スタージョン (潜水艦)

スタージョン (USS Sturgeon, SS-187)

スタージョン（USS Sturgeon, SS-187）は、アメリカ海軍のサーモン級潜水艦の一隻であり、その艦名はチョウザメに由来します。本艦は、E級潜水艦2番艦E-2 (SS-25)の予定艦名以来、2隻目のスタージョンを名を受け継ぎました。退役から22年後には、スタージョン級原子力潜水艦1番艦として3代目スタージョン (SSN-637)が就役しています。

艦歴

1936年10月27日、カリフォルニア州ヴァレーオのメア・アイランド海軍造船所にて起工。1938年3月15日にはチャールズ・S・フリーマン夫人によって命名、進水し、同年6月25日にA・D・バーンズ少佐の指揮下で就役しました。

建造所公試をモンテレー湾で完了後、1938年10月15日に整調巡航を開始。メキシコ、ホンジュラス、パナマ、ペルー、エクアドル、コスタリカといった中南米の港を訪問し、12月12日にカリフォルニア州サンディエゴに帰還しました。第6潜水戦隊に配属され、西海岸沿いに作戦活動を展開、その範囲は北はワシントン州にまで及びました。1939年7月1日から8月16日まで、1940年4月1日から7月12日までの2度、太平洋艦隊の戦隊と共にハワイへの巡航を行っています。1940年11月5日にサンディエゴを出航し、真珠湾で1941年11月まで作戦活動に従事しました。

1941年11月10日に真珠湾を出航しフィリピンへ向かい、11月22日にマニラ湾に到着。その後、アジア艦隊第2潜水戦隊第22分艦隊に配属されました。12月7日に日本軍による真珠湾攻撃が行われた際、スタージョンはウィリアム・L・ライト少佐の指揮下、マリベレス湾に係留されていました。

第1の哨戒 (1941年12月)

12月8日、スタージョンは最初の哨戒で台湾および澎湖諸島方面へ出撃。12月9日には小型タンカーを観測するも射程外でした。12月18日には、5隻の商船と護衛の巡洋艦、数隻の駆逐艦からなる船団を発見。巡洋艦の射程内で潜望鏡深度に浮上しましたが、250ヤード遠方の護衛艦に発見され、爆雷攻撃を受けました。12月21日の夜には、大型貨物船と思われる船を観測し魚雷を発射するも、全弾が外れました。12月25日、17日間の行動を終えてマリベレスに帰投しました。

第2の哨戒 (1941年12月 - 1942年3月)

12月28日、スタージョンは2回目の哨戒でボルネオ島方面へ出撃。タラカン島を経由し、マカッサル海峡方面で哨戒を行いました。1942年1月17日には、スブツ島南西でタンカーを観測し攻撃を試みるも失敗。1月22日の夜には僚艦ピカーレルからの情報で大型船団がマカッサル海峡を航行していることを知り、潜航して大型船に魚雷を発射、2つの爆発音を観測しました。1月26日には、バリクパパン沖で輸送船および4隻の駆逐艦を観測し魚雷を発射、輸送船が大爆発を起こしました。2月8日の朝には、マカッサルに向かう日本艦隊の航路上にいたことを確認。2月13日、46日間の行動を終えてスラバヤに帰投しましたが、日本軍部隊の接近によりチラチャップへ移動。その後、スティングレイと共に潜水母艦ホーランドおよび駆逐艦母艦ブラック・ホークの護衛として2月20日にオーストラリアのフリーマントルへ向けて出航し、3月3日に到着、整備を行いました。

第3の哨戒 (1942年3月 - 5月)

3月15日、スタージョンは3回目の哨戒でマカッサル海峡方面へ出撃。3月30日にはマカッサル沖で海軍徴傭船朝晃丸を撃沈。4月3日には護衛艦に命中弾を与え撃沈したと記録されました。4月6日にはタンカーに対して魚雷を発射するも失敗。4月22日には駆逐艦のサーチライトで照射され、潜航して爆雷攻撃を回避しました。4月30日の夜には航海は中断され、イギリス空軍パイロットの救助に当たりました。5月7日、53日間の行動を終えてフリーマントルに帰投し、修理を行いました。

