黄文備

黄文 備（きふみ の そなう）

黄文備は、飛鳥時代から奈良時代にかけて活躍した日本の貴族です。姓は連で、官位は従五位下・主税頭という地位にありました。

出自について

黄文氏は「黄書」としても知られています。その初出は『日本書紀』第22巻に記されており、特徴的な歴史を持つ一族です。この氏族は「高麗国人久斯祁王」に由来するとも言われています。同族の中には、唐へ渡り仏足石を模写した黄書造本実や、壬申の乱で活躍した黄書造大伴が存在します。彼らは山城国久世郡を本拠地とし、渡来系の一族と考えられています。

元々は「造」という姓を持っていましたが、天武天皇12年（683年）に連姓が与えられ、以後は黄文氏として名を馳せることになりました。

経歴について

『続日本紀』の記録によると、文武天皇4年（700年）、 黄文備は刑部親王と共に大宝律令の制定に関与しました。この功績により、白猪史骨や土師宿禰甥とともに禄を賜りました。この時の位階は「追大壱」（正八位上に相当）です。

その後、和銅4年（711年）には正六位上から従五位下に昇叙されました。『懐風藻』に収められた「春日宴に侍す」という題の詩には、黄文備の最終的な官位である主税頭と、享年56歳であったことが記されていますが、正確な没年は不明です。

黄文備の人生は、当時の日本において文化的かつ政治的な影響力を持った人物としての軌跡を描いています。彼が大宝律令の制定に関わることで、律令国家の形成に寄与したことは、後の日本史においても重要な位置を占めています。

参考文献

• - 『日本書紀』(五)、岩波文庫、1995年
• - 『日本書紀』全現代語訳(下）、講談社学術文庫、1988年
• - 『続日本紀』1 新日本古典文学大系12　岩波書店、1989年
• - 『続日本紀』全現代語訳(上)、講談社学術文庫、1992年
• - 『懐風藻』、全訳注江口孝夫、講談社学術文庫、2000年
• - 『コンサイス日本人名辞典 改訂新版』三省堂、1993年
• - 『日本の歴史3 奈良の都』、青木和夫：著、中央公論社、1965年

関連項目

• - 大宝律令
• - 刑部親王
• - 藤原不比等
• - 粟田真人
• - 伊余部馬養
• - 土師甥
• - 坂合部唐
• - 白猪骨
• - 田辺百枝
• - 道首名
• - 額田部林
• - 調老人

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