ウルグアイの歴史

この項目では、ウルグアイ東方共和国の歴史について記述します。

概要

先コロンブス期、現在のウルグアイには狩猟民族のチャルーア人と農耕民族のグアラニー人が居住していました。1516年、スペイン人のフアン・ディアス・デ・ソリスがこの地に到達しましたが、先住民との争いにより命を落としました。その後、ポルトガルとスペインによる領土争いが激化し、1680年にはポルトガルがコロニア・ド・サクラメントを建設、1726年にはスペインがモンテビデオを建設しました。19世紀に入ると、ラテンアメリカ諸国の独立運動が活発になり、ウルグアイでもホセ・ヘルバシオ・アルティーガスが指導する独立運動が起こりました。しかし、アルティーガスが敗北した後、ウルグアイは1828年にイギリスの調停により独立を達成しました。

独立後も、親アルゼンチン派のブランコ党と親ブラジル派のコロラド党の内乱が続きました。また、ウルグアイの内乱はパラグアイの三国同盟戦争の一因ともなりました。20世紀初頭には、ホセ・バッジェ・イ・オルドーニェス大統領の大改革により安定した統治が確立され、「南アメリカのスイス」と呼ばれるほどの民主主義国家となりました。しかし、1955年以降、経済が行き詰まり、1973年には軍事クーデターが起こり、民主体制は崩壊しました。軍事政権はネオリベラリズム政策を推進しましたが、国民の反発を買い、1985年に民政移管が実現しました。民政移管後は、二大政党制が長く続きましたが、2005年には中道左派の拡大戦線が政権を握り、二大政党制に終止符を打ちました。

先コロンブス期（先史時代-16世紀）

ヨーロッパ人が到達する以前、現在のウルグアイに相当する地域には、アンデス山脈のインカ帝国の影響は及ばず、チャルーア人やグアラニー人といった部族が暮らしていました。チャルーア人は狩猟や採集によって生活し、グアラニー人は原始的な農耕を行っていました。彼らが描いた壁画は、現在もチャマンガに残っています。

スペイン植民地時代（1516年-1811年）

1492年にクリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を「発見」すると、多くのヨーロッパ人がこの地を訪れるようになりました。1516年には、スペインの探検家フアン・ディアス・デ・ソリスがラ・プラタ川河口に到達しましたが、先住民に殺害されてしまいました。その後、1519年にはフェルディナンド・マゼランの船団が、1526年にはセバスティアーノ・ガボートの探検隊がこの地を訪れました。ヨーロッパ人の到来以降、この地の住民はインディオと呼ばれるようになりました。

ウルグアイは平坦な丘陵地帯で鉱物資源に乏しく、チャルーア人のような強力なインディオが支配していたため、スペインによる植民は遅れました。しかし、1574年にはスペイン人初の入植地であるサン・サルバドルが建設されました。1603年にはスペイン人が牛を放牧し始め、この地には野生の牛や馬が爆発的に増殖しました。やがて、これらの家畜をめぐり、スペインとポルトガルの争いが始まり、バンダ・オリエンタル（ウルグアイ川東岸地帯）は両国の係争地帯となりました。1624年には、スペインのイエズス会伝道団によって、最初の村落ヴィジャ・ソリアーノが建設されました。

南米におけるスペインとポルトガルの抗争は、1629年にポルトガル人がグアラニー系インディオを奴隷として連行したことから激化しました。1680年には、ポルトガルがトルデシリャス条約を無視して、密貿易のためにコロニア・ド・サクラメントを建設しました。1726年には、スペインがポルトガルに対抗するために、モンテビデオを建設しました。1777年には、バンダ・オリエンタルがスペイン領に確定しました。このスペインとポルトガルの係争の間に入植したスペイン人は、クリオーリョと呼ばれる土着化しました。また、家内奴隷としてアフリカから少数の黒人が連れてこられました。家畜を追って生活するガウーチョと呼ばれる人々も登場し、彼らによる独自の文化が栄えました。

1776年には、ボルボン改革によって、リオ・デ・ラ・プラタ副王領が成立し、モンテビデオはブエノスアイレスに次ぐ副王領内で第二の港として成長しました。18世紀後半になると、ブエノスアイレスのクリオーリョ達は自由貿易を求めるようになりました。

1808年にナポレオンがスペイン王を追放すると、インディアス植民地は偽王への忠誠を拒否しました。1810年5月には、ブエノスアイレスで五月革命が起こり、クリオーリョが権力を掌握しましたが、バンダ・オリエンタルはこの措置を認めませんでした。

独立戦争（1811年-1828年）

ブエノスアイレスから追放された副王は、モンテビデオに移転し、ブエノスアイレス政府に対して宣戦布告しました。1811年には、ホセ・ヘルバシオ・アルティーガスが民兵を率いて蜂起し、独立運動が始まりました。アルティーガスはモンテビデオを包囲しましたが、ブエノスアイレス政府が副王と休戦すると、ウルグアイとブエノスアイレスの間に対立が生じました。

