魚沼市の歴史

新潟県魚沼市の歴史は古く、13世紀には湯之谷温泉郷に含まれる大湯温泉が開かれたと伝えられています。また、宝蔵寺もこの頃、1248年または1259年に開山されたとされています。戦国時代に入ると、この地は上杉氏の所領となりました。1578年の御館の乱では、三国峠を越えてきた北条氏政が板木城（現在の堀之内、小出周辺）を攻撃した記録が残っています。江戸時代には検地が行われ、銀山開発も進められましたが、同時に度重なる自然災害に見舞われました。特に魚野川の氾濫や飢饉が頻発し、享保、天明、天保の大飢饉では深刻な被害が出ました。蝗害（いなごの被害）や大雪など、厳しい自然環境との闘いが続きました。

明治時代に入ると近代化が進み、1875年には現在の小出小学校の前身となる公立小出島校が開学しました。三国街道が国道に指定されるなど交通網の整備も試みられましたが、県境区間は荒廃した時期もありました。警察組織も発足し、地域の治安維持が図られました。1889年の町村制施行により、多くの村が誕生し、行政区画が再編されました。しかし、この時代も自然災害は続き、1896年には横田切れと呼ばれる集中豪雨が魚野川沿いに大きな被害をもたらしました。その後、周辺の村との合併が進み、小出町や堀之内村などが成立しました。

大正時代には交通インフラの発展が見られました。1922年には上越線（当時は上越北線）が延伸し、越後堀之内駅が開業。翌年には小出駅も開業し、地域住民の移動や物流が大きく改善されました。医療体制も整えられ、1924年には魚沼共済病院が開院しました。

昭和時代は、インフラ整備と災害対策が大きく進んだ時代です。度重なる雪崩や集中豪雨、洪水が発生し、特に1960年の魚野川上流域での集中豪雨や1961年の第2室戸台風、1981年の台風15号による魚野川の破堤など、甚大な被害を受けました。これらを教訓に、1961年から長期にわたる魚野川の河川改修工事が始まり、災害に強い地域づくりが進められました。また、奥只見ダムや黒又川第一ダムといった大規模な土木構造物が完成し、治水・利水に貢献しました。交通網では、只見線の延伸や関越自動車道の開通（小出IC、後の魚沼IC）により、広域とのアクセスが向上しました。積雪地ならではのインフラとして、日本初の流雪溝整備が小出町で始まるなど、雪国特有の課題への取り組みも進みました。教育面では県立高校が開校し、地域の子どもたちが地元で学ぶ機会が増えました。昭和後期には、小出郷消防・衛生施設組合が設立されるなど、将来の広域連携や合併を見据えた動きも見られました。しかし、この時期にも地すべりや雪崩といった自然災害は発生し、多くの犠牲者や被害が出ました。

平成時代に入っても、自然災害は地域の歴史に影を落としました。平成16年（2004年）には、新潟・福島豪雨と新潟県中越地震が連続して発生し、大きな被害を受けました。特に中越地震では、魚沼市となる範囲でも死者や多数の家屋・道路被害が発生しました。こうした厳しい状況の中、地域の将来を見据えた大きな転換期が訪れます。平成16年（2004年）11月1日、小出町、堀之内町、湯之谷村、広神村、守門村、入広瀬村の6町村が合併し、新たに魚沼市が誕生しました。これは、昭和後期からの広域連携の積み重ねが結実したものです。市制施行後、地域インフラの整備（公共下水道）や、工業団地の造成、企業誘致（マルコメの工場進出など）といった地域経済の活性化に向けた取り組みが進められています。

令和の時代に入り、地域固有の活動も評価されるようになり、2024年には日本サッカー協会から表彰を受けました。魚沼市は、古くからの歴史と豊かな自然を持ちながら、度重なる自然災害を乗り越え、地域の力を結集して未来へと歩みを進めています。

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