野村彰彦

野村彰彦：中央競馬に名を刻んだ騎手と調教師

1943年9月13日、愛知県一宮市に生まれた野村彰彦氏は、幼少期から馬に親しみ、騎手を目指しました。父親の馬車運送業が競馬関連資材も扱っていた環境が、その志を育んだと言えるでしょう。当初は笠松競馬場での騎手生活を検討し、研修にも参加していましたが、馬主の牧市太郎氏に中央競馬への道を勧められ、1960年、橋本正晴厩舎の見習い騎手として新たな一歩を踏み出しました。

1962年3月、騎手としてデビュー。アングロアラブのカツラバラッケーで初勝利を飾り、同馬との最初の特別競走勝利は、野村氏の騎手生活における忘れられない出来事となりました。その後、数々の競走で活躍し、1965年にはミエタカラで重賞初勝利を挙げます。1967年には中村覚之助厩舎に移籍し、複数の重賞競走で勝利を収め、数々の名馬に騎乗しました。中でも、1972年の天皇賞（秋）を制したヤマニンウエーブへの騎乗経験は特筆に値します。天皇賞では手綱を取る予定でしたが、直前のアクシデントにより断念せざるを得ませんでした。

1985年、調教師免許を取得し、騎手として3269戦321勝（うち重賞5勝）の輝かしい戦績を残して引退しました。GI級競走制覇は叶いませんでしたが、長きに渡り第一線で活躍しました。

騎手引退後、2年間の期間を経て、1987年に調教師として開業。開業当初は競馬会からの通達により、馬の用意が制限されるという困難な状況に直面しましたが、持ち前の粘り強さで乗り越え、厩舎を開業しました。開業から6か月後には初勝利を挙げ、順調に実績を重ねていきます。1989年にはナムラモノノフが阪神大賞典を制し、調教師としての重賞初勝利を手にしました。

その後も、キョウエイボーガン、ナムラコクオーといったクラシック戦線で話題となった馬を育成。1997年にはキョウエイマーチが桜花賞を制し、騎手時代からの悲願であったGI競走制覇を達成しました。同年には年間27勝（地方含むと28勝）という自己最高の成績を収めました。2000年代以降も、スプリングゲントの中山グランドジャンプ制覇（2009年）など、数々の重賞勝利馬を輩出し続けました。

2014年2月、70歳定年により調教師を引退。調教師としての通算成績は6470戦510勝（うち地方152戦22勝）、重賞26勝（同1勝）でした。

2021年9月13日、78歳で逝去。生誕日と命日、同じ日でした。野村彰彦氏の功績は、日本の競馬史に深く刻まれています。多くの名馬を育て、後進の育成にも尽力した氏の功績は、競馬関係者の間で長く語り継がれるでしょう。その活躍は、多くの競馬ファンに感動と興奮を与え続けました。騎手として、そして調教師として、中央競馬に大きな足跡を残した野村彰彦氏の功績は、後世に長く語り継がれることでしょう。

主な騎乗馬・管理馬

騎手時代

ミエタカラ (タマツバキ記念)
トミマサ (中日新聞杯)
ミドリエース (CBC賞)
シュウザンミノル (タマツバキ記念)
フセノスズラン (スワンステークス)

調教師時代

GI競走優勝馬

キョウエイマーチ (報知杯4歳牝馬特別、桜花賞、ローズステークス、阪急杯、京都金杯)
スプリングゲント (京都ジャンプステークス、東京ハイジャンプ、京都ハイジャンプ、中山グランドジャンプ)

その他の重賞競走優勝馬

ナムラモノノフ (阪神大賞典、京都大障害・春)
キョウエイボーガン (中日スポーツ賞4歳ステークス、神戸新聞杯)
ナムラコクオー (ラジオたんぱ杯3歳ステークス、シンザン記念、NHK杯、プロキオンステークス)
カネトシガバナー (神戸新聞杯、愛知杯、東京ハイジャンプ、阪神スプリングジャンプ)
アルーリングアクト (小倉3歳ステークス)
インタータイヨウ (兵庫チャンピオンシップ)
アルーリングボイス (小倉2歳ステークス、ファンタジーステークス)
* アーバンストリート (シルクロードステークス)

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