豆盧寧

豆盧寧（とうろ ねい）：西魏・北周を支えた名将

豆盧寧（500年 - 565年）は、西魏から北周にかけて活躍した軍人であり、字は永安と称しました。彼の出自は昌黎郡徒河県にあり、豆盧氏は元々慕容氏の一支族でした。曾祖父の慕容丑とその兄の慕容勝が北魏に帰順した際、「帰義」を意味する豆盧の姓を賜りました。

若き日の活躍

豆盧寧は身長八尺という堂々たる体躯を持ち、容姿も美しく、騎射に長けていました。北魏の永安年間には、別将として爾朱天光の指揮下で関中に入り、都督の地位を得ます。万俟醜奴を破った功績により、霊寿県男の爵位を授かりました。532年に爾朱天光が敗死すると、侯莫陳悦に подчиняетсяます。534年、侯莫陳悦が賀抜岳を殺害すると、豆盧寧は李弼と共に宇文泰に帰順しました。

西魏への貢献

孝武帝が関中に入ると、豆盧寧は奉迎の功績により河陽県伯に封ぜられました。535年には前将軍に任ぜられ、爵位は侯に進みます。その後、顕州刺史・顕州大中正を歴任し、撫軍将軍・銀青光禄大夫に任ぜられ、爵位は公に進みました。鎮東将軍・金紫光禄大夫も務めています。537年には、宇文泰の下で竇泰を捕らえ、弘農を奪い、沙苑の戦いでは東魏軍を破るという大戦果を挙げ、武衛大将軍に任ぜられ、大都督を兼ねました。その後、車騎大将軍・儀同三司に進んでいます。

民政での手腕

北華州刺史に任ぜられた際には、その清廉で公平な政治手腕が高く評価されました。散騎常侍を加えられた後、541年には于謹の指揮下で稽胡の劉平伏を上郡で破ります。梁仚定が乱を起こすと、豆盧寧は軍司となり、隴右の軍事を監督して乱の鎮圧に尽力しました。乱が平定されると、侍中・使持節・驃騎大将軍・開府儀同三司に任ぜられました。

北周での活躍と晩年

543年、宇文泰の下で高仲密を迎え、東魏軍と邙山で戦い、左衛将軍に転じ、范陽郡公に進みました。550年には大将軍に任ぜられ、羌族の傍乞鉄怱と鄭五醜らが反乱を起こすと、鎮圧に奔走しました。555年には武陽郡公に改封され、尚書右僕射に転じます。南朝梁の王琳が部将を派遣して江陵を攻撃すると、豆盧寧は蔡祐・鄭永らと共にこれを討ち破りました。556年には、武興の氐族が呼応して反乱を起こすと、これも鎮圧しました。557年に北周の孝閔帝が即位すると、柱国大将軍に任ぜられました。559年には同州刺史として出向し、諸軍を率いて稽胡の郝阿保・劉桑徳らを破るなどの功績を挙げました。凱旋後、大司寇に転じ、楚国公に進みます。564年には岐州刺史に任ぜられ、北斉に対する攻撃に従軍しましたが、病のため輿に乗っての参戦となりました。565年、同州で病没。太保・同敷等十州諸軍事・同州刺史の位を追贈され、諡は昭とされました。跡は弟の豆盧永恩の子である豆盧勣が継ぎました。

豆盧寧は、その軍事的な才能だけでなく、民政においても優れた手腕を発揮し、西魏から北周にかけての安定に大きく貢献した人物として、歴史に名を残しています。

伝記資料

『周書』巻19 列伝第11
『北史』巻68 列伝第56

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