豊國範

豊國 範（とよくに すすむ）

豊國 範は、1937年11月30日に生まれ、2022年2月23日に亡くなった大相撲力士です。出身は大分県中津市ですが、出生地については滋賀県や朝鮮民主主義人民共和国（旧朝鮮平安北道）という説もあります。時津風部屋に所属し、本名は「大塚 範（おおつか すすむ）」でした。最高位は東張出小結で、1962年5月場所でその地位に就きました。

現役時代の体格は身長176cm、体重131kgで、得意な技は左四つ、寄り、突き、押し、内掛けでした。大分県立中津南高等学校から中央大学に進学し、相撲部では主将を務めるなど活躍しました。

角界入りと出世

1960年、大学在学中に周囲の反対を押し切って、同郷の元横綱・双葉山が率いる時津風部屋に入門しました。同年5月場所に幕下付出で初土俵を踏みました。当時、学生相撲出身者が幕下からデビューすることは珍しく、12年ぶりの出来事でした。デビュー場所では、8戦全勝という素晴らしい成績で幕下優勝を飾りました。

1960年11月場所後には十両に昇進。翌1961年11月場所で新入幕を果たしました。この入幕を機に、四股名を「大塚」から、郷里である大分県の旧称「豊後」にちなんだ「豊國」に改めました。

この四股名の襲名に関しては、井筒親方（元前頭2・鶴ヶ嶺）から異議が唱えられました。先代の豊國（大関・豊國福馬）が井筒部屋所属であったため、系統の異なる時津風部屋での襲名に疑問が呈されたのです。しかし、話し合いの結果、本人の故郷にちなんだものであり、四股名を奪う意図がないことが認められ、襲名が許可されました。

学業も両立しており、1961年3月に中央大学を卒業しています。

幕内での活躍

豊國は、突き押し相撲を得意とし、上位陣をしばしば倒しました。最高位は小結でしたが、長く幕内力士として活躍しました。大鵬から3個を含む7個の金星を獲得しましたが、金星を挙げた場所はいずれも負け越しています。1962年3月場所で敢闘賞、1967年1月場所で技能賞を受賞しています。

引退とその後

1967年11月場所後、連続37場所務めた幕内から十両に陥落し、翌場所は不振のため、7日目を終えて1勝も挙げられず、8日目に休場を届け出て、現役を引退しました。

年寄名跡を取得していなかったため、引退後は角界を離れ、実業家へと転身しました。大分市内で相撲料理店「ちゃんこ豊国」や民芸茶屋、パブなどを経営し、「有限会社 豊国」の代表も務めました。なお、相撲料理店「～豊国」は、2013年5月31日に閉店しています。

主な成績

通算成績：318勝336敗20休 勝率.486
幕内成績：249勝293敗13休 勝率.459
現役在位：47場所
幕内在位：37場所
三役在位：1場所（小結1場所）
三賞：2回
敢闘賞：1回（1962年3月場所）
技能賞：1回（1967年1月場所）
金星：7個（大鵬3個、佐田の山2個、柏戸1個、栃ノ海1個）
各段優勝
十両優勝：1回（1961年9月場所）
幕下優勝：1回（1960年5月場所）

改名歴

大塚 範（おおつか すすむ、1960年5月場所-1961年9月場所）
豊國 範（とよくに すすむ、1961年11月場所-1968年1月場所）

エピソード

1965年には、角界拳銃密輸事件に関与し、大鵬や柏戸らと共に書類送検されています。

学生相撲出身で、その実力を活かして幕内でも活躍しましたが、現役生活の後半は苦戦しました。

* 引退後は相撲料理店を経営し、相撲界との繋がりを保ちました。

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