1967年の自転車競技

1967年の自転車競技界の動向

1967年は、自転車競技界にとって様々な出来事が重なった激動の年でした。ロードレース、トラックレース、競輪、シクロクロスなど、各分野で注目すべき動きがありました。以下にその詳細を記述します。

ロードレース

ツール・ド・フランスの悲劇と変革

1967年のツール・ド・フランスは、第13ステージでトム・シンプソン選手がモン・ヴァントゥのゴール手前で倒れ、死亡するという悲劇に見舞われました。当初は熱射病によるものと診断されましたが、後の検査でアンフェタミンなどの薬物が検出され、ドーピングとの関連が疑われました。この事件は、自転車競技におけるドーピング問題に大きな波紋を投げかけました。

また、この年のツール・ド・フランスでは、国・地域別対抗戦形式が復活し（1968年まで）、1904年から最終ゴール地点となっていたパルク・デ・プランスが、サッカー専用スタジアムへの用途変更に伴い、その役割を終えました。

主なレース結果

ブエルタ・ア・エスパーニャ: ヤン・ヤンセン（オランダ）が総合優勝、ポイント賞も獲得。山岳賞はマリアーノ・ディアス（スペイン）
ジロ・デ・イタリア: フェリーチェ・ジモンディ（イタリア）が総合優勝。ポイント賞はディーノ・ツァンデグ（イタリア）、山岳賞はアウレリオ・ゴンサレス（スペイン）
ツール・ド・フランス: ロジェ・パンジョン（フランス）が総合優勝。ポイント賞はヤン・ヤンセン（オランダ）、山岳賞はフリオ・ヒメネス（スペイン）
世界選手権・プロロードレース: エディ・メルクス（ベルギー）が優勝
ミラノ〜サンレモ: エディ・メルクス（ベルギー）が優勝
ロンド・ファン・フラーンデレン: ディーノ・ツァンデグ（イタリア）が優勝
パリ〜ルーベ: ヤン・ヤンセン（オランダ）が優勝
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ: ワルテル・ホデフロート（ベルギー）が優勝
ジロ・ディ・ロンバルディア: フランコ・ビトッシ（イタリア）が優勝

スーパープレスティージュ

優勝: ヤン・ヤンセン（オランダ）

トラックレース

世界選手権自転車競技大会が開催

競輪

競輪界の変革

東京都知事選で美濃部亮吉が当選したことにより、後楽園競輪場の休止など、競輪界に大きな影響が出ました。また、長崎市長選で長崎競輪場の廃止を公約に掲げた諸谷義武が当選し、長崎競輪場が廃止されるなど、競輪界に大きな変化がありました。

主なレース結果

秩父宮妃賜杯競輪: 白鳥伸雄（千葉）が優勝。当時38歳で、特別競輪史上最年長優勝記録を更新（2002年に更新されるまで保持）。
オールスター競輪: 竹野暢勇（栃木）が優勝
高松宮賜杯競輪: 平間誠記（宮城）が優勝
全国都道府県選抜競輪: 吉川多喜夫（神奈川）が優勝
日本選手権競輪: 平間誠記（宮城）が優勝
競輪祭: 全日本競輪王戦で平間誠記（宮城）が、全日本新人王戦で福島正幸（群馬）が優勝

賞金王

平間誠記（宮城）が19,093,920円で賞金王に輝きました。

新鋭王戦の改称

競輪祭における新鋭王戦が全日本新人王戦へと名称が変更されました。

シクロクロス

世界選手権自転車競技大会: レナト・ロンゴ（イタリア）がプロ部門で優勝

物故

2月25日: 高石真五郎（日本、日本自転車振興会第2代会長、1878年生まれ）
4月(日不明): 福島昭亮（日本、競輪選手）
* 7月13日: トム・シンプソン（イギリス、ロードレース選手、1937年生まれ）

まとめ

1967年は、自転車競技界にとって、悲劇、変革、そして新たなスターの誕生が交錯した年でした。特に、ツール・ド・フランスにおけるトム・シンプソン選手の死は、ドーピング問題の深刻さを浮き彫りにしました。また、競輪界では、政治的な動きが業界に大きな影響を与えました。この年の出来事は、その後の自転車競技界の発展に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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