汐川干潟

汐川干潟（しおかわひがた）

汐川干潟は、愛知県豊橋市と田原市の境に広がる三河湾に位置する大規模な自然干潟です。この地区は中部地方最多の干潟面積を誇り、日本における重要な渡り鳥の生息地としても知られています。

概要

汐川干潟は、三河湾の南東端に広がる渥美半島の付け根にあり、砂泥が混ざった自然干潟です。かつては2,000ヘクタールもの広さがあり、漁業も盛んでしたが、周辺地域の埋立開発により、現在ではその面積は約280ヘクタールにまで減少しています。1975年に設立された「汐川干潟を守る会」による保護活動が功を奏し、干潟の全面埋立計画は見直され、現在も多くの自然が残されています。

汐川干潟は、南西から流れ込む汐川の河口近くに位置し、田原市の東部から豊橋市の杉山地区にかけて広がっています。また、周辺にはうなぎの養殖場や、干潟に架かる三河港大橋が位置しています。

歴史

江戸時代には、豊富な魚介類、とりわけ串アサリが名物として知られていました。戦時中、豊橋海軍航空隊の基地が建設されるなど、干潟の利用が進む一方で、1960年代からは愛知県による豊橋港の造成が開始されました。これに伴い、一部の干潟が埋め立てられ、1972年には臨海工業地帯が整備されましたが、汐川干潟を守る動きが功を奏し、280ヘクタールが保護されています。2001年には、環境省により日本の重要湿地500の一部に選定されています。

環境

毛利海の平均満潮位は約2.3メートルで、満潮時にはほぼ全域が海に覆われ、干潮になると広大な干潟が姿を現します。地域には釣りや潮干狩りを楽しむため、多くの訪問者が集まります。

2000年には、豊橋市と田原市の連携により、環境保全を目的とした「汐川干潟保全検討会議」が設立され、地域住民とともに干潟の保護活動が進められています。また、干潟は銃猟禁止区域としても指定されています。

生息動植物

汐川干潟では多様な鳥類が観察されています。1993年までに246種の野鳥が確認されており、春や秋には多くの渡り鳥が立ち寄ります。特に「ダイゼンの越冬群」や「ハマシギの越冬群」は愛知県のレッドリストに登録されています。中でも多く visible species (留鳥) には、アオサギやカルガモ、コサギなどが存在します。

底生動物も多岐に渡り、河川周辺では108種もの生物が確認されています。特に貝類が豊富ですが、アゲマキが絶滅したことが報告されています。一方、オカミミガイは愛知県では汐川干潟のみで現存しており、絶滅危惧種とされています。

植物の多様性

汐川干潟にはシバナ、ウラギク、ハマボウなど、塩濃度に適応した植物が生育しています。かつてアマモが生育していたこともありますが、その後1970年までに絶滅したとされていました。2010年には干潟内で僅かに確認されたものの、植物の生態系の変化についても注視が必要です。

交通アクセス・周辺地域

汐川干潟へは道路が整備されており、訪問者が観察を楽しめるように散策路があります。近隣には豊橋鉄道渥美線が通っており、最寄り駅の三河田原駅からもアクセスが便利です。周辺の公園や自然観察地も整い、地域住民や観光客にとっては貴重な自然体験の場となっています。緑が浜公園や中央公園など、周辺の整備も進められており、種々のレクリエーションも可能です。

汐川干潟はその地理的特徴や生態系から、豊かな自然を保つための重要なエリア。今後もその保護活動が続けられることが期待されています。

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