1814年にはブエノスアイレス軍がモンテビデオを攻略しましたが、アルティーガスは東方州を拠点に、コルドバ州などと共に連邦同盟を創設し、1815年にはモンテビデオをブエノスアイレス軍から攻略し、スペインからの独立を宣言しました。アルティーガスは農地改革を行い、不在地主の土地を没収し、インディオや貧しい愛国者に分配しました。しかし、アルティーガス派とブエノスアイレスの対立は激化し、1816年にはポルトガル軍がブラジルから侵攻しました。アルティーガス軍はポルトガル軍とブエノスアイレス軍の両方を敵に回して戦いましたが、1820年に敗北し、アルティーガスはパラグアイに亡命しました。

1821年、東方州はシスプラチナ州としてポルトガル・ブラジル連合王国の一部となりました。1825年には、33人の東方人がブラジル帝国に対してゲリラ戦を展開し、東方州の独立とリオ・デ・ラ・プラタ連合州との合併を宣言しました。ブラジル皇帝はこれに激怒し、シスプラティーナ戦争が勃発しました。戦争は1827年にアルゼンチンが勝利しましたが、1828年にはイギリスの仲介により、バンダ・オリエンタルはウルグアイ東方共和国として独立を達成しました。

大戦争と三国同盟戦争（1828年-1870年）

ウルグアイは人口74,000人の緩衝国家として独立しました。1830年には憲法が制定され、初代大統領にはフルクトゥオソ・リベラが選出されました。ウルグアイでは、1831年にサルシプエデス川の虐殺で、ウルグアイ政府軍がチャルーア族を騙し討ちにし、民族としてのチャルーア族は絶滅しました。

1836年には、マヌエル・オリベが率いる親アルゼンチン派のブランコ党と、リベラが率いる親ブラジル派のコロラド党が結成され、内戦が始まりました。1839年には、アルゼンチンのロサスが連邦派の立場からオリベ政権を支援したため、リベラ政権はアルゼンチン連合に宣戦布告し、大戦争が勃発しました。戦争は1851年に自由主義者が勝利する形で終結しましたが、ウルグアイはブラジルに多大な借りを負いました。また、三国同盟戦争においては、パラグアイのロペス大統領がブラジルやアルゼンチンに宣戦布告し、結果的にパラグアイは滅亡することになりました。

近代化と軍政（1870年-1903年）

三国同盟戦争後、ウルグアイへの内政干渉が和らぎましたが、コロラド党とブランコ党の内戦はしばしば発生しました。1875年から1890年まで軍部が政権を樹立しました。1880年代から、多くの移民がヨーロッパから渡来し、畜産業と鉄道網の拡大により経済は発展しました。19世紀後半には国家の世俗化が進み、結婚が国家の管轄となりました。

南米のスイス（1903年-1955年）

1903年にホセ・バッジェ・イ・オルドーニェスが大統領に就任すると、スイスをモデルとした改革が進められました。バッジェは8時間労働法を制定し、電気や郵便事業を国有化し、教育を整備し、社会保障を拡充しました。また、大統領権限を弱めた複数行政制を導入し、ウルグアイは「南米のスイス」と呼ばれるようになりました。1930年には、ウルグアイ代表が第一回FIFAワールドカップで優勝しました。しかし、1929年の世界恐慌により、ウルグアイ経済は大打撃を受けました。

1933年にはガブリエル・テラ大統領がクーデターを起こし、独裁を開始しました。テラはファシズム的な政策を推進しましたが、1938年の選挙で敗北し、辞任しました。その後、アルフレド・バルドミール大統領が親ファシズム外交を改め、民主化に努めました。第二次世界大戦中、ウルグアイは親連合国姿勢を貫きました。戦後、ルイス・バッジェ・ベレス大統領の下で急速な工業化が進み、福祉国家の実現が図られました。1951年には、大統領制を廃止し、国民執政委員会による行政が行われることになりました。

衰退と社会不安の時代（1955年-1973年）

1955年以降、ウルグアイの主要輸出品である農牧産品の需要が低下し、経済が行き詰まりました。1962年には、ゲリラ組織トゥパマロスが結成され、都市ゲリラ戦を展開しました。1972年、ウルグアイ議会は内戦状態を宣言し、軍と警察がトゥパマロスを弾圧しました。同年にはセンディックら幹部が逮捕され、トゥパマロスは壊滅しました。

軍事政権時代（1973年-1985年）

1973年、軍部のクーデターにより、軍事政権が成立しました。軍事政権は新自由主義的な政策を推進しましたが、国民の反発を買い、約50万人のウルグアイ人が国外に移住しました。1981年には、軍の政治介入を合法化する憲法改正が国民投票で否決され、1985年に民政移管が実現しました。

民政移管以降（1985年-）

1985年、フリオ・マリア・サンギネッティが大統領に就任し、民政移管が完了しました。民政移管後は、軍事政権下での人権侵害やテロ活動を行った組織員の恩赦が問題となりましたが、1988年に恩赦は国民投票で承認されました。1991年には、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイと共にメルコスールを設立しました。2005年には、拡大戦線のタバレ・バスケスが大統領に就任し、二大政党制に終止符を打ちました。

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