王氏

王氏（おうし、わんし）

王氏は、東アジアを中心に広く分布する氏族であり、その起源は古代中国に遡ります。中国では最も一般的な姓の一つであり、歴史を通じて多くの著名人を輩出してきました。また、朝鮮半島や日本、ベトナムなどにも王氏が存在し、各地域で独自の歴史と文化を形成しています。

中国の王氏

中国における王氏は、現代においても最も多い姓の一つです。2020年の国勢調査では、1億人を超える人々が王姓を名乗っており、特に中国北部では人口の10％以上を占める地域もあります。一方で、台湾では6番目に多い姓となっています。

起源

王氏の起源は複数存在しますが、主なものとして以下の3つが挙げられます。

姫姓王氏: 東周の霊王の太子である姫晋を始祖とする系統です。姫晋の子孫が「王家」と呼ばれたことが氏の由来とされています。この系統が最も著名であり、琅邪王氏や太原王氏などが含まれます。
子姓王氏: 殷の王族の一門に由来する系統です。汲郡の王氏は、比干の末裔であるとされています。
嬀姓王氏: 舜の子孫に由来する系統です。北海王氏や陳留王氏がこの系統に属するとされています。

その他にも、魏晋南北朝時代以降に漢化した異民族が王氏を名乗った例も存在します。

琅邪王氏

琅邪王氏は、秦の将軍である王離の子孫である王吉を祖とする氏族です。太原王氏とは同族であると伝えられています。琅邪王氏は、東晋時代に政治や文化の中枢で活躍し、多くの著名人を輩出しました。書家として有名な王羲之も、この琅邪王氏の出身です。

朝鮮における王氏

朝鮮半島における王氏は、高麗の国姓として知られています。高麗を建国した王建は、王氏を名乗り、その一族が王族として栄えました。しかし、高麗滅亡後、李氏朝鮮の建国者である李成桂によって王族が粛清されたため、王氏は一時的に衰退しました。現在では、少数の王氏が韓国に存在しています。

歴史

高麗時代には、王氏が王族として権勢を誇りましたが、李氏朝鮮時代に入ると、旧高麗王族への弾圧が行われました。生き残った王氏は姓を変え、歴史から姿を消したと伝えられています。

日本における王氏

日本における王氏は、皇族の一種である諸王を指します。令制では、天皇の孫から玄孫までの皇族が王氏として扱われました。しかし、時代とともに臣籍降下する者が増え、王氏の数は減少しました。

沖縄県の王氏

沖縄県には、琉球王国時代に移住した華僑に由来する王氏が存在します。これらの王氏は、中国式の姓（唐名）と日本式の名字（大和名）を併用しており、現在でもその子孫が暮らしています。

ベトナムにおける王氏

ベトナムにおける王氏（ヴオン）は、一般的な姓の一つです。著名な人物としては、ベトナムの政治家であるヴオン・ディン・フエが挙げられます。

著名な人物

王氏の著名な人物は、多岐にわたります。以下に主な人物を挙げます。

王莽: 新を建国した人物。
王羲之: 東晋の書家。書聖と称される。
王導: 東晋の政治家。王羲之の叔父。
王建: 高麗の初代国王。
王仁: 百済から日本に渡来した学者。

まとめ

王氏は、東アジア各地で歴史を刻んできた氏族であり、その起源は古代中国に遡ります。中国では最も多い姓の一つであり、歴史的に多くの著名人を輩出してきました。朝鮮半島や日本、ベトナムなどにも王氏が存在し、各地域で独自の歴史と文化を形成しています。王氏の歴史を紐解くことは、東アジアの歴史と文化を理解する上で重要な意味を持つと言えるでしょう。

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