長野中央通り

長野中央通り



長野中央通りは、長野市の中心部を南北に貫く主要道路の通称です。長野駅善光寺口から善光寺までを結び、一般的には「中央通り」として親しまれています。

概要



この通りは、長野駅前から善光寺へとほぼ一直線に伸びる、長野市の目抜き通りです。途中、北石堂町付近でわずかに屈折しているものの、新田町交差点以北では、善光寺の仁王門が一直線に見える景観が特徴的です。これは、「天与の地形」と称され、この通りの歴史的な背景を物語っています。

長野中央通りは、単なる交通路としてだけでなく、善光寺への参道としても重要な役割を担ってきました。「歩いて楽しめる通り」を目標に掲げ、交通セル構想に基づいた整備が進められています。自動車交通を抑制し、バスを中心としたセミモール形態を経て、将来的にはトランジットモール化を目指しています。

通りの南北で雰囲気が異なるのも特徴です。南側（長野駅側）は、若者向けのファッションビルや雑居ビルが立ち並ぶ、活気あるエリアです。一方、北側（善光寺側）は、昔ながらの商店やリノベーションされた飲食店、美術館などが点在し、門前町の風情を残しています。特に、この区間は歩行者優先に整備されており、御影石の石畳や休憩用のベンチが設置され、歩行者が快適に過ごせる空間となっています。

さらに、北端の約150m区間は、石畳の色が濃くなり、その先の仲見世通りへと繋がっています。この通り全体は、駐車監視員活動の最重点路線であり、大型貨物自動車の通行が制限されています。

沿道風景



沿道には、「十一丁」などと刻まれた石碑が点在しています。これは、1888年に長野駅が開設された際、その位置を善光寺から18丁（約1.8km）と定めたことに由来し、善光寺から長野駅までの間に1丁ごとに設置されたものです。また、かつては48基の灯籠が建っていましたが、アーケード設置のために撤去されました。その後、2009年の善光寺御開帳に向けて灯籠の復元が進められ、切り絵作品をはめ込んだ灯籠が設置されています。

新田町交差点以北では、門前町としての景観整備に力が入れられており、高層ビルも低層部に瓦屋根を採用するなど、周囲の景観に配慮したデザインとなっています。また、善光寺交差点には長野市道路元標が設置されています。

街路樹にはカツラが植えられていますが、これは善光寺本堂の柱にカツラが使われていることに由来します。

歴史



「中央道路」の誕生



長野市は、全国で唯一の門前町県庁所在地であり、その市街地は不規則に発展し、道路が狭隘でした。特に、長野駅の開業後は、交通の便が悪化していました。1913年の「長野市区改正計画」では、この「大通り」を拡幅することが計画されましたが、当初は実現不可能と思われていました。

しかし、1919年に地元有力者の陳情により、「中央道路」計画が動き出し、最終的には10間（約18m）幅の道路整備が決定しました。この計画では、善光寺表参道の屈折点を直線化し、勾配を緩和することで、道路の先に善光寺仁王門が見えるようにすることを目指しました。また、街路灯を整備し、夜間の景観にも配慮した設計となりました。

1923年に着工されたこの大事業は、沿道の202戸の家屋の建て替えや移築を伴うもので、関東大震災による遅れはあったものの、1924年に完成しました。この道路の完成によって、新田町交差点以北からは善光寺仁王門を望むことができるようになり、139基の街路灯が夜を照らす美しい通りが誕生しました。

中央通りの発展



戦後、「中央通り」と呼ばれるようになったこの通りは、高度経済成長とともに大きく変化しました。1954年には、長野県下初の交通信号機が新田町交差点に設置され、その後もスクランブル交差点や音響装置付信号機など、県下初の設備が次々と導入されました。

沿道は商業の中心として発展し、特に新田町交差点周辺は「長野銀座」と呼ばれ、多くの百貨店や大型店が立ち並びました。また、1960年には歩道にアーケードが設置され、1970年には県下初の歩行者天国が実施されるなど、賑わいを見せました。

「長野銀座」の衰退と再開発



1998年の長野オリンピック開催を控え、中央通りでも改修工事が行われました。電線地中化や歩道のアーケードの撤去、石畳化など、門前町としての景観づくりが進められました。また、通り沿いに「丁石」が設置され、善光寺からの距離を示す目印となっています。

しかし、五輪後、中央通りは不況の影響を受け、商業の中心が長野駅側に移り、観光客は善光寺周辺に集中したため、「長野銀座」は衰退していきました。大型店の閉店が相次ぐ中、長崎屋跡地は「ショッピングプラザagain」、ダイエー跡地は「もんぜんぷら座」、長野そごう跡地は「TOiGO」として再開発され、徐々に賑わいを取り戻しつつあります。

歩行者優先化へ



地元有志による活性化の取り組みも活発になり、長野市も中央通りの歩行者優先化構想を進めてきました。2015年には、新田町交差点以北の区間で歩行者優先化事業が完了し、車道が縮小され、歩道が拡張されました。また、歩道と車道の間の段差がなくなり、可動式のボラードで区切られ、ベンチなどが設置されています。これにより、「善光寺へ導く一本の道」として、連続性のある景観が形成されました。

さらに、2018年には新田町交差点以南についても長野市に移管され、長野駅から善光寺までの一貫した管理が可能となり、より一体的な政策展開ができるようになりました。

沿革




政策的位置付け



長野市街地の骨格として、また商業軸としても重要な位置を占めています。

  • - 長野駅地区：商業集積地区として賑わいを演出
  • - 長野銀座地区：都心再整備を目的とした市街地再開発地区
  • - 権堂地区：商業集積地区として再整備が進められている
  • - 大門地区：店舗・住宅の意匠を和風で統一する修景が進められている

交差する道路



  • - 末広町交差点
  • - かるかや山前交差点
  • - 新田町交差点
  • - 問御所町交差点
  • - 大門南交差点
  • - 大門交差点
  • - 善光寺交差点

沿道





長野中央通りは、歴史と文化が息づく、長野市のシンボルロードです。かつての賑わいを取り戻し、人々が集い、楽しめる空間となるよう、今もなお進化を続けています。

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