鍛冶司

鍛冶司の歴史と役割

鍛冶司（かぬちし）は、律令制度下の古代日本において宮内省に属し、主に鍛冶に関する業務を行っていた役所です。この機関は、銅や鉄を素材として様々な雑器を製造し、またその製作を担う鍛冶部を管理していました。具体的には、鍛冶司には20人の鍛冶職人と338戸の鍛冶戸が所属し、刀剣や雑器などの生産を手掛けていました。

鍛冶司の組織構成

鍛冶司の職員は複数の役職から成り立っており、正（かみ）や佑（すけ）、大小令史（さかん）といった役職が存在しました。これらの職員は、鍛冶業務を担うために専門的な技能と知識を持っており、その活動は古代日本社会において非常に重要な役割を果たしていました。

役所間の関係

鍛冶司は、大蔵省にある典鋳司と関連して動いていました。典鋳司は金、銀、銅、鉄を鋳造していましたが、鉄に関しては鍛冶司が主に担当することが多かったと言われています。大宝令が施行された当初、鍛冶司は鍛冶と鋳造の両方の機能を兼ね備えていたと考えられていますが、これは典鋳司が新設されたばかりであったため、工人たちの配属が遅れた結果であると新井喜久夫は指摘しています。

解体と再編成

『続日本紀』による記録では、鍛冶司は天平16年（744年）の雑戸の解放に伴い、廃止されたことが示されています。この結果、同年の4月21日には造兵司と共にその機能を失い、後に中務省の傘下の内匠寮に吸収されたと考えられています。しかし、天平勝宝4年（752年）には雑戸が復活し、それに続いて鍛冶司も再び設置されました。これには『続紀』の記録にも見られるように、鍛冶職人の任官に関する記事も存在します。

最終的な変遷

さらに大同3年1月20日（808年）の平城天皇による詔により、鍛冶司は木工寮に併合されました。これにより、鍛冶司の役割は次第に変遷し、他の役所との統合を経て、さらなる発展を遂げていったのです。

参考文献

• - 『角川第二版日本史辞典』p205、高柳光寿・竹内理三編、角川書店、1966年
• - 『続日本紀』新日本古典文学大系、岩波書店、1989年-1995年
• - 宇治谷孟訳『続日本紀』全現代語訳、講談社学術文庫、1992年

関連項目

• - 日本の官制

鍛冶司は日本の歴史の中で重要な役割を持ち、多くの人々の日常生活を支えるための製品を生み出しました。この機関は、古代日本の文化と技術の発展に寄与したといえるでしょう。

もう一度検索