張翼

張翼（ちょうよく）

張翼（ちょう よく、生没年不詳）は、中国後漢末期から三国時代の蜀漢にかけて活躍した武将です。字は伯恭（はくきょう）。益州犍為郡武陽県（現在の四川省眉山市彭山区）の出身で、前漢の張良の末裔とされています。

生涯

劉備の時代

劉備が益州を平定した際、張翼は書佐として取り立てられました。その後、孝廉に推挙され、江陽県長、涪陵県令、梓潼太守、広漢太守、蜀郡太守といった地方官を歴任し、その行政手腕を発揮しました。

漢中攻めの際、張翼は趙雲の指揮下で曹操軍を打ち破るという功績を挙げました。

諸葛亮の時代

諸葛亮が丞相となると、張翼は庲降都督・綏南中郎将として南中方面の鎮守を任されました。しかし、厳格な性格が災いし、異民族の反発を招いてしまいます。233年、異民族の劉冑が反乱を起こすと、中央に召喚されることとなりました。しかし、後任の馬忠が赴任するまでの間、張翼は兵糧の準備など軍備を充実させ、馬忠による反乱鎮圧を助けました。この功績により、諸葛亮からの信頼を得ることとなります。

諸葛亮の北伐では、前軍都督として従軍し、扶風太守も兼任しました。

姜維の時代

諸葛亮の死後、張翼は前領軍となり、劉冑討伐の功績が評価されて関内侯に封じられました。その後も順調に昇進し、尚書、督建威、仮節、都亭侯、征西大将軍といった要職を歴任しました。

姜維が北伐を計画すると、張翼はこれに強く反対しましたが、容れられませんでした。北伐に従軍した張翼は、洮水で王経軍を大破するものの、それ以上の戦闘継続に反対し、撤退を主張しました。このことがきっかけで、姜維は張翼を内心不快に思うようになり、北伐の際は常に従軍を命じました。

蜀漢の滅亡

263年、魏が蜀漢に侵攻すると、張翼は廖化、董厥と共に鍾会軍を迎撃するため陽安関へ向かいましたが、蔣舒の裏切りにより陽安関は陥落してしまいました。その後、陰平から敗走してきた姜維と共に剣閣に籠り、鍾会軍を防ぎました。しかし、鄧艾軍が成都を陥落させたため、張翼は姜維と共に鍾会に降伏し、成都へ戻りました。

264年、姜維と鍾会は鄧艾を陥れた上で魏に対して反乱を計画しましたが、胡烈らの反撃に遭い、鎮圧されました。張翼もこの反乱に巻き込まれて殺害されました。

子の張微は西晋の広漢太守となりましたが、李特の反乱によって殺害されました。

陳寿は、張翼が姜維の北伐に反対したことを評価しています。

三国志演義

小説『三国志演義』では、張翼は劉璋配下の武将として登場します。劉備が入蜀を開始すると、雒城の救援部隊として派遣されますが、降伏します。その後は劉備・劉禅に仕え、諸葛亮に従い南征や北伐に参加します。諸葛亮の死後も主力武将として転戦しますが、姜維と不仲になったという描写はありません。蜀滅亡後の混乱で死去した人物の1人として名前が挙げられるのみです。

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