山本氏

紀伊山本氏について

紀伊山本氏（やまもとし）は、日本の歴史に名を残す氏族で、紀伊国の国人として知られています。この氏族は、紀伊牟婁郡の富田川流域および日高郡の一部を治め、龍松山城を本拠地としました。彼らは、清和源氏の流れを汲む山本義定の子孫を名乗っており、熊野別当の支流とも関連しているとされていますが、その真偽は不確かです。

歴史的背景

紀伊山本氏は元弘3年（1333年）、鎌倉幕府を倒すために護良親王と共に上洛した山本忠行の活躍から始まります。この戦いによって、彼は勲功を認められ、櫟原（いちはら）荘の地頭に任命されました。その後も南朝側として北朝の国人と戦い続けましたが、次第に室町幕府の奉公衆として四番衆に組み入れられることになります。

記録によれば、『花営三代記』の応永32年（1425年）には山本中務丞が足利義持の奉行人として登場し、また「文安年中御番帳」や「永享以来御番帳」には山本（山下）中務少輔の名前も確認されます。山本下総守は長禄4年（1460年）に「不申御暇、知行分紀州下国」とし、これにより櫟原荘の所領を没収されました。

山本氏の力の拡大

山本氏は奉公衆として勢力を拡大し、その後3万石を有するに至りました。彼らは新宮城の堀内氏が台頭するまでの間、紀南地方において最大の影響力を誇る存在となります。応仁の乱の発端となる畠山氏の内部争いでは畠山義就側に立ち、敵対する畠山政長方から攻撃を受けることになります。

明応の政変後、山本氏は特に重要な役割を果たします。明応4年（1495年）3月、畠山基家の指揮の下、越智氏と共に紀伊に出陣し、愛洲氏と共に田辺を占拠しますが、6月に畠山尚順によって奪還されました。

戦国時代と衰退

戦国時代に入ると、山本氏は湯川氏の配下に組み込まれ、湯川衆として様々な戦いに参加しました。特に、木沢長政の乱や久米田の戦い、また教興寺の戦いではその名を馳せます。しかし、小牧・長久手の戦いでは、徳川家康に味方したため羽柴秀吉から紀州征伐を受ける運命にあります。山本氏は湯川衆の頭目である湯川直春を迎え入れ、龍松山城で籠城戦を展開しましたが、結局天正14年（1586年）に和睦の席で最後の当主・山本康忠が堕ちて滅亡しました。

系譜と伝承

紀伊山本氏の系譜は、武士の礼儀や戦いの精神を色濃く映し出しています。地域の歴史に深く根ざし、多くの歴史的事件に関与したこの氏族は、今もなお研究の対象となっている重要な歴史的存在です。彼らの歴史は、地域社会を形成する要素の一つとして、多くの物語を語り残しています。

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