香良洲神社
香良洲神社は、三重県津市香良洲町に位置する神社で、その歴史は古く、飛鳥時代にまで遡ると伝えられています。この神社は、近代社格制度において県社に列せられ、香良洲という地名の由来ともなりました。
主祭神として祀られているのは、伊勢神宮の内宮に祀られる天照大御神の妹神とされる稚日女命（わかひるめのみこと）です。このため、古くから「お伊勢詣りをして加良須（香良洲）に詣らぬは片参宮」と言われ、伊勢神宮への参拝と合わせて香良洲神社への参拝が推奨されてきました。また、相殿神として御歳大神も祀られています。
稚日女命は、婦人の守護神として信仰されており、機織との関係から紡績業界からの崇敬も集めています。さらに、神功皇后の軍船を守護し導いたという神話から、航海の神、海の守り神としても広く信仰されています。このため、神宮との関係から教派神道の大本の関係者による参拝も多く見られました。
神社は伊勢湾に面した松林の中に位置しており、境内は約9,997坪にも及びます。社殿は神明造で、本殿内には白木の箱に納められた石が神体として祀られています。20年に一度の遷宮が行われるのも特徴です。
境内には、本殿や拝殿のほか、小香良洲社、大国社、稲荷社、浜宮、忠魂社、厩社、絵馬殿といった境内社や施設があります。特に小香良洲社は、稚日女命の荒魂と、香良洲町内11社から合祀された神々を祀っています。また、社宝として「伯爵東郷平八郎元帥自筆の額」と「徳富蘇峰自筆の額」が保存されています。
社伝によれば、欽明天皇の時代に香良洲の浜に毎夜御神火が現れたことが、神社の創建のきっかけとされています。住民が祟りを恐れ、一志直青木が祈りを捧げたところ、稚日女命のお告げがあり、生田神社から勧請したと伝えられています。別の説では、大同2年（807年）に大伴文守が伊勢国を平定した後、香良洲神社に参詣し、和平の誓約として矢を奉納したのが創建の起源であるともされています。
『延喜式』には稲葉神社として記載されており、祭神は稲羽八上比売命とその子木俣神の2柱とされています。しかし、香良洲神社ではなく、津市稲葉町の稲葉神社を『延喜式』の稲葉神社とする説が有力です。内務省の調査の結果、1875年には稲葉神社が式内社とされ、香良洲神社は式外社となりました。
江戸時代には、伊勢国司や津藩主の藤堂氏が社殿の造営修理に資金を拠出しました。藤堂氏は神領として30石余を寄進し、香良洲神社は半ば官幣社としての待遇を受けていました。一方、境内にある小香良洲社は、純粋に産土神として祀られてきました。
香良洲神社は、1875年に郷社に列せられ、1882年には県社に昇格し、1906年には神饌幣帛料供進社に指定されました。2012年には落雷が原因で本殿が焼失しましたが、神体は無事でした。
香良洲神社は、以下の4社を分社としています。
香良洲神社（北海道中川郡幕別町南勢）
茨神社（静岡県島田市南二丁目）
香良須社〔香良州神社〕（愛知県日進市本郷町）
川俣神社（三重県鈴鹿市和泉町）
香良洲神社では、年間を通じて様々な祭事が行われています。特に重要なのは、7月15日の夜がらす祭、8月15日から16日の宮踊りです。また、4月21日には遷座記念祭兼春祭、11月25日には秋祭が行われ、6月30日には茅の輪くぐりがあります。毎月1日と15日には月次祭、祝日には祭礼が執り行われます。
夜がらす祭は、三重県では珍しい夜に行われる祭りで、境内では地元の青年団や婦人会による手踊りが奉納され、花火も打ち上げられます。祭りの参加者も輪に加わり、一緒に踊ります。
宮踊りは、「かんこ踊り」と同様の形式ですが、より大きな太鼓を使用するのが特徴です。香良洲町外では「けんか踊り」とも呼ばれますが、町民は「宮踊り」と呼びます。この踊りは、1970年に三重県指定無形民俗文化財に指定されました。毎年8月15日には、町内の各地区が順番に踊り続け、夜通しで祭りが続きます。
香良洲神社では、20年に一度、本殿と拝殿を建て替える式年遷座が行われます。2014年には7度目の遷座が行われました。遷座の際には、神体と宝物が新殿に移され、厳かに儀式が執り行われます。
お木曳きは、20年に一度行われる祭事で、香良洲町内の各自治会が社殿造営のための用材を神社境内へ曳き込む行事です。津市指定無形民俗文化財に指定されています。2013年に行われた際には、多くの警察官が警備にあたりました。
香良洲神社では、カラスを描いた扇子が祭礼時に販売され、江戸時代には多くの参拝者に親しまれました。「香良洲」という地名の由来には、カラスが住んでいた地であることや、香良洲神社でカラスの扇を売っていたことに因むという説があります。この神社には、「烏扇」に関する伝説も残されています。
伊勢参宮街道から香良洲神社へ至る参道は、香良洲道（からす道）と呼ばれています。香良洲道は、津市藤枝町、松阪市曽原町、松阪市中林町の3箇所で伊勢参宮街道から分岐しています。また、香良洲大橋のたもとには、常夜灯と道標が残されています。
香良洲神社へ公共交通機関で訪れる場合、JR・近鉄・伊勢鉄道津駅から三重交通バス、または近鉄久居駅から三重交通バスを利用し、香良洲神社前で下車するのが便利です。神社周辺には、津市サンデルタ香良洲、高砂公園、香良洲公園、津市立香良洲小学校などの公共施設があります。
香良洲神社は、古くからの信仰と地域の文化が色濃く残る神社です。その歴史と伝統を感じに、ぜひ一度訪れてみてください。
祭神と信仰
