音楽携帯

音楽携帯とは



音楽携帯とは、音楽再生機能を前面に押し出した携帯電話端末の通称です。ミュージックケータイとも呼ばれ、デジタルオーディオプレーヤーのブランド名を冠する製品（例：Walkman Phone）も存在します。

概要



音楽携帯は、携帯電話の機能の中でも特に音楽再生に特化した機種を指します。着信メロディや着うたとは異なり、楽曲を個別に管理し、デジタルオーディオプレーヤー並みの音楽再生機能（連続再生、イコライザ、アーティスト別/アルバム別再生、リピート/シャッフル再生など）を備えているのが特徴です。

歴史



日本


日本で最初に音楽再生機能を搭載した携帯電話は、2000年11月にauから発売された「C404S DiVA」（ソニー製）です。メモリースティックスロットを搭載し、ATRAC3形式の再生に対応しました。同月には、DDIポケットから「RZ-J91」（三洋電機製）が発売され、「ケータイ de ミュージック」という音楽配信技術に対応し、購入した楽曲データを再生できるようになりました。しかし、この機種は購入した楽曲以外は再生できませんでした。

その後、各社から音楽再生機能付き端末が発売されましたが、普及には至りませんでした。また、音楽配信サービス「Sound Market」も利用者を獲得できず、2004年にサービスを終了しました。

しかし、iPodや着うたの流行により、2005年頃からNTTドコモ、au、ボーダフォン（現ソフトバンクモバイル）が再び音楽再生機能搭載機種を投入しました。auは2006年に「LISMO」を開始し、音楽携帯を前面に押し出しました。同年6月には、auから「W42S」（ソニー・エリクソン製）が発売され、国内携帯電話初の「ウォークマン」を冠し、音楽再生に特化したデザインと機能が特徴でした。

NTTドコモの一部機種（F902iS以降）はWindows Media Audio（WMA）形式の再生に対応しており、楽曲転送にはWindows Media Playerを使用します。これにより、WMA形式で楽曲を管理しているユーザーにとって使いやすい転送方法を提供しました。

2007年には、ソフトバンクモバイルもWMA形式に対応した機種を発売しました。2008年には、auが楽曲管理ソフトをAtracベースの形式に移行し、SONYのウォークマンなどとの楽曲ライブラリ共有が可能になりました。

初期の音楽携帯は電池の消耗が激しく、音質も課題がありましたが、その後の改良によりMP3デコード専用LSIの搭載や、記憶媒体の大容量化が進み、連続再生時間や楽曲保存量が向上しました。

現在の携帯電話は折り畳み型が主流のため、閉じた状態での操作性が課題でしたが、音楽操作専用ボタンの搭載や、リモコンの付属などにより操作性が改善されました。また、一部の機種にはステレオスピーカーが搭載され、楽曲の再現性も向上しました。

楽曲転送は、専用の転送ソフトを使用するのが主流です。主な転送ソフトには、SD-Jukebox（SD-Audio対応端末）、SonicStage/BeatJam（ATRAC対応端末）、iTunes（ソフトバンクモバイルの一部端末）、Windows Media Player（NTTドコモ/ソフトバンクモバイルの一部機種）、au Music Port/LISMO Port（au）などがあります。

SO903iとW53Sを最後に、日本の携帯電話でAtrac形式オーディオと密接な関係にあるメモリースティックの搭載が終了し、ワンセグやソーシャルゲーム、スマートフォン等にトレンドが移行したことで、音楽再生機能に特化した音楽携帯というカテゴリは縮小しました。しかし、現在ではほとんどの携帯電話が音楽再生機能を搭載し、コモディティ化しています。

日本国外


2004年夏、モトローラはAppleと業務提携を発表し、2005年にはiTunesを搭載した「Motorola ROKR E1」を発売しました。しかし、転送可能な楽曲数に制限がありました。後継機種にはiTunesは搭載されず、他の音楽再生ソフトウェアが搭載されました。

ソニー・エリクソンは2005年に「W800」を発売し、Walkman Phoneシリーズとして展開しました。

利点と欠点



利点


パソコンを持たないユーザーでも、携帯電話のみで楽曲を購入できる（着うた/着うたフル）。
 携帯電話1つで音楽を聴くことができる。

欠点


音楽再生中は他の機能が制限される場合がある。
 電池切れの心配が高い。
端末によっては、電話やメールの着信で再生が中断されることがある。
 平型イヤホンコネクタが接触不良を起こしやすい。
転送ソフトごとにファイルの互換性がなく、機種変更時に移行が難しい。
 楽曲を専用形式に変換する必要があり、手間がかかる場合がある。
楽曲の単価がPC音楽配信より高い場合がある。
 ダウンロード時にパケット通信料がかかる。
携帯電話が故障すると音楽を再生できなくなる。

えせ着うた



携帯電話キャリア公式サイト以外で提供される、自作の着信音声を「えせ着うた」と呼びます。利用には取扱説明書に記載されていない方法が必要で、FFmpegやiTunesを用いてAAC形式や3GP形式に変換して利用する機種が一般的です。

関連項目



 NTTドコモ
au
 ソフトバンクモバイル
着うたフル
 音楽配信
LISMO
 SD-Audio
MOOCS
 S!ミュージックコネクト
mora
 SD-Jukebox
Windows Media Audio

外部リンク



 au 音楽サービス - ウェイバックマシン
* サービス SoftBank

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