奥河内

奥河内：大阪の秘境、自然と歴史が織りなす魅力

奥河内は、大阪府南東部に位置する金剛山地・和泉山脈一帯の観光名称です。一般的には河内長野市南部と千早赤阪村全域の山麓部を中心としたエリアを指し、広義には富田林市と和泉市の一部も含まれます。近年、大阪都市圏からのアクセスの良さから、日帰り観光地として注目を集めています。

奥河内の概要

奥河内は、大阪府内最高峰の金剛山や、ススキの茅場が広がる岩湧山を中心に、登山やハイキングが盛んです。また、光滝や荒滝など、数多くの滝を有する滝畑四十八滝も有名です。歴史的な一面もあり、世界遺産高野山まで続く高野街道の宿場町・三日市や、奈良時代の創建と伝えられる観心寺や天野山金剛寺など、南朝や楠木氏ゆかりの地も点在しています。

河内長野市域には、行基や空海の伝承が残る場所が多く、長野温泉や天見温泉といった天然温泉も湧出しており、温泉地としても栄えました。奥河内という名称は近年に普及したもので、行政区分では南河内にあたります。しかし、同じ南河内でも、河内長野市北部の平野部や丘陵部とは異なり、奥河内は金剛山や岩湧山などの豊かな自然が特徴です。観光地として名高い奥日光や奥多摩に倣い、この地域を代表する観光名称として「奥」を冠した地名が採用されました。

全国の市町村で12番目の文化財数を誇る河内長野市内の名所旧跡にも注目が集まり、長野、千早・赤坂、天野、滝畑、天見といった地名を総括する観光名称として「奥河内」が用いられるようになりました。豊かな自然と数々の歴史的見どころがあるにもかかわらず、観光地として発展してこなかった経緯から、これまで広く知られていませんでしたが、近年、自治体の宣伝や大阪都市圏からのアクセスの良さから、日帰り観光地として再評価されています。

奥河内の歴史

奥河内地域の歴史は古く、旧石器時代の三日市遺跡や高向遺跡からは、国府型ナイフ形石器などが出土しています。観心寺と天野山金剛寺は、正確な創建年代は不明ながら奈良時代の草創を伝え、平安時代にはその存在が確認されています。平安時代には、内大臣藤原忠雅・忠親が長野を通って高野山へ参詣したという記述があり、当時から高野街道が存在していたことがわかります。

鎌倉時代には、楠正成が楠木七城（千早城、上赤坂城、下赤坂城など）を築き、元弘の乱の際には千早城の戦い（100日戦争）の舞台となりました。その後、4ルートある高野街道が奥河内にて合流することから、高野参詣道の宿場町、温泉地として栄えました。1898年に高野鉄道により長野駅（現在の河内長野駅）が開業されると、多くの旅館が石川沿いに建ち並び、長野遊園地（現在の長野公園）が開業しました。

しかし、1929年に高野山電気鉄道（現在の南海電気鉄道）が極楽橋駅まで延伸し高野山まで全通すると、次第に観光地としての賑わいが失われていきました。戦後、奥河内の北部では大阪中心部から30分と近いことから数々のニュータウンが各地で開発され、公共施設や市街地が整備され、地方都市として発展しました。その影響で、特に河内長野市中心部では観光地としての機能が損なわれようになったため、1990年代から市を挙げて駅周辺の再整備や高野街道など歴史的景観の保存、豊かな自然環境の景観保全に取り掛かり、観光地としての復興活動が行われました。

現在では、観光案内所がある河内長野駅を中心に各観光名所への路線バスが運行されているほか、案内板の整備などにより、アクセスは以前より比較的容易になっています。

主な観光地・景勝地

奥河内の観光地は、大きく分けて「自然の景観」と「歴史の景観」の2つに区分できます。

自然の景観

滝畑四十八滝: 光滝、荒滝、御光滝など、滝畑ダム上流にある数々の滝の総称。秘境として知られています。
滝畑ダム: 大阪府内最大規模のダム。遊歩道やキャンプ場が整備され、行楽地となっています。
金剛山: 大阪府内最高峰。冬季には樹氷が見られ、登山客に人気です。
岩湧山: ススキが一面に広がる山頂からの眺めは絶景。ハイキングの名所となっています。
槇尾山: ハイキングコースが整備されています。
長野公園: 桜、アジサイ、紅葉など、四季折々の花が楽しめる公園。

歴史の景観

高野街道: 高野山への参詣道として栄えた道。宿場町の面影を残す街並みが魅力です。
烏帽子形城址: 楠木正成の城と伝えられる城跡。遊歩道や展望台が整備されています。
天見温泉: 建築家・辰野金吾が設計した温泉旅館「南天苑」があります。
長野温泉: 昭和初期に温泉地として発展した場所。
観心寺: 空海が北斗七星に祈願したという言い伝えが残る寺。国宝の金堂や如意輪観音坐像があります。
天野山金剛寺: 楠木正成ゆかりの寺。国宝の『延喜式』写本など貴重な文化財を所蔵しています。
延命寺: 樹齢約1000年の「夕照もみじ」と呼ばれる楓がある寺。
千早城址: 楠木正成が築いた城。難攻不落の城として知られています。
下赤坂城址: 楠木正成の城跡。美しい棚田の風景が広がります。
楠木七城: 楠木正成ゆかりの7つの城。

その他

関西サイクルスポーツセンター: 自転車をテーマにした遊園地。
花の文化園・奥河内くろまろの郷: 様々な種類の花を鑑賞できる植物園と、地元の特産品を販売する道の駅。
* 寺ヶ池公園: 噴水や広場、野球場、プールなどがある総合公園。

交通アクセス

奥河内への玄関口は[河内長野駅]]です。南海高野線または近鉄長野線を利用し、大阪市内から約30～40分でアクセスできます。関西国際空港からはリムジンバスも運行されています。車の場合は、大阪外環状線]や[[国道309号を利用します。河内長野駅からは各観光名所への路線バスが運行されています。

奥河内は、豊かな自然と歴史的な景観が調和した魅力的なエリアです。大阪都市圏からのアクセスも良く、日帰り旅行にも最適です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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