライン: 長野県茅野市から美ヶ原高原美術館に至る観光道路です。
* 観光橋: 広島市内から宮島を結ぶ道路として整備された観光道路です。


その他にも、多数の観光道路が存在し、地域の観光振興に貢献しています。

まとめ

観光道路は、単なる移動手段としての道路ではなく、美しい景観や観光名所へのアクセスを提供することで、観光体験を豊かにする役割を担っています。日本の観光の発展とともに、観光道路もまた進化を続けていくことが期待されます。

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