1968年の相撲

1968年の大相撲

1968年の大相撲は、多くの出来事が重なり、相撲界にとって大きな転換期となった一年でした。この年、初の外国出身幕内力士の誕生、内閣総理大臣杯の授与開始、そして大鵬の偉業達成など、歴史に残る出来事が数多くありました。

大相撲の主な出来事

1月：
高見山大五郎が、外国出身力士として初の幕内力士となりました。このことは、相撲界の国際化を象徴する出来事として注目されました。
内閣総理大臣杯の授与が開始され、優勝力士への新たな栄誉が加わりました。
明武谷が連続1000回出場を達成し、特別表彰を受けました。
2月：
日本相撲協会が機構改革を行い、取締制が廃止されました。理事・監事は公選制となり、評議員が選挙権を持つことになりました。この改革は、相撲協会の運営体制をより民主化するものでした。
理事選挙では、立候補者が定員と同数だったため無投票当選となりましたが、監事選挙では若松が落選しました。
時津風が指導普及部、武蔵川が指導部、春日野と宮城野が審判部の部長に就任し、審判部では弟子養成の年寄も認められることになりました。
3月：
花田が18歳という史上最年少で十両に昇進し、将来を嘱望される若手力士として注目されました。
横綱佐田の山晋松が引退し、年寄出羽海を襲名しました。義父の出羽海は武蔵川に戻りました。
5月：
5月場所から入場料が30%値上げされ、相撲興行の収益構造に変化が見られました。
6月：
蔵前国技館相撲教習所で、幕内、十両力士を対象とした立合い研修会が開催されました。これにより、力士の技術向上と安全確保が図られました。
9月：
連続3場所全休から復帰した大鵬が、9月場所で優勝を果たしました。この優勝は、大鵬の不屈の精神を象徴する出来事として語り継がれています。
大関豊山勝男が引退しました。
10月:
明治百年を記念した慈善古式大相撲が開催されました。大阪準本場所15日間では、横綱大鵬が優勝しました。
11月：
花田満（後の貴ノ花利彰）が、当時の最年少記録となる18歳8ヶ月で新入幕を果たしました。この記録は、後の若貴ブームを予感させるものでした。
大鵬が11月場所で、史上初の幕内600勝を達成しました。
12月：
理事長の時津風定次が死去し、後任に武蔵川が就任しました。時津風の死去は、相撲界にとって大きな損失でした。
立田川（元横綱鏡里）が時津風を襲名しました。

本場所の結果

一月場所（蔵前国技館）
幕内最高優勝：佐田の山晋松（13勝2敗）
殊勲賞：清國、敢闘賞：高見山
十両優勝：龍虎昇（13勝2敗）
三月場所（大阪府立体育館）
幕内最高優勝：若浪順（13勝2敗）
殊勲賞：麒麟児、敢闘賞：龍虎、技能賞：若浪
十両優勝：栃富士勝健（11勝4敗）
五月場所（蔵前国技館）
幕内最高優勝：玉乃島正夫（13勝2敗）
殊勲賞：栃東、敢闘賞：藤ノ川、技能賞：栃東
十両優勝：義ノ花成典 （13勝2敗）
七月場所（愛知県体育館）
幕内最高優勝：琴櫻傑將（13勝2敗）
殊勲賞：若二瀬、敢闘賞：陸奥嵐、技能賞：陸奥嵐
十両優勝：若見山幸司（14勝1敗）
九月場所（蔵前国技館）
幕内最高優勝：大鵬幸喜（14勝1敗）
殊勲賞：栃東、敢闘賞：高見山、技能賞：栃東
十両優勝：花田満（11勝4敗）
十一月場所（福岡スポーツセンター）
幕内最高優勝：大鵬幸喜（15戦全勝）
敢闘賞：大竜川、技能賞：二子岳
十両優勝：魁罡功（12勝3敗）

年間最優秀力士賞：玉乃島正夫（69勝21敗）

誕生した主な人物

この年には、後の相撲界を盛り上げる多くの人物が誕生しました。

1月24日 - 床幸（一等床山）
2月17日 - 舞の海秀平（元小結）
5月15日 - 琴ノ若晴將（元関脇、年寄：佐渡ヶ嶽）
5月26日 - 隆濤剛（元十両）
6月1日 - 星安出寿保世（元十両）
6月8日 - 琴錦功宗（元関脇、年寄：朝日山）
6月22日 - 幸吉（幕内呼出）
8月6日 - 木村元基（幕内格行司）
8月10日 - 照喜（幕内呼出）
8月19日 - 芳昇幸司（元十両）
8月23日 - 大至伸行（元前頭）
9月10日 - 旭豊勝照（元小結、年寄：立浪）
9月18日 - 旭豪山和泰（元前頭）
10月23日 - 若闘将敏男（元十両）
11月15日 - 12代式守勘太夫（幕内格行司）
11月25日 - 安芸の嶺良信（元十両）
12月13日 - 玄海桃太郎（元十両）
12月30日 - 剣岳寛（元十両）

物故者

この年には、相撲界に貢献した人物が亡くなりました。

8月25日 - 白龍山慶祐（元前頭）
11月21日 - 時津山仁一（元関脇、年寄：押尾川）
12月16日 - 双葉山定次（第35代横綱、第3代日本相撲協会理事長、年寄：時津風）


1968年は、相撲界にとって変革の年であり、その後の相撲の歴史を語る上で欠かせない一年となりました。多くの記録が生まれた一方で、別れもあり、激動の1年であったことが伺えます。

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