R級駆逐艦 (2代)

R級駆逐艦：第二次世界大戦を戦い抜いたイギリス海軍の駆逐艦

R級駆逐艦は、第二次世界大戦中にイギリス海軍が建造した駆逐艦の艦級です。1940年度の戦時緊急予算に基づき、8隻が建造されました。1942年から1943年にかけて順次就役し、全艦が第二次世界大戦を戦い抜きました。

戦後、3隻がインド海軍に売却されたほか、4隻は15型フリゲートに改装され、対潜戦の担い手として活躍しました。本級は、戦時中の急造艦でありながら、その後のイギリス海軍の駆逐艦やフリゲートの発展に大きな影響を与えた艦級です。

来歴

第二次世界大戦の勃発を受け、イギリス海軍は戦時緊急計画を発動し、駆逐艦の急造に着手しました。まず、1940-1年度計画で建造を予定していた中間的駆逐艦（J級に準じた設計）の建造を前倒しし、O級・P級が建造されました。

その後、戦時要求の変化や急造に適した設計への変更を図った新しい設計案が作成されました。第3次戦時緊急計画に基づき、1940年1月3日にQ級として発注され、3月27日には第4次戦時緊急計画艦も同じ設計を採用することとなり、本級が発注されました。

しかし、5月のナチス・ドイツのフランス侵攻により、イギリス本土侵攻すら懸念される状況となりました。損傷艦の修理で各造船所が忙殺されたこともあり、5月20日の会合で、1940年中に竣工できない艦の建造を棚上げすることが決定され、本級とブラックスワン級スループの一部が対象となりました。その後、バトル・オブ・ブリテンの戦況好転を受け、9月9日に建造中断は解除されました。

設計

本級の設計はQ級とほぼ同様であり、J級以来の単煙突・船首楼型という船型や、Q級で導入された燃料搭載量の増大、復原性の改善、艦尾のトランサム・スターンも踏襲されました。ただし本級では、熱帯海域での活動を考慮した艤装がなされています。

機関もQ級と同様で、アドミラルティ式3胴型水管ボイラー、パーソンズ式オール・ギヤード・タービンによる2軸推進、出力40,000馬力です。

装備

装備もQ級と同様、中間的駆逐艦（O級・P級）の構成が踏襲され、艦砲としては45口径12cm砲4基を搭載しました。射撃指揮装置はQ級と同様で、対空用には285型レーダーを備えたMk.II(W)方位盤とFKC射撃盤、対水上用には基線長3.66メートルの測距儀を備えたDCT方位盤とAFCC射撃盤が用いられました。

当初計画では、45口径10.2cm単装高角砲の搭載も予定されていましたが、急降下爆撃機への有効性が疑問視されるようになり装備されず、対空兵器として39口径40mm4連装機銃と70口径20mm機銃6基、対艦兵器として21インチ4連装魚雷発射管2基を搭載して竣工しました。後にポンポン砲や後部魚雷発射管を撤去して、56口径40mm単装機銃や70口径20mm機銃が増備されました。

本級は竣工時から早期警戒用の290型レーダーが搭載されていたほか、1944年には、一部の艦を対象に目標捕捉用の272型レーダーが搭載されました。

同型艦

本級は戦没艦がなく、戦後3隻をインドに売却しました。また、リレントレスなど4隻は1951年～53年にかけてタイプ15改造を受け、高速フリゲートに転用されました。

ラージプート級駆逐艦

戦後、インドに売却された3隻は、ラージプート級駆逐艦とも呼ばれました。第三次印パ戦争に参戦した後、1970年代後半に全艦が退役しました。その後、インド海軍が新たに導入したラージプート級駆逐艦は、ソビエト連邦海軍のカシン型駆逐艦を基に、インド海軍独自の運用要求を加味して設計された改良型です。

まとめ

R級駆逐艦は、第二次世界大戦中のイギリス海軍を支えた駆逐艦であり、その設計は後の艦艇にも影響を与えました。戦後もフリゲートへの改装やインドへの売却など、様々な形で活躍しました。本級は、イギリス海軍の歴史において、重要な役割を果たした艦級といえるでしょう。

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