辛威

辛威（しん い）

辛威は、512年から580年にかけて、中国の西魏から北周にかけて活躍した軍人です。本貫は隴西郡狄道県。

生涯

北魏での台頭

辛威は、北魏の河州四面大都督であった辛生の子として生まれました。当初から武勇に優れ、賀抜岳の西征に従軍して功績を挙げ、都督・輔国将軍に任ぜられました。534年、宇文泰が賀抜岳の部衆を引き継ぐと、辛威はその能力を認められ、召されて帳内に入ります。その後、羽林監に任ぜられ、白土県伯に封ぜられました。孝武帝を迎え、迴洛城を攻撃する際には、その功績が最も優れていると評価されました。

西魏への貢献

535年に西魏が建国されると、辛威は寧遠将軍に任ぜられました。その後も順調に昇進を重ね、通直散騎常侍に累進し、爵位は侯に進みました。従軍して竇泰を捕らえ、弘農を奪回し、沙苑の戦いでは先鋒として活躍するなど、数々の戦で武功を挙げました。これらの功績により、撫軍将軍・銀青光禄大夫の位を受けました。于謹の下で襄城を攻略し、独孤信に従って洛陽に入り、河橋の戦いにも参加。その功績により、持節を加えられ、爵位は公に進みました。

539年には、揚州刺史に任ぜられ、大都督を加えられました。547年には、車騎大将軍・儀同三司となり、さらに驃騎大将軍・開府儀同三司に転じ、普屯氏の姓を賜り、敷州刺史として赴任しました。その後、河州刺史に転じ、河州大中正を務めました。

北周での活躍

557年に北周の孝閔帝が即位すると、辛威は大将軍に任ぜられ、爵位は枹罕郡公に進みました。北斉の司馬消難が北周に帰順してくると、辛威は達奚武と共に応接にあたりました。561年には、兵を率いて丹州の胡族の乱を鎮圧し、これを撃破。563年には、達奚武と共に陽関を攻撃して攻略しました。564年には、尉遅迥の下で洛陽を包囲し、帰還すると小司馬に任ぜられました。566年には、位は柱国に進みました。再び行軍総管となり、綏州・銀州などの胡族の乱を討伐し、これらの地域を平定しました。571年には、斉王宇文憲の東征に従い、伏龍など5つの城を攻略。572年には、大司寇に任ぜられました。

晩年

574年には、少傅に転じ、寧州総管として赴任しました。578年には、位は上柱国に進みました。580年には、宿国公に進み、再び少傅となりましたが、その年の冬、69歳で亡くなりました。

子の辛永達が後を嗣ぎ、儀同大将軍に上りました。

伝記資料

『周書』巻27 列伝第19
『北史』巻65 列伝第53

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