イエメンの文化

イエメンの文化

イエメンは、アラビア半島の南西端に位置し、古くからイスラム教の影響を受けながらも、周辺地域とは異なる独自の文化を育んできました。その多様な側面を以下に紹介します。

音楽

イエメンの音楽界は、アラブ世界に多くの著名な音楽家を輩出してきました。特に、20世紀には多くイエメン系ユダヤ人がイスラエルのミュージカル界で活躍しました。アラブ世界において、イエメンは長らく文化の中心地として重要な役割を担ってきました。また、イエメンの国歌はアブドッラー・アブドゥルワッハーブ・ノウマーン作詞の「連合共和国」です。

宗教

イエメンの宗教は、イスラム教が中心で、スンナ派とシーア派の二大勢力が存在します。ムスリム人口の約52%がスンナ派、46%がシーア派です。スンナ派内ではシャーフィイー学派が多数を占めますが、マーリク学派やハンバル学派も存在します。シーア派ではザイド派が多数派であり、他に十二イマーム派やイスマーイール派もいます。

スンナ派は主に南部や南東部に、ザイド派は北部や北西部に多く分布しています。十二イマーム派やイスマーイール派の支持者は、サナアやマアリブといった中心地域に集中しています。大都市では様々な宗派のコミュニティが見られます。

イエメンには1%以下の非ムスリムも存在し、ヒンドゥー教、キリスト教、ユダヤ教、無神論者がいます。キリスト教信者は約3,000人、ユダヤ教信者は約400人おり、ヒンドゥー教の信者が最も少ないです。憲法上、信教の自由は保証されていませんが、国家政策においては黙認されています。

料理

イエメン料理は、中東の他の地域とは異なり、地域ごとの特色が見られます。オスマン帝国時代の影響を色濃く残しており、鶏肉や羊肉が牛肉よりも頻繁に食卓に上ります。魚介類も沿岸部を中心に重要な食材です。

乳製品はあまり一般的ではありませんが、バターミルクは放牧が盛んな地域で日常的に利用されています。植物油やギーが主に使われ、特に「セムン」と呼ばれる澄ましバターはペイストリーによく使われます。

国民食とも言える「サルタ」は、トルコ起源の肉シチュー「マラク」に、フェヌグリークペースト、サルサソース「サハーウィク」を加え、米、イモ、卵、野菜などを加えたものです。薄焼きパン「マルージュ」と共に手で食べます。

また、「シャクシューカ」も人気があり、卵、肉、トマト、ピーマン、玉ねぎ、スパイスを使い、薄焼きパンや白パンと一緒に食べます。

その他、アシード、ファフサ、サリード、サマク・モファ、マンディー、ビリヤニ、ファッターフ、シャフート、ファトゥートといった料理も人気があります。

飲み物としては、ミルクティー（カート使用後）、カルダモンやクローブ入りの紅茶、コーヒー豆の殻を絞ったキシュル、コーヒー、ハイビスカスティーのカルカディン、レーズン入り冷たい飲み物のナケー・アル・ザービブ、ネクターのディブアなどが人気です。マンゴーやグァバジュースもよく飲まれます。

主食としては、薄焼きパンのマルージュやラホーハが代表的で、マルージュはフール・ミダミスのような豆料理と一緒に、ラホーハはカレーやシチュー、スープなどと一緒に食べられます。

スポーツ

イエメンは、山岳地帯が多く、アウトドアスポーツに適した環境です。サイクリング、ロッククライミング、ハイキング、スキー、登山などが盛んに行われています。特にサラワート山脈やナビー・シュアイブ山への登山・ハイキングツアーは人気があります。アデン湾やソコトラ島では、サーフィン、ボディボード、セーリング、水泳、スキューバダイビングなどのウォータースポーツも楽しめます。ソコトラ島は、世界有数のサーフィンスポットとして知られています。

球技では、サッカーが最も人気があります。

サッカー

イエメンでは、サッカーが最も人気のあるスポーツです。1990年にイエメンリーグが創設されましたが、内戦の影響で2014-15シーズン以降は中断しています。最多優勝クラブはアル・アハリ・サナアです。

イエメン代表は、FIFAワールドカップには未出場ですが、2019年にはAFCアジアカップに初出場を果たしました。

教育

イエメンの教育制度は、小学校6年間、中学校3年間、高校3年間、大学4年間の6・3・3・4制です。

世界遺産

ユネスコは2003年11月7日に、サナアの「アル・ギーナ・アル・サヌアーニー」と呼ばれる詩歌の伝統を、人類の口承及び無形遺産の傑作に登録しました。

脚注

関連項目

イエメンの歴史
イエメンの地理
イエメンの人口

外部リンク

在日イエメン大使館公式サイト
* 在イエメン日本国大使館公式サイト

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