多連装ロケット砲

多連装ロケット砲の概要

多連装ロケット砲（たれんそうロケットほう）は、複数のロケット弾を一度に発射できる軍事用装置です。この武器は、多連装ロケットランチャーや放射砲とも呼ばれています。英語では'multiple rocket launcher'（MRL）や'multiple launch rocket system'（MLRS）と表現されることが一般的です。個々のロケット弾の精度は通常の大砲に比べて劣りますが、多数発射することで効果的な攻撃が整えられる設計思想があります。

歴史

多連装ロケット砲の起源は古く、中国の宋時代にさかのぼります。当時は複数の火矢を発射する装置が存在し、後に朝鮮で使用された記録もあります。特に文禄・慶長の役では、同様の兵器が戦闘において効果を挙げました。

近代的な多連装ロケット砲の先駆けは、第二次世界大戦中にソ連で開発されたカチューシャです。この兵器は、軍用トラックの荷台に発射レールを設置したシンプルなデザインが特徴で、多くの国に輸出されました。

アメリカ軍ではT34カリオペが開発され、これはM4中戦車の上にロケット弾発射機を取り付けたものです。ドイツ軍も同様に、ネーベルヴェルファーを開発しました。これはコンパクトな設計で、複数のパイプ状発射機を搭載していました。

現代の多連装ロケット砲

今日、現代の多連装ロケット砲は、敵部隊に混乱を生じさせ、その士気を下げるために利用されています。また、敵が強化された防御陣地を築く負担をかけることも可能です。最新型のロケット砲は、誘導装置を搭載しており、地対地や地対艦向けの精密射撃も行えるようになっています。特にロシアは多くの種類の多連装ロケット砲を開発している国であり、これは火力支援や巡視艇への搭載例も見られます。

各国の多連装ロケット砲の例

第二次世界大戦時の例としては、ソ連のBM-13（通称カチューシャ）やドイツのネーベルヴェルファー、アメリカのT34カリオペが挙げられます。これらはそれぞれ異なる設計思想によって製造され、多くの場合、その運用は成功を収めました。

戦後においても、各国は独自の多連装ロケット砲を開発しています。例として、アメリカのM270 MLRSやM142 HIMARS、またロシアのBM-21やTOS-1が有名です。特に、ロシアのBM-21は40連装という大規模な発射機を備えていたため、世界中で広く運用されています。

日本でも67式30型[[ロケット弾発射機]]や75式130mm自走多連装[[ロケット弾発射機]]が存在し、アジア各国でも多連装ロケット砲が開発されています。台湾の「スレッジハンマー」シリーズや中国の63式107mmロケット砲も広く知られています。

多連装ロケット砲は、コスト効率の良い形で兵力を強化する手段として、紛争地域や前線での重要な役割を果たし続けています。特に構造が簡便なため、各国の軍隊で採用され、また民間の武装勢力によっても適用されています。世界各地で見られるこの多連装ロケット砲は、今後も軍事戦略の一環として重要な役割を担うことでしょう。

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