主祭神として祀られているのは、伊勢神宮の内宮に祀られる天照大御神の妹神とされる稚日女命（わかひるめのみこと）です。このため、古くから「お伊勢詣りをして加良須（香良洲）に詣らぬは片参宮」と言われ、伊勢神宮への参拝と合わせて香良洲神社への参拝が推奨されてきました。また、相殿神として御歳大神も祀られています。
稚日女命は、婦人の守護神として信仰されており、機織との関係から紡績業界からの崇敬も集めています。さらに、神功皇后の軍船を守護し導いたという神話から、航海の神、海の守り神としても広く信仰されています。このため、神宮との関係から教派神道の大本の関係者による参拝も多く見られました。
神社の概要
神社は伊勢湾に面した松林の中に位置しており、境内は約9,997坪にも及びます。社殿は神明造で、本殿内には白木の箱に納められた石が神体として祀られています。20年に一度の遷宮が行われるのも特徴です。
境内には、本殿や拝殿のほか、小香良洲社、大国社、稲荷社、浜宮、忠魂社、厩社、絵馬殿といった境内社や施設があります。特に小香良洲社は、稚日女命の荒魂と、香良洲町内11社から合祀された神々を祀っています。また、社宝として「伯爵東郷平八郎元帥自筆の額」と「徳富蘇峰自筆の額」が保存されています。
歴史
社伝によれば、欽明天皇の時代に香良洲の浜に毎夜御神火が現れたことが、神社の創建のきっかけとされています。住民が祟りを恐れ、一志直青木が祈りを捧げたところ、稚日女命のお告げがあり、生田神社から勧請したと伝えられています。別の説では、大同2年（807年）に大伴文守が伊勢国を平定した後、香良洲神社に参詣し、和平の誓約として矢を奉納したのが創建の起源であるともされています。
『延喜式』には稲葉神社として記載されており、祭神は稲羽八上比売命とその子木俣神の2柱とされています。しかし、香良洲神社ではなく、津市稲葉町の稲葉神社を『延喜式』の稲葉神社とする説が有力です。内務省の調査の結果、1875年には稲葉神社が式内社とされ、香良洲神社は式外社となりました。
江戸時代には、伊勢国司や津藩主の藤堂氏が社殿の造営修理に資金を拠出しました。藤堂氏は神領として30石余を寄進し、香良洲神社は半ば官幣社としての待遇を受けていました。一方、境内にある小香良洲社は、純粋に産土神として祀られてきました。
香良洲神社は、1875年に郷社に列せられ、1882年には県社に昇格し、1906年には神饌幣帛料供進社に指定されました。2012年には落雷が原因で本殿が焼失しましたが、神体は無事でした。
分社
香良洲神社は、以下の4社を分社としています。
香良洲神社（北海道中川郡幕別町南勢）
茨神社（静岡県島田市南二丁目）
香良須社〔香良州神社〕（愛知県日進市本郷町）
川俣神社（三重県鈴鹿市和泉町）
祭事
香良洲神社では、年間を通じて様々な祭事が行われています。特に重要なのは、7月15日の夜がらす祭、8月15日から16日の宮踊りです。また、4月21日には遷座記念祭兼春祭、11月25日には秋祭が行われ、6月30日には茅の輪くぐりがあります。毎月1日と15日には月次祭、祝日には祭礼が執り行われます。
夜がらす祭
夜がらす祭は、三重県では珍しい夜に行われる祭りで、境内では地元の青年団や婦人会による手踊りが奉納され、花火も打ち上げられます。祭りの参加者も輪に加わり、一緒に踊ります。
宮踊り
宮踊りは、「かんこ踊り」と同様の形式ですが、より大きな太鼓を使用するのが特徴です。香良洲町外では「けんか踊り」とも呼ばれますが、町民は「宮踊り」と呼びます。この踊りは、1970年に三重県指定無形民俗文化財に指定されました。毎年8月15日には、町内の各地区が順番に踊り続け、夜通しで祭りが続きます。
式年遷座
香良洲神社では、20年に一度、本殿と拝殿を建て替える式年遷座が行われます。2014年には7度目の遷座が行われました。遷座の際には、神体と宝物が新殿に移され、厳かに儀式が執り行われます。
お木曳き
お木曳きは、20年に一度行われる祭事で、香良洲町内の各自治会が社殿造営のための用材を神社境内へ曳き込む行事です。津市指定無形民俗文化財に指定されています。2013年に行われた際には、多くの警察官が警備にあたりました。
カラスの扇
香良洲神社では、カラスを描いた扇子が祭礼時に販売され、江戸時代には多くの参拝者に親しまれました。「香良洲」という地名の由来には、カラスが住んでいた地であることや、香良洲神社でカラスの扇を売っていたことに因むという説があります。この神社には、「烏扇」に関する伝説も残されています。
香良洲道
伊勢参宮街道から香良洲神社へ至る参道は、香良洲道（からす道）と呼ばれています。香良洲道は、津市藤枝町、松阪市曽原町、松阪市中林町の3箇所で伊勢参宮街道から分岐しています。また、香良洲大橋のたもとには、常夜灯と道標が残されています。
アクセス
香良洲神社へ公共交通機関で訪れる場合、JR・近鉄・伊勢鉄道津駅から三重交通バス、または近鉄久居駅から三重交通バスを利用し、香良洲神社前で下車するのが便利です。神社周辺には、津市サンデルタ香良洲、高砂公園、香良洲公園、津市立香良洲小学校などの公共施設があります。
香良洲神社は、古くからの信仰と地域の文化が色濃く残る神社です。その歴史と伝統を感じに、ぜひ一度訪れてみてください。
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