第4の哨戒 (1942年6月 - 7月)

6月5日、スタージョンは4回目の哨戒でルソン島西方海域へ出撃。6月25日には9隻の輸送船団を観測し、最大の船に対して魚雷を発射。7月1日には、オーストラリア軍捕虜および民間人を乗せた特設運送船もんてびでお丸を撃沈。7月5日にはマニラから北に向かう船団を発見し攻撃、「4,000トン級タンカー」の撃破を報告しました。7月22日、47日間の行動を終えてフリーマントルに帰投し、修理が行われました。その後、ソロモン諸島の戦いに投入されることとなり、8月29日にブリスベンに到着。艦長がハーマン・A・ピチェントコフスキ少佐に代わりました。

第5の哨戒 (1942年9月 - 10月)

9月4日、スタージョンは5回目の哨戒でソロモン諸島中部海域へ出撃。9月14日には大型貨物船に対して魚雷を発射するも外れました。9月16日夜にはファイシ島近海で2隻の大型タンカーに対して雷撃を行い、2本命中させました。10月1日には青葉型重巡洋艦と特設航空機運搬艦葛城丸を観測し、葛城丸に対して魚雷を発射し撃沈しました。10月25日、51日間の行動を終えてブリスベンに帰投しました。

第6の哨戒 (1942年11月 - 1943年1月)

11月15日、スタージョンは6回目の哨戒でトラック諸島方面へ出撃。12月6日には輸送船団に対して魚雷を発射し1つの命中を観測しました。1943年1月4日、51日間の行動を終えて真珠湾に帰投。その後はオーバーホールが行われました。

第7、第8の哨戒 (1943年6月 - 10月)

6月12日、スタージョンは7回目の哨戒で日本近海へ出撃。7月1日には貨物船に対して魚雷を発射するも、陸に命中しました。8月2日、51日間の行動を終えてミッドウェー島に帰投。艦長がカールトン・L・マーフィー・ジュニア少佐に代わりました。
8月29日、スタージョンは8回目の哨戒で東シナ海、台湾近海および南西諸島方面へ出撃。目立った戦果は挙げられませんでした。10月27日、59日間の行動を終えて真珠湾に帰投しました。

第9の哨戒 (1943年12月 - 1944年1月)

12月13日、スタージョンは9回目の哨戒で日本近海へ出撃。1944年1月11日には陸軍船えりゐ丸を撃沈。1月16日には特設巡洋艦赤城丸と駆逐艦涼月を発見し攻撃、涼月に大損害を与えました。1月24日には陸軍船朝鮮丸を撃沈。2月6日、55日間の行動を終えて真珠湾に帰投しました。

第10の哨戒 (1944年4月 - 5月)

4月8日、スタージョンは10回目の哨戒で小笠原諸島方面へ出撃。5月10日には陸軍船青龍丸に対して魚雷を発射するも回避されましたが、翌11日に再度攻撃し撃沈しました。5月26日、50日間の行動を終えてミッドウェー島に帰投しました。

第11の哨戒 (1944年6月 - 8月)

6月10日、スタージョンは11回目の哨戒で日本近海、南西諸島方面へ出撃。6月29日には陸軍船富山丸を撃沈。7月3日には陸軍船大倫丸を撃沈。8月5日、55日間の行動を終えて真珠湾に帰投。これがスタージョンの最後の哨戒となりました。

訓練艦・戦後

オーバーホールのためカリフォルニアへ向かい、その後サンディエゴに移動、東海岸へ出航。ニューロンドンに到着し、訓練艦任務に就きました。1945年11月15日に退役。1948年4月30日に除籍され、スクラップとして売却されました。

スタージョンは第二次世界大戦の戦功で10個の従軍星章を受章しました。

もう一度検索