1923年の相撲

1923年の相撲界：激動の一年

1923年は、相撲界にとって激動の一年でした。待遇改善を求める力士たちの動きが活発化し、一方で関東大震災という未曾有の災害に見舞われ、相撲界全体が大きく揺れ動きました。

力士たちの待遇改善要求

1923年1月9日、東京相撲力士会が協会に対し、処遇改善を要求しました。この要求は、一時的に協会との断絶状態を引き起こすほどの深刻なものでしたが、警視総監の仲介により、1月18日に手打ちとなりました。しかし、この騒動の責任を取り、横綱大錦卯一郎が引退することとなりました。この一件を受け、5月場所からは、待遇改善の財源を確保するため、本場所が11日制に延長されました。

また、5月9日には、大阪相撲の力士有志も同様に処遇改善を要求し、協会と対立しました。協会は幕下以下の力士のみで場所を強行しましたが、一旦は手打ちとなったものの、今度は力士間でいざこざが起こり、20名以上の幕内力士が引退するという事態に発展しました。これは、大阪相撲にとって大きな痛手となりました。

関東大震災

9月1日、関東大震災が発生し、東京相撲の年寄や力士たちは家財を失い、国技館も一部破損しました。この震災は、相撲界にも大きな影響を与え、その後の運営にも様々な困難をもたらしました。

本場所

1923年の本場所は、東京と大阪でそれぞれ開催されました。

1月場所（大阪相撲）：新世界国技館で1月12日から10日間興行。
1月場所（東京相撲）：両国[[国技館]]で1月13日から10日間興行。この場所は、西方が97対79で勝利し、旗手は太刀光電右エ門、個人優勝は栃木山守也でした。
5月場所（東京相撲）：両国[[国技館]]で5月11日から11日間興行。東方が96対77で勝利し、旗手は大蛇山酉之助、個人優勝は常ノ花寛市でした。
5月場所（大阪相撲）：新世界国技館で5月11日から10日間興行。この場所は幕下のみで行われ、6月23日からは帰参した幕内力士による10日間興行が行われました。

誕生した力士たち

1923年には、後の相撲界を担う多くの力士たちが誕生しました。主な力士として、以下の人物が挙げられます。

玉乃海太三郎（最高位：関脇）
朝若佐太郎（最高位：前頭21枚目）
緑嶋英三（最高位：前頭4枚目）
北の洋昇（最高位：関脇）
双子岩傳一（最高位：前頭5枚目）
栃木野竹三郎（最高位：十両7枚目）
出羽湊秀一（最高位：前頭筆頭）
鏡里喜代治（第42代横綱）
豊ノ花光義（最高位：十両5枚目）
清惠波清隆（最高位：前頭2枚目）
柏農山勝栄（最高位：前頭21枚目）
朝見山峻一郎（最高位：十両13枚目）
前ヶ汐英太郎（最高位：十両11枚目）
大起男右エ門（最高位：小結）
大江戸勇二（最高位：前頭16枚目）
鬼竜川光雄（最高位：前頭6枚目）
福ノ里牛之助（最高位：前頭13枚目）
松緑貢兵衛（最高位：十両5枚目）

物故した力士たち

1923年には、相撲界を去った力士もいました。主な人物は以下の通りです。

甲吾郎（最高位：前頭4枚目）
一ノ矢藤太郎（最高位：大関）
藤見嶽虎之助（最高位：前頭3枚目）
梅垣直治郎（最高位：西二段目8枚目）
* 當り矢信太郎（最高位：前頭4枚目）

まとめ

1923年は、相撲界にとって激動の一年でした。力士たちの待遇改善要求と関東大震災という二つの大きな出来事が相撲界を揺るがしましたが、この年を乗り越え、相撲界は新たな歴史を刻んでいくことになります。

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