スタン・スタージャック

スタン・スタージャック：カナダが生んだレジェンドレスラー

スタン・スタージャック（本名：ジョージ・スティピッチ、1937年4月13日 - 1997年6月19日）は、カナダ・ケベック州出身のプロレスラーです。その名は、WWWFヘビー級王座を獲得したことでプロレス史に刻まれ、日本では独特の風貌から「狼男」の異名で知られました。

若き日の活躍とキャリアの始まり

少年時代からアイスホッケー、ボクシング、レスリングと様々なスポーツに才能を発揮したスタージャックは、モントリオールを拠点に活躍していたレスラー、ユーボン・ロバートに見出され、プロレスラーとしての道を歩み始めます。1958年のデビュー後、カナダ各地やアメリカ中西部を転戦。1960年代初頭には、NWA（ナショナル・レスリング・アライアンス）の本拠地であるセントルイスで、ルー・テーズやジョニー・バレンタインといった当時のトップレスラーたちと対戦し、実力を磨いていきました。

数々のタイトル獲得とヒールとしての成功

1965年にはカルガリーのスタンピード・レスリングでNWAカナディアンヘビー級王座を獲得。その後、PNW（パシフィック・ノースウエスト・レスリング）を主戦場として活躍し、フラッグシップタイトルであるNWAパシフィック・ノースウエストヘビー級王座を7回獲得するなど、圧倒的な強さを見せつけました。

スタージャックは、PNW以外にも精力的に活動し、スタンピード・レスリングでは北米ヘビー級王座、オーストラリアではIWA世界ヘビー級王座、そしてテキサスではNWAテキサス・ヘビー級王座とNWAブラスナックル王座を獲得。テキサスではフリッツ・フォン・エリックやミル・マスカラスといった名選手たちと激しい抗争を繰り広げ、ヒール（悪役）としての地位を確固たるものとしました。

WWWFヘビー級王者への戴冠とその後

1973年、スタージャックはWWWF（ワールド・ワイド・レスリング・フェデレーション、後のWWE）に登場。グラン・ウィザードをマネージャーに、数々のスター選手を破り、悪名と人気を不動のものとしました。そして同年12月1日、ペドロ・モラレスを破り、WWWFヘビー級王座を獲得。しかし、わずか9日後の12月10日、ブルーノ・サンマルチノに敗れ王座から陥落したものの、モラレスからサンマルチノへの王座交代という歴史的な出来事における重要な役割を果たしたのです。

その後もスタージャックは、NWA世界ヘビー級王座に幾度と挑戦するなど、各地で活躍を続けました。デトロイトでのザ・シークとの流血戦は特に有名で、その激しいファイトスタイルは多くのファンの記憶に残っています。PNWではベビーフェイス（正義のレスラー）に転向し、バディ・ローズらとの抗争を経て1982年にはタッグ王座も獲得。さらに、カラー・コメンテーターも務めるなど、レスラーとして多岐にわたる活躍をしました。1984年に現役を引退後は、トロントでセキュリティ・ガードとしてセカンドキャリアをスタートさせました。

日本での活躍

スタージャックは、1966年、東京プロレスの旗揚げシリーズに参戦、アントニオ猪木と対戦しました。その後、国際プロレスや全日本プロレス、新日本プロレスにも参戦。1974年の新日本プロレス『ワールドリーグ戦』では、当時外国人選手の招聘が難しかった新日本プロレスにおいて、大きな話題を呼びました。猪木との再戦も注目を集めましたが、決勝リーグに進出したものの、優勝には届きませんでした。

得意技と獲得タイトル

スタージャックの得意技として知られるのは、「ハートパンチ」です。心臓部めがけて繰り出す強烈なパンチは、相手をノックアウトさせるほどの威力がありました。他にもショルダー・クロー、アトミック・ドロップ、ベアハッグなどを得意としていました。

数々のタイトルを獲得したスタージャックですが、その中でもWWWFヘビー級王座、NWAパシフィック・ノースウエストヘビー級王座（7回獲得）は特に輝かしい功績と言えるでしょう。

レガシー

1997年6月19日、心不全のため60歳で死去。2018年には、WWE殿堂のレガシー部門に迎えられました。息子のショーン・スタージャックもプロレスラーとしてWWEやWCWで活躍しており、スタージャック家のプロレス界への貢献は計り知れません。その激しいファイトスタイル、数々のタイトル獲得、そして日本での活躍など、スタン・スタージャックはプロレス界に不滅の足跡を残した、真のレジェンドレスラーと言えるでしょう。

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