矢部

矢部：弓矢を表す漢字の部首

漢字を部首によって分類するとき、「矢部」は重要なグループの一つです。康熙字典という中国の伝統的な辞書では、214ある部首の中で111番目に位置付けられています。これは、5画の部首の中では17番目、午集（午に関連する部首を集めたグループ）の中では17番目に当たります。

「矢」という字は、弓や弩（クロスボウ）に用いる矢を表しています。その形は、鏃（矢の先端）、箆（矢の柄）、羽根を組み合わせたもので、直線的で鋭い形状が特徴です。

「矢」とよく似た字に「箭」がありますが、これらは明確に区別されていました。「矢」は木製の矢を、「箭」は竹製の矢を指していたとされています。現代中国語では、「箭」が主に用いられるようになっています。

「矢部」に属する漢字は、矢そのものを表すものだけでなく、矢に関連する意味を持つ漢字も含まれます。例えば、矢が長さの尺度として用いられていた歴史的背景から、長さや直線的な方向といった概念に関連する漢字も含まれるのです。

この部首は、漢字文化圏である日本、中国、韓国で広く認識されており、それぞれの言語で異なる名称が用いられています。

日本：や部（やへん）
中国：矢字旁
韓国：화살시부（hwasal si bu、直訳すると「矢の矢部」）
英語圏：Radical arrow

部首字は「矢」です。その発音や表記は時代や地域によって変化します。

中古音（古代中国の発音）
広韻：式視切、旨韻、上声
詩韻：紙韻、上声
三十六字母：審母三等
現代音
普通話：ピンイン shǐ、注音 ㄕˇ、ウェード式 shih3
広東語：Jyutping ci2、イェール式 chi2
日本語：音読み シ（漢音・呉音）、訓読み や
朝鮮語：音読み si、訓読み hwasal（矢）

「矢部」に属する漢字には、様々な種類があり、画数によって多様な字形が存在します。例として、以下の漢字を挙げることができます。

矢（2画）
矣（2画）
知（3画）
矩（5画）
短（7画）
矮（8画）
䂕（9画）
矯（12画）
矲（15画）
* 𥐓（18画）

これらの漢字は、それぞれ異なる意味を持ちますが、「矢」という部首を共有することで、互いに関連性を持つものとなっています。このように、「矢部」は、漢字の成り立ちや意味を理解する上で重要な役割を果たす部首なのです。

もう一度検索