グラーム

グラームについて

グラーム（アラビア語: غُلاَم‎ ghulām）は、天国に住む若者やオスマン帝国、ムガル帝国、さらにはペルシア帝国における奴隷兵を指す言葉です。この用語は、宗教的な文脈や歴史的背景が深く関わっており、その存在は単なる兵士以上の意味を持っています。

イスラーム神学におけるグラーム

グラームはコーランにおいて、正しいムスリムに仕え、天国でフーリー（天国の女性）とともに働く青年とされています。コーランには、グラームの報酬が繰り返し描かれており、彼らは特別な存在とされたことが理解できます。

歴史的背景

グラームの仕組みは、アッバース朝のムウタスィム（在位833–842年）において確立され、彼は特に彼らを重用しました。征服地から連れ去られた戦争捕虜や、中央アジア出身のトゥルク系民族やコーカサス人が多く含まれ、彼らは彼に忠誠を誓う親衛隊として機能しました。しかし、彼らの急速な力の増大はアラブ人の反発を招き、836年にはバグダードで反乱が発生しました。この反乱によりムウタスィムは首都をサーマッラーに移さざるを得なくなりました。

グラームはその後も影響力を増し、特に860年代には何度も反乱を起こし、4人のカリフを暗殺するなど、その存在感を示しました。アッバース朝が衰退するにつれて、グラームたちは軍隊の中核となり、彼らのトゥルク系のバックグラウンドを生かし騎兵として活躍しました。

グラームの生涯

彼らは主人の費用で訓練を受け、教育され、時には忠誠の証として自由を得ることもありました。多くのグラームが家庭を持たず、朝廷の中で独立した王朝を樹立することには失敗していましたが、一部は成功例も見られ、特にアフガニスタンにあったサーマーン朝から生まれたガズナ朝がその一例です。

オスマン朝、サファヴィー朝ペルシアなどでもグラームは重要な役割を果たし、通常はトゥルク系であり、集団戦術を駆使し高額な報酬を要求しました。サファヴィー朝のアッバース1世はトゥルク系のエリートグラームを排除し、より忠実なグルジア人やアルメニア人のグラーム部隊を編成しました。この影響下で、彼らの中には高位に昇進する者も現れました。

文化的影響

グラームは、ペルシア文学において同性愛の文化や社会的つながりに強い影響を与えており、彼らの人間関係は文献にしばしば登場します。具体例として、グラームのFatikは短期間ファーティマ朝のアレッポを占有した後に恋人に命を奪われるエピソードや、ブワイフ朝の王子がグラームに恋し、政権を失った事件などがあります。

関連項目

グラームに関しては、イェニチェリやマムルーク、さらにはアフガニスタンのバッチャ・バーズィー、オスマン時代の単なるダンサーであるコジェックなどが関与し、歴史的な交錯が見られます。彼らの存在は、文化、政治、軍事の各面で重要な位置を占めていました